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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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2021年3月の記事一覧

社員等級昇格者に求めること

先日、ある企業様の社員等級昇格審査に関わる機会がありました。同社様では、事業戦略の見直しに伴う人事戦略の転換を進めていて、それに伴って人事制度も改修を進めてきました。 同社様の人事制度改修にはポイントがいくつかあり、その中のひとつが等級昇格審査の一新でした。以前は、標準的な評価結果を一定年数蓄積していた社員は、ほぼ自動的に等級昇格をしていました。いわゆる、年功的な等級制度運用です。そのあり方が今後の人事戦略に合わないという判断で、運用を見直すことになったわけです。 等級昇

出木杉君不在でチームが成長する

先日、興味深い話を聞きました。ドラえもんの登場人物のひとりである出木杉君(超優秀で、何をやっても失敗しない)は、映画には登場しないことになっているという話です。たしかに、30分のTVアニメ(15分×2話)では時々登場しますが、映画ではほとんど見たことがありません。 その理由について検索してみると、いろいろな人がいろいろなことを言っているのが出てきて、諸説あるようです。何が正解かわかりませんし、厳密に解明する必要も特にないものだとは思います。その上で、納得する理由としては、「

付箋紙による条件反射

先週、所属先である会社のチーム合宿に1泊2日で参加しました。本コラムでも何度か取り上げたことがありますが、対面(リアル)で直接会うことの意義を改めて感じました。その合宿中にmiroというツールを使う機会があったのですが、miroを使うことで気づきがありました。 最近、miroというツールを使う場面が出てきました。既に使ったことある方も、まだの方もいらっしゃると思います。 参照サイトによると、miroは「オンラインホワイトボードサービス」と説明があります。いつも使っているホ

学生と社会人の一番の違いは「お客さまがいること」

去年からコロナで大変ですが、それでも春は来ますね。桜も咲いて、前向きな空気を感じます。 そんな中、新入社員研修をやらせていただく予定です。すでに内定者研修という形で若い皆さんと関わっています。そのことで、こちらも改めて気づきを得ています。 学生と社会人の違いは何か 新入社員研修では、定番のディスカッションがあります。「学生と社会人の違いは何か」です。 これには、もちろん正解はありません。いろんな意見がでてきます。 責任が生まれる お金がもらえる 時間の使い方が自由では

「不動産を続々と売却、近鉄の財務状況を読み解く」

近鉄グループホールディングスが保有するオフィスビルを売却するという報道がありましたが、先日25日には更に保有するホテルも売却するという情報がリリースされました。 コロナ禍は鉄道業にとって大きな向かい風になっていますが、不動産を続々と売却する近鉄グループホールディングス(以下近鉄)の財務状況を読み解いていきたいと思います。 関西の主要鉄道の中でもコロナの影響が大きい日本経済新聞の記事で関西の主要鉄道の四半期ごとの連結最終損益に関する図がありました。 JR西日本は、利用者の

【読書メモ】採用基準

今週は、コンサルタントとして目指す姿を合宿で仲間と話しました。その時に読み返した本です。 著者は、マッキンゼーの採用マネジャーを12年間務めた伊賀泰代さん。2012年の出版だったんですね。見出し画像にあげているのは、amazonに出ていたもの。帯か何かだと思います。 実は、マッキンゼーが求める人材は、今の日本社会が必要としている人材とまったく同じです。まさか多くの人が、「これからの日本には地頭がよい人が必要だ」と考えているわけではないでしょう。同様にマッキンゼーも、地頭が

働きがいという無形資産

3月23日の日経新聞で、ブライダル業界の動きに関する記事「千趣会が婚礼事業売却 100億円でファンドに 主力の通販に力」が取り上げられていました。コロナ禍の影響の大きい業界に関する内容でした。 同記事の一部を抜粋してみます。 ~~千趣会は婚礼事業を投資ファンドのCLSAキャピタルパートナーズに売却する。売却額は100億円程度とみられる。新型コロナウイルスの感染拡大によりブライダル市場が落ち込む中、巣ごもりや新生活様式で需要増が期待できる通販事業に注力する。 売却するのは傘

