お手すきの際の“お手すき”という表現は適切ではない!
相手に話を伝えたからといって、ビジネスの現場では相手が動いてくれなければ意味がない。交渉のシーンでは、「お願いしたいこと」を伝えるだけでは成果とはいえない。相手が動くことで初めて成果といえる。伝わらなければ、価値はない。
「お手すきのときに・・・」は便利な言葉。「手の空いたとき」という意味がある。ところが、ビジネスマンには、常に何かしら手をつけなければならない仕事がある。締切に追われる場合もある。そんな時にはなかなか「手は空かない」ものである。
依頼された順が、A→B→Cだった場合、あなたはどの順で手をつけるだろうか?ほとんどの人が、B→C→Aの順と答えるだろう。
A.「お手すきのときに」と言われた資料作成
B.「今週の木曜日朝10時までに提出してほしい」と言われた資料作成
C.「再来週の火曜日午後中に提出してほしい」と言われた資料作成
Cを提出し終えた時点で「夕方4時半までに見積書の作成を頼む」などと言わえたら『お手すきのときに』と言われた資料は,さらに放置される。私たちは、緊急性の高いもの、締切のあるものから手をつけていく。ということは、いつまでたってもその「お手すき」程度で依頼された仕事には手をつけることがないことになる。
相手に動いてもらうためには、依頼時に必ず『いつまでに』という期限も併せて伝えなくてはいけない。優先順位が伝わらなければマネジメントはできない。研修や講演で学んだときには「わかった」「できる」と感じる人が多い。ところが、会場から一歩外に出て一晩寝ると、すっかり忘れてしまう。人はそれだけ忘れやすいのである。
非効率な仕事でも事実が積み重なると、「仕事をした気分になる」から不思議なものである。あなたの所属している部署はいかがだろうか。また、あなたの仕事ぶりも。。。
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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、明治大学客員研究員
「頭がいい人の読書術」を上梓しました。