問題解決あるあるコラム#7:「問題ありませんは本当に問題ないのか?」
こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。
問題解決あるあるコラム第7回のテーマは、「問題ありませんは本当に問題ないのか?」です。良く使いますよね、これ。この「問題ありません」って言葉は、前回の「キャリーオーバー」と同じくらい便利な言葉なんです。「問題ありません」って言うとみんなスルーしてくれるんですよね。「あ、問題ないのね」って。でも、僕は「問題ありません」って言われると、つい「何が?」って聞いてしまいます。そうするとみんな色々口ごもっちゃって、何が問題ないのか教えてくれないんです。そしてしつこく「何が?」って聞く僕はみんなから嫌われます(笑)。
なぜ、「問題ありません」といいたくなるのか?
この「問題ありません」は、現場で作業している人に今の状態を聞いた時や、FMEAのアクションの結果欄などで良く出現します。なんならFMEAだと最初のPotential failureの欄に「~なので問題なし」とか書かれているのを目にします。これ、すごい心配ですよね。「本当に問題ないの?」その前に「何が問題ないんだ?」と思ってしまいます。本来なら、「〇〇が確認出来た」「△△が検証できた」とか、具体的にわかった事を教えて欲しいのに、まるっと「問題ありません」と言われても、言った人がどこに着目して「問題なし」と言ったのか、聞き手には全くわかりません。みなさんはわかっていますか?
「問題ありません」は「問題ない」と思いたい我々の心の声?
そう思って、自分が「問題ありません」と言いたくなる状況を考えてみました。そうすると、次の様な状況だと思い当たりました。「聞かれた事に明確な答えが出来ない時、とはいえこれと言った心配点が自分からは見当たらない、さらにこれ以上この事についてあれこれ聞かれたくない」そんな時に「問題ありません」と言いたくなります。とすると、僕が質問して「問題ありません」って返ってきた時は、「本当に問題がないかはわからないけど、とりあえず大丈夫そうだし、早く仕事進めたいのでもうあっち行って」って言われている事なんだ、と思い至りました。つまり、「結構やばいんじゃね?」と言うことです。だって、そのあと「何が?」って聞くと答えが返って来ないんですよ、これは危険です。
「問題ありません」は「問題あり」の裏返し
要はこの「問題ありません」は、日本語特有の「察してよ」文化の上に成り立っている、極めて曖昧な言語コミュニケーションの代表なのです。僕らはこの非常に便利な言葉に頼って、大切な確認作業を怠ってしまっているのではないでしょうか?だって、「問題ありません」と言われて問題なかった事ないですもん。これは、当に「出来てます報告」の変化系なのだと思います。みなさんも是非お手元のFMEAを眺めてみてください。きっとそこかしこに「問題なし」と言う表記があるはずです。そして、それを見つけたら何が「問題なし」なのかを調べてみてください。きっと分からないと思います(笑)。
この「問題ありません」は、日本中いや世界中で使われている訳で、ここまでの考察からさらに考えると、非常にまずい状況なのではないかと思われます。だって「問題ない」の分、本当は「問題だらけ」なのですから。これはちょっと危機的状況です。でも、さらに考え続けると、そんな状況からも次の様な一筋の光が見えました。「ちょっと待てよ、と言うことは『問題ありません』と言われたらそこに問題があると言うことだ、問題の方からその場所を教えてくれているではないか!だって、キチンと確認ができていたら、できた事を説明してくれるはずで、それができていないので『問題ない』という曖昧な表現に逃げているだけなのだから。」ちょっと長かったですが、伝わりました?(笑)
「問題ありません」は「潜在」と「顕在」の狭間に生まれる
つまり、人間の「リスクを顕在化させたくない」と言う心理が「問題ない」と言う言葉を選ばせ、その場をやり過ごそうとしている訳です。逆に考えれば「問題ない」と言った時には、我々の五感が「潜在リスクを検出した」ということを知らせてくれている、ということです。難しいと苦労していたFMEAも我々人間の持つリスク検出能力を活用すれば、意外と上手く進める事ができるかもしれません。是非、みなさんも現場で聞こえる「問題ありません」に耳を傾けてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?人間って実はすごい「危機察知能力」を持っているのですよね。この能力は普段は面倒くさい事から逃げる事に使っていますが、視点を変えてあげると本来使いたい「見えていないリスクを見つける」事に使う事ができそうですね。その方法については、また別の機会にじっくり考えてみたいと思います。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
また次回もお楽しみに!
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