海外への投融資の伸び

3月23日の日経新聞で、「邦銀の海外投融資最大 昨年末530兆円」「上場企業の手元資金、最高の101兆円」という記事がありました。両記事を順に一部抜粋しながら考えてみます。 ~~邦銀の海外への投融資が伸びている。国際決済銀行(BIS)の統計によると2020年末時点で4.8兆ドル超(約530兆円)と過去最高を更新した。国内の低金利を背景に海外の国債や証券化商品などへの投資を増やさざるを得ない構図が鮮明だ。 同年12月末時点の国内分集計では3四半期ぶりに過去最高を更新し、前年

高い志は主語が「わたしたち」で語られる

チームで合宿を行いました。今年度の振返りと来期に向けた方向づけが目的です。今回は海の見えるところに行きました。やはり、いつもと違う環境に来ると良いリフレクションができますね。 経営者が持つべき志ってなんだチームで話し合ったことの中に、「経営者の志ってなんだ?」というものがありました。わたし達の方向性として「志の高い経営者といっしょに進んでいきたい」というものがあります。普段だと「そうだよね」で終わるのですが、この機会に深掘りしようと思ったのです。 志は、辞書的な定義で言う

賃金を取り巻く脱一律の動き

先日、ある企業様の経営方針策定に関する打ち合わせに参加する機会がありました。同社様では、これまでにない異例の、思い切ったベースアップを行うことになりました(具体的な額はここでは控えますが)。 3月18日の日経新聞で、「シャープ、初任給上積み」という記事が掲載されました。 同記事を一部抜粋してみます。 ~~2021年の春季労使交渉は17日、大手企業が一斉回答した。新型コロナウイルスで業績が低迷する業種のベースアップ(ベア)の動きは低調だった。一方で、人材の獲得競争が激しくな

目的地と現在地の把握

前回の投稿では、間違った情報(土日限定の特急列車という盲点)を基にしたために、間違った解決策を導き出してしまったというお話でした。 https://note.com/fujimotomasao/n/n70f388f34420 私たちが意志決定・行動する時の流れを以下のように整理し、3.情報収集に関する注意について考えました。 1.目的地を決める(目指す駅) 2.現在地を確認する(最寄り駅) 3.現在地から目的地に至る方法に関する情報を集める 4.集めた方法をもとに思考する

的確な情報を集めることの重要性

先週土曜日に、数日後の行動予定を決める打ち合わせをしていて、ちょっとした出来事がありました。たいしたことではなかったのですが、私たちの行動習慣のメカニズムが表れていると感じた出来事でした。 以下がその出来事の概要です。 Aさん:「□駅まで在来線だと3時間以上かかる。特急があるね。特急使えば移動時間が1時間以上縮まる。〇時△分着の特急XXXで□駅集合にしよう。」 Bさん:「駅探見てるけど、その特急の表示が出ないな。(「近距離移動にも特急を優先利用」にチェックを入れるなど)検

「か・け・ふ」の捉え方に表れる経営者のマインド

先日とあるところで「か・け・ふ」という言葉が出てきました。これは、伊藤忠商事の岡藤会長の言葉です。「参考にして経営を進めてきた」と若い経営者の方がおっしゃっていました。ただ、あのミスタータイガース掛布雅之選手のことは知らないようでした。 伊藤忠商事の商いの三原則 この「か・け・ふ」とは、岡藤会長の説く商いの三原則で[稼ぐ・削る・防ぐ]の頭文字をとっています。伊藤忠商事のホームページにも出ています。 すこし抜粋してみます(太字はわたしによるものです)。 伊藤忠商事が掲げる

経済指標ピックアップ(景況感と消費動向)

会社の戦略を立てる上で外部環境を読むことはとても重要です。外部環境分析の一環で経済指標の分析を行っていますが、その中の一部の項目について状況を読み解いていきたいと思います。 緊急事態宣言下でも新規感染者数が減れば人は動くまず景気全般の指標として「景気ウォッチャー調査」と「企業倒産件数」の数値をあげてみました。 「景気ウォッチャー調査」は景気に敏感なタクシードライバーや小売店の店長などに景気の状況をヒアリングしたもので、肌感覚に近い数字であり速報性もある指標です。秋口はGo