陛下と殿下と閣下と猊下
ふと気になったので、
陛下
殿下
閣下
猊下
という呼称(敬称)の違いについて調べてみました。
せっかく調べたので、それぞれの違いについてまとめておきます。
呼ばれる人の立場の違いが重要
それでは結論から、
これらの敬称の違いは、敬意をこめて呼ばれる人の『立場の違い』にあります。
”社長”とか”係長”とかと本質的には同じです。
この”note”では英語の敬称も含めて紹介します。
陛下-Your Majesty-
『陛下』は”王”への敬称です。
より正確には、”王の妃”と”王の母”を含めます。
日本の場合、”天皇と皇后、皇太后にのみ”適用されると、皇室典範によって定められています。
このような敬称は、「これほど偉い人に直接名前で呼びかけるのは失礼」という考え方によって生み出されました。
つまり「天皇と呼びかけるのはちょっとなぁ……そうだ天皇陛下と”陛下”をつけて呼べば失礼じゃない」というのです。
ちなみに”Majesty”は『尊厳』を意味するので、
”尊厳はあなたのもの”
というような意味合いがあります。
殿下-Your Highness-
『殿下』は”王族”に対する敬称です。
上記の”陛下と呼ばれる立場の人物以外の王族”に対して使われます。
「王も王族も、王家に連なる一族はまとめて陛下でいいのに」と思えなくもありませんが、面白いことに、敬称は王と王族を厳しく区別しているのです。
やっぱり王は特別な存在なのですね。
ちなみに”Highness”は『高貴』を意味するので、
”高貴さはあなたのもの”
というような意味合いがあります。
閣下-Your Excellency-
『閣下』は”貴族など”に対して使われる敬称です。
”貴族など”と適用する幅を広く表現したのは、『閣下』という表現が実に多様な立場の人物に使われるからです。
「王族じゃなくて、立場の高い、偉い人はみんなひとまとめに『閣下』でいいや」というようにかなりゆるく適当に使われます。
「さっきまでの厳密な区別はどこへ?」
という具合に。
その適用範囲は本当に広大で、外国の元首や大臣、大使などの政府高官から、はては将官位にある軍人まで、公的性格をある程度持つ偉い人は『閣下』と呼ばれます。
ちょっと余談
銀河英雄伝説で、”ラインハルト”が腹心の”キルヒアイス”に発した「お前自身が閣下になるのだから」(うろ覚え)という言葉は、”キルヒアイス”が将来的に軍隊で出世して『将軍』になるということを表現していたのですね
ちなみに”Excellency”は『素晴らしさ』を意味するので、
”素晴らしさはあなたのもの”
というような意味合いを持ちます。
猊下-Your Eminence-
『猊下』は高位の”聖職者”のための敬称です。
今までの敬称がすべて世俗の人物に対する呼びかけであったのに対し、この敬称は聖職に属する偉い人に使われます。
教皇猊下とは言っても、公爵猊下と言わないのはそのためです。
ちなみに”Eminence”は『卓越』を意味するので、
”卓越性はあなたのもの”
というような意味合いを持ちます。
言葉っておもしろい
すこし調べてみるだけで、ぐっと理解が広がりました。
今後、アニメや映画や小説やニュースで、こういう敬称が出てきたときに、このnoteで取り上げた知識を持っているか否かで、その理解度は大きく違ってくることでしょう。
ほんと、『言葉っておもしろい』ですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?