【レシピと思考】お酒に合うケララマトンフライの作り方【インド料理】
「もう俺にはケララマトンフライがのんべえのための料理にしか見えない」
※このレシピはスパイスを一通り揃えているガチ勢向けですが、
スパイスを持ってない方もこの記事をきっかけにスパイスに手を出すのも悪くないですよ!
「大丈夫。みんなやってるよ。試しに一回だけやってみない?」
スパイスをキメて気持ちよくなっちゃいましょう!
※忙しい人は目次からレシピまでジャンプ!
前書き
マトンフライとは
マトンフライとは、羊肉を使ったスパイス炒めのこと。
「フライ」という名前ですが、「揚げる」のではなく、ここでは「炒める」という意味で使われています。したがって、いわゆる「カレーのような汁気」がない料理です。
インドの様々な地域で食べられているマトンフライですが、ケララスタイルのマトンフライは、ココナツオイル・削った生ココナッツ・カレーリーフなどが入るのが特徴。
この前ニルワナムに行ったんですよ
今回ケララマトンフライを作ろうと思ったきっかけ。
銀座のニルワナムのディナーアラカルトで注文したケララマトンフライが、めちゃくちゃ美味かったんですよ。
むせかえるくらい強いココナツの香り。ココナツオイルとねっとりとしたグレイヴィにまとわりつくココナツファイン。甘辛な味付けに、シナモン・クローブあたりの芳醇系スパイスの甘い香りがココナツの風味をさらに引きたてる。レストランらしいリッチな味わい。そんな料理でした。
そしてこれは絶対酒に合う。
(この時はインド映画RRRを見に行く直前で、3時間尿意に耐えるため酒を飲めなかった)
あ~お酒に合わせて食べたら絶対に美味いのに…。
「インドで1人当たりのアルコール消費量が最も多い」と言われているケララ州の料理をつまみに酒を飲みたい…。
もう俺にはケララマトンフライがのんべえのための料理にしか見えない。
(※実際は酒のつまみではなく、ポロタやライスともよく一緒に食べられているそうです)
…そうだ!自分で再現すればいいのか!
とりあえずニルワナムのケララマトンフライを再現してみた
ということで、味を忘れる前にその日のうちに速攻でレシピを書き、翌日に早速試作。
とりあえず再現してみた
再現度は体感8割くらい。一緒にニルワナムでケララマトンフライを食べた友達二人にも食べてもらったが、「ココナツ感が少し弱い以外はほぼ同じ」という評価をされた。
そして再現したケララマトンフライを実際に食べてみて、ニルワナムで食べたときには気づかなかった「ここ、こうしたらもっと美味しくなるんじゃないか」という点も見つかりました。(そもそも再現度が8割なので、2割再現できてない部分に至らぬ点がある可能性は否めませんが)
なので、一度舌コピしたこのレシピを元にさらに美味しくなるよう改良したコバタロ流ケララマトンフライの作り方を今回はご紹介します!
ちなみに、今回はケララ現地でよくある作り方から大きく逸脱したアレンジを加えることはありません。細かなポイントの一工夫を積み重ねしていくことで、オーセンティックでストレートに美味しいものを目指します。
余談 「舌コピ」の話
音楽やっている人だとわかるかもしれませんが、聴いた曲を楽譜に頼らずに曲中で実際に演奏されている音を聞き取り、 楽器で再現する「耳コピ」という技術があります。(音楽歴がある程度がある人はできる人多いです。プロレベルだと一度聞いただけで演奏できる人もいる。)
演奏の幅や作曲の引き出しを増やしたり、相対音感を鍛えるトレーニングとしても有効なので、楽器やる人たちはわりとよくやっていると思います。
今回は耳コピならぬ、"食べた料理をレシピに頼らずに料理に入っている材料を舌で感じ取り再現する「舌コピ」"をしました。
僕は舌コピを普段からわりとよくやっているので、一度食べて(自分が全く知らない食材が入っていなければ)7~9割くらいの精度で再現できます。(※個人の感覚です)
周りの人に舌コピをする人をほぼ見かけないのですが、料理というジャンルでは食べた味を再現するということ自体あまりポピュラーではない行為なのかもしれないなと感じたり。
(個人的には、舌コピはとても勉強になることが多いし、料理上達したい人はみんなやればいいのになあと思ったりもします。)
僕が知らなかっただけで、意外と高い精度で舌コピできる人はいるらしい。舌コピは自分の特殊能力だと思っていたけど、そんなことはなかった。
どんなケララマトンフライなの?
閑話休題。ということで、コバタロ流ケララマトンフライのレシピと、このレシピに至った思考を書いていきます。
コンセプトは"お酒に合う"
①"香ばしさ"と"爽やかさ"を重ねていく
②お酒に合うしっかり目の味付け
③冷めても美味しい
こんな人におすすめ
・インド料理をつまみにお酒を楽しみたい人
・濃いめの味が好きな人
・ココナツの香りとマトンが好きな人
ケララマトンフライができるまでの思考過程
このレシピに至るまでの思考過程を書いていきます。
カレー屋さんやプロの料理人の方が読んだら当たり前のことや滑稽なことを書いてるかもしれません。コバタロなりの考えということで許してください…。
忙しい人は「レシピ本体」までスクロール!
①"香ばしさ"と"爽やかさ"を重ねていく
今回使うスパイスは、マトンと相性が良いシナモン・クローブ・フェンネルなど、甘くてやや重めの香りのスパイスを主体に香りを組み立てていきます。そこにさらにココナツが加わるので、このまま普通に作ると甘い香りが強すぎてウッ…となるマトンフライが出来上がってしまう。
そこで、甘い香りとバランスを取りながら最後まで食べ飽きないようにすべく香ばしさと爽やかさを加えます。
香ばしさは、「テンパリングしたマスタードシードとホールチリ」「焼き目を付けた玉ねぎ」「ローストしたココナッツファイン」
爽やかさは、「カレーリーフ」と「パクチー」
を使うことで、ケララマトンフライに香ばしさと爽やかさを付与していきます。
②お酒合うしっかり目の味付け
お酒のつまみということで、マトンの力強い肉の味に負けないしっかり目の味に仕上げます。
塩分量は仕上がり量の1.2%にします。(普通のカレーだと0.9%~1.1%の間に収まることが多い)
塩の強さに合わせて油も多め。皿に盛ったときに皿に薄く油たまりができるくらい。この油がおいしいんですよね。チャパティやポロタやバゲットで拭って食べると最高です。
③冷めても美味しい
お酒を飲みながらゆっくり料理を楽しんでいると、後半は料理が冷めてきます。
ココナツオイルは冷えると固まってきます。日本でも真夏の暑い日なら大丈夫なのですが、それ以外の季節だと常温では固まってしまいます。インドは年中熱いので、そういうことはあんまり気にしてなさそうですが…。
後半冷めてきてココナツオイルが固まってくると口当たりが重たくなるので、今回はあえてココナツオイルは使わず、代わりにサラダ油を使って作っていきます。
その分ココナツファインは多めに・そして仕上げに加えることで、ココナツ感はそのままに、冷めても美味しいケララマトンフライを目指して作ります。
思考過程終わり
こんなことを考えながら、レシピを考えました。
ここからレシピ本体です。
レシピ本体
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