見出し画像

第152話「注文の多い客」

タチバナ不動産――明るい緑の塗料で店名の書かれたガラス戸が、横にスライドする。
初冬の寒風が、店内に吹き込んだ。

店長はお客さんの内見に付き添って外出していたので、狭い店内には私一人だけ。

こっくりこっくりと居眠りをしていた私は、よだれを垂らしていないかと、口もとを軽く拭って確認してから、入り口に顔を向けた。

ここから先は

2,021字
2020〜2022年に投稿した意味怖を載せるマガジンです。

2020〜2022年に投稿した意味怖を載せるマガジンです。

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?