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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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2020年7月の記事一覧

外食2社を比較して会計思考力を鍛えよう

前回、「財務諸表を読みたかったら会計思考力を鍛えよう」というテーマで、財務諸表を読み解くために「実際の企業活動と会計の数字を結び付けて考える」“会計思考力”が必要だという内容をアップしました。 本日は具体的な企業の数字を元に、ビジネスモデルの特徴を分析していきたいと思います。 売上高販管費率の違い売上高販管費率とは売上高に占める販管費の割合を示す指標になります。そもそも販管費というのは何かというと、広告宣伝費や営業マンの人件費などに代表されるような営業費用と、総務・経理など

新規事業の継続判断

先日、ある企業の役員の方から、20年がかりで開発してきた結果が形となった新製品が、最近売れ始めたと聞きました。20年も開発を続けるというお話が新鮮でした。 経営においては、新規事業の撤退基準を決めておくことは重要だと言われます。撤退基準がないと、当該事業が成功か失敗かわからないまま延々と続けてしまい、取り返しのつかない膨大な費用を失うことになり得るからです。経営では、経営資源の最適配分が重要となります。資源は、成果が見込めない事業にではなく、成果が見込める事業に配分し直すべ

経営人材に求められる課題設定力を継承する振返りの場

もう7月も終わります。今年は色々ありますが、それとは関係なく、日は過ぎていくものですね。そうこうしているうちに、「そろそろ来期の計画を」という話もお客様のところで出ています。直接お邪魔したり、オンラインだったりしますが、半期の振返りのファシリテーションがここのところ続いています。 課題を設定するのが経営人材そんな振返りの場を振返ったり、いろんな人と話しているうちにこんな図ができました。 経営人材の定義です。 ご支援しているお客様の共通の課題に次の経営人材をどう作っていく

これからの評価・処遇を考える事例(2)

前回の投稿では、Aさんが所属する、ある情報通信関連の企業の事例を取り上げました。その中で、出社業務の必要性の再検討、成果ベースの評価移行の検討、360度評価導入の検討、間接部門の評価方法の検討、の4つの課題感について考えました。今回もその続きです。 同社様では、成果ベースの評価方法に移行することに伴い、組織が定義する成果指標によって社員が評価されることになります。そして、このやり方が、今後は入社1年目の新人にも適用されるという話でした。この延長線上にあるのが、事実上年功序列

これからの評価・処遇を考える事例

先日、ある情報通信関連の企業に勤める管理職の方Aさんにお話を聞く機会がありました。4月から新入社員含め全員在宅勤務となった後、6月に一旦全員出社体制に戻ったものの、7月中旬から新たに「出社と在宅勤務の組み合わせとする。各人5割の出社率、部署単位も所属社員の5割の出社率を維持。」となったそうです。出社しながらも、密にならない環境を目指す折衷案と言えるでしょう。 その話から感じた同社様の課題としては、大きく、出社業務の必要性の再検討、成果ベースの評価移行の検討、360度評価導入

続・コンサルタントの芸風 ~ジョハリの窓編~

自分自身のコンサルタントの芸風に影響を与えている本があります。エドガー・シャイン先生の本です。 「問いかける技術」や「謙虚なコンサルティング」という本もありますね。きっかけは思い出せないのですが、アマゾンの購入履歴を見ると2009年に買っていました。たぶん、4回くらい買っています。同僚や後輩に良い本だからと貸したあとすっかり忘れて、時々思い出しては、誰に貸したか思い出せず、買ってしまうというパターンです。結局、最近、Kindleで買いました。 コンサルタントの3つのモード

コンサルタントの芸風

コンサルタントには「芸風」があるように思います。恐らく、定義は様々ありそうです。うちの会社を見ているだけでもいろんなヤツがいて面白いです。そんな特徴のあるコンサルタントがそれぞれの強みを発揮してお客様のお役に立つことを目指しています。それを表す言葉として、We are the Solution という言葉がウチの会社にあります。 さて、わたしはどういう芸風になるのでしょうか。試しに二つの軸で、整理してみました。一つは、どのような領域での課題解決に軸足を置いているのかという点

