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それは目に見えない 〜「想像する」というコロナウイルス対策

お疲れさまです、uni'que若宮です。

日本でも感染拡大が止まりません。


ちょっと前に「自粛」ということについて書きました。この時点でいいたかったのは「自粛」という言葉は社会の圧力になって窒息してしまうので気をつけて、自分でしっかり考えよう、ということでした。

しかし、それからも刻々と事態は深刻度を増しています。この一週間で思ったよりも状況は深刻化しています。本当にやばい感じがしています

なにがやばいかというと、感染経路不明の感染者が増え続けていることです。どこでどうしたのかわからないうちにかかる。気をつけているつもりでも気のつけようがない。もう自分もかかっているかもしれない。

ウイルスはそもそも見えないものですが、新型コロナウイルスの怖さは過去最大級に「見えないウイルス」だということだと思います。物理的に目に見えないだけでなく、そのルートも分からない。気づかないうちに感染していて、自分も感染拡大の片棒を担いでいるかもしれない。症状が出ないのに感染していく、ステルス型ウイルスなのです。


だからこそ、いま重要なのは「想像すること」ではないでしょうか。


①「身内」を想像する

見えないものと戦う時重要なのは「想像力」ですが、想像力をリアルに働かせるためには「身近に置き換えてみること」が大事です。

「想像する」の第一のステップは「自分ごと化」だと思います。自分だったらどう思うか、どうするか。

「想像」を具体的にし、深化させるには、当事者意識がまず重要です。「自分」のことなればこそ、ありありと想像が膨らむからです。

この反対が、「自分はきっと大丈夫」という過信です。この状態では想像力は停止しています。正常性バイアスというのがありますが、どんなにいろんな情報やリスクに触れても、他人事として切り離してしまうのです。


欧米の感染爆発も対岸の火事ではありません。

ニューヨークが2週間後の東京だと想像してみる。ここに書かれていることが4月の半ばには起こる。

友人知人に感染者が増えてくる。もしかしたら、自分の家族も感染しているかもしれない。子供に自分が伝染すかもしれない。そうなるかが2週間前の今の自分の行動によって決まってしまう。もしそうだとしたら、あなたはそれでも今日外出しますか?家族を「いってらっしゃい」と見送りますか?


②「外側」を想像する

そして、もう一つ大事な「想像」。

身近なこととして想像したら、その想像力を少しだけでいいので外側に向けてみましょう。自分の身内の外側に、「見えない」困っている人がいるかもしれない。

業界柄、僕はそれほど仕事に大きな影響を受けてはいないけれど、飲食店やイベント関係でどうしようもない状況に追い込まれてる人たちが確かにいます。しかし、日々過ごしている僕たちの「社会」は思ったより狭いので、「自分の世間の外側」への想像も不足しがちになります。自分の周りには自分に似ている人達が多く、ちがう状況の人はごく少ないからです。


「牛肉券」だって、(いま議論するには明らかに愚策ですが)一部の人達にとっては助かる施策ではあります。牛肉が売れず困っている人たちがいるのも事実なのです。僕は文化を守りたいので、文化への補償についてもできるアクションをしていきたいと思いますが、困っているひとはそのほかにももちろんいます。たとえば今風俗産業で働いている方たちは、「生きるために」コロナが怖くても働き続けるしかないでしょう。

「正義の反対は別の正義」という言葉があります。

あいちトリエンナーレの時にも少し顕在化していたのですが、税金を使うのにだって100%の公平はありません。税金を「選挙のため」とか私物化するのは本当に勘弁してほしいのですが、みんなが納得する形というのもとても難しいのです。国が補償を明言するのに歯切れが悪いのもそのせいでしょう。

「助けてよ!」というと、「こっちも大変なんだよ!」とか「我慢しろよ!」とか、石の投げ合いが始まってしまいます。ひとは自分が中心のパースペクティブで生きるしかありませんが、だからこそ「死角」に気づくことも大事です。自分が想像していなかった「外側」の声に出会ったら、打ち返す前に、すこしだけ今まで自分に見えていなかった外側の世界のことを想像してみましょう。


③「ルールチェンジ」を想像する

いま、コロナで自宅待機になったり仕事が少し減ったりして、時間的に少し余裕が出来ている人もいるかもしれません。そういう時だから、「想像」の時間は少し取れるはずです。

不安だとSNSをひたすら見たり、情報やデマに振り回されそうになってしまいますが、これを機会に一度深呼吸し、少し立ち止まって「想像」をしてみてはいかがでしょうか。もちろん、こんな悠長なことを言っていられない状況の方もいると思います。すでにご自身や身内の方が感染したり、休業で生活が立ち行かず不安いっぱい、という状況では「想像」の余裕などないでしょう。

だからこそ、その分、少し余裕がある方は「想像」をしてみてほしいのです。


当事者として想像することで自分たちの行動を見直しましょう。これまで見えていなかった外側を想像し、困っているひとたちの存在を考えてみましょう。そしてその解決のために、これまで「あたりまえ」に、思考停止的にやってきた慣習やルールを変えることを想像してみる。そうすると「仕方ない」と思っていたことが実は別の形で解決できはしないでしょうか?

本当に出勤は必要でしょうか。その打ち合わせは今日しなければいけないのでしょうか。今まで通り政治は他人事でよいのでしょうか。事業や収入は今まで通り行くでしょうか。そうではないとしたら、どうやって助け合うとよいでしょうか。

想像の翼があれば、僕たちは厳しい環境下であっても、新しい未来をつくりだすことができます。それに楽しいことや下らないことだって考えることができるのです。(この記事のサムネイルにはどんな画像が想像できるでしょうか)


気づかぬうちに、僕たちは日常にあくせくしながら「想像」の余白がなくなってしまっています。新型コロナウイルスという「見えない」ものとどう戦い、これからどう生きていくか、これを機に想像力を取り戻せるかどうかに未来の鍵があるとおもうのです。

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