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問題解決あるあるコラム#24:PDCAを回したかったらCAPDoからはじめよう

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第24回のテーマは、「PDCAを回したかったらCAPDoからはじめよう」です。ん? CAPDo? PDCAと何か違うの? と質問が来そうですね。そう、PDCAではなくCAPDoなんです。順番が入れ替わっただけの様に見えますが、実はCAPDoからはじめないとPDCAって回らないのです。知ってましたか? 世の中でこれだけ「PDCA、PDCA」と言われているのに、実際にPDCAが回っている実感を得られている人って意外と少ないのではないでしょうか? PDCAが回らないのは実はCAPDoからはじめていないからなんです。今回はそのからくりを一緒に考えていきたいと思います。


なぜPDCAは回らない?

みなさんもPDCAって良くご存知ですよね? 「Plan」「Do」「Check」「Action」それぞれの頭文字を取ってそう呼ばれています。計画・実行・検証・改善のサイクルを回して、より良い活動にして行く基本プロセスの事です。世の中のありとあらゆる組織や個人の取り組みの中で、この「PDCA」の実践こそが必要かつ必須の取り組みと考えられています。が、このPDCAサイクルがうまく回っている事例はまず見かけません。なぜでしょう? それは、この取り組みを「P」から始めてしまっているからなのです。

「P」から始めると必ずプロセスは止まる

「へ?」と思いましたか? 思いましたよね。活動を始める前に計画を立てるのは当然でしょ? と思った方も多いのではないでしょうか? その通りです。計画を立てなければ、PDCAははじまりません。が、実は計画を立てる前に「必要なこと」があるのです。でも、殆どの人たちがその「必要なこと」をやらずに計画を立て始めてしまっているのです。これは以前のコラムでも書きましたが、人は見栄っ張りなので計画を立てようとする時に、思いっきり風呂敷を広げてしまいます。大風呂敷も大風呂敷、側から見たら「え? そんなこと本当にできるの?」と言うことまで計画に盛り込み、いわゆる「机上の空論」から「出来もしない計画」を立ててしまいます。つまり、「絶対に実現出来ない計画」を立ててしまうため、その活動は最初から躓いてしまうのです。

なぜ出来もしない事を言い出すのか?

ではなぜ、人は出来もしない事を言い出してしまうのでしょうか? それは、最初に言った様に「P」から始めてしまうからです。「計画」から取り組みを開始しようとすると、人は「べき論」に引っ張られてしまい、「こうあるべき」「こうするべき」という理想論を優先してしまいます。自分が出来るかどうかは重要ではなく、「あなたはこうするべきだ」と相手に押し付ける事を優先してしまうのです。人は他人にはDemandingなのだという性質がそのまま出てしまいます。これは、我々人間が持って生まれた特性なので避けようがありません。みなさんも経験ありますよね? 改善するぞ! 組織の風土を変えるぞ! と、気合の入った壮大な計画が展開された時のあのなんとも言えない空回りな空気。でも、自分が計画を立てる側に回ると同じ事をしてしまうのです。

「べき論」を優先してしまうのは「現状」を見ていないから

では、どうしたらこの状態から抜け出せるのでしょうか? それは、「現状を知る」事で変える事が出来ます。取り組もうとした活動の「現状」をよく観察し、分析するのです。どこまで出来ていて、どこから先が足りないのか? 理想の状態と現実とのギャップは何なのか? それらを見える様にする事が、現状を是正・改善するスタートになります。この、「現状を知る」事こそが「C=Check」「A=Action」のステップなのです。CAPDoの「A」は「Action」より「Analyze」と言い換えた方が分かりやすいかもしれません。この様に、この「C」「A」のステップを最初に踏まないと、「べき論」こそが正解だと思い込んでしまい、「べき論」を実行するための「出来もしない計画」を立ててしまうのです。

「C」と「A」が次の「P」を生み出す

けれど「現状」が分かれば、そこから見つかったギャップ=「『あるべき姿』の手前の『なりたい姿』」を思い描く事が出来ます。「あるべき姿」に対して「ない」ものを「ある」に変えるより、「なりたい姿」に対して「足りていない」ものに「何を足せばよいのか?」は想像がつきやすく、実現の可能性も感じる事が出来ます。人間はこの「可能性」に対してモチベーションを持ち行動に移す事を好みます。出来もしない「べき論」には「動機」が生まれませんが、可能性のある「なりたい姿」には強い「動機」が生まれるのです。そうして、可能性を感じたゴールに対しては、実現可能な「具体的な計画」が生まれます。

CAPDoからはSMARTな計画が生まれる

この「具体的な計画」は「足りていなかったもの」に何を足すのか? が明確になっていますし、「なりたい姿」にどの程度近づいたのか? というビフォー・アフターも評価する事が出来ます。そして、