新規学卒者採用の意義

先日、この4月に会社としては初めて新規学卒者を採用した、中小企業の経営者様とお話する機会がありました。2月からコロナ禍の影響が広がり、内定取り消しを行う企業もある中、大手に比べ財務基盤も限界がある同社様としては、このまま採用してよいのか相当悩まれたそうです。 同社様では、当座のキャッシュフローが確保できていることも含め慎重に検討した結果、予定通り全員採用されました。先日その新卒入社者の数人とお会いしたのですが、非常に快活・同社様のカラーにも合っているように感じられ、「この人

中小企業に対する政府施策

7月17日の日経新聞に、「中小企業減 容認へ転換」と題した記事がありました。自社の経営や関係先の経営の今後を考える上で、視野に入れておきたい内容だと思います。 同記事では、以下の内容が紹介されています(一部抜粋)。 「政府は中小企業数の維持を狙った従来目標を見直す。これまで掲げてきた「開業率が廃業率を上回る」との表現を近くまとめる2020年の成長戦略から削る。中小企業は新型コロナウイルス禍で経営環境の厳しさが増している。統廃合を含めて新陳代謝を促し、全体の生産性向上をめざす

財務諸表を読みたかったら会計思考力を鍛えよう

財務諸表を読める人・読めない人 経営コンサルタントという仕事柄、お客様企業の会議の中で財務諸表を元に意見交換をする機会は非常に多いです。また経営者・経営幹部向けに会計のセミナーをすることもしばしばあります。  そのような中で、沢山の財務諸表分析の計算方法を暗記しているし、勘定科目や仕訳のルールも一通り知っているけど、財務諸表を見てもさっぱり分からないという方がいます。一方で、財務諸表の基本的なルールしか知らないのに、この企業のビジネスモデルの特徴はこうですね、この企業は戦略を

貯蓄率の上昇に見る消費性向の考察

先入観ではなく、事実ベースで物事を捉えるのは重要です。新聞記事の中から、そのことに通じる内容を見かけましたので、今日のテーマとして取り上げてみたいと思います。 7月15日の日経新聞に、「先進国の貯蓄率、高止まりの兆し」と題した記事がありました。同記事では、以下の内容が紹介されています(一部抜粋)。 「新型コロナウイルスによる景気悪化を受け、所得のうち貯蓄に回る割合を示す貯蓄率が先進国で高止まりの兆しをみせている。米国では過去最高の4月に続き5月も20%台と歴史的な高さで、

合宿のススメ

コロナの感染が、再び増え始めてきました。そんな中で開催が微妙になりつつあるのですが、ここのところ合宿の予定が続いています。お客様や会社の仲間との戦略合宿です。「合宿」といっても必ずしも泊りではないのですが、職場を離れて、今後の事業の進め方を話し合うミーティングとなります。今の時期だとオンラインでやることもあります。話し合いとしては成立しますが、やはり一体感が出にくいですし、深い内省をするが難しいですね。 来た道を振返ることで、前に進む方向が見えてくる今年度から、社長が代替わ

自身の消費志向性を把握する

先日、ビジネスバッグをリュック型のものに買い換えました。手提げ型だった古いバッグは10年以上使いそろそろ限界が来ていたところです。加えて、スマホが片手で操作できない大きさの型になったため両手で操作できるとよいなと、リュック型が気になっていたのですが、なかなか買えずにおりました。 以前からリュック型に買い換えようかと思っていましたが、行動を抑制していたのは「リュックスタイルでよいのか」という迷いです。 何年か前に、かつて勤務していたことのある会社で、社長が「リュック型はビジ

社員から「できない理由より、やる方法」が出てこないのは、経営と執行を分けて考えていないから

お客さまのご支援にあたって、社員さんへのインタビューをさせていただくことがあります。一次情報に直接触れることで、組織の中で何が起こっているのか仮説が得られます。共感的に聴きながら、一方で分析的に自分が持っている知見と組み合わせて理解を深めていくような感覚です。様々に発見があり、面白いクリエイティブな仕事のひとつです。 ニワトリが先か卵が先かみたいなところがありますが、組織の中で語られている言葉で風土が創られていると感じます。 上の図はある会社でのヒアリング内容をまとめたも