第152話「注文の多い客」
タチバナ不動産――明るい緑の塗料で店名の書かれたガラス戸が、横にスライドする。
初冬の寒風が、店内に吹き込んだ。
店長はお客さんの内見に付き添って外出していたので、狭い店内には私一人だけ。
こっくりこっくりと居眠りをしていた私は、よだれを垂らしていないかと、口もとを軽く拭って確認してから、入り口に顔を向けた。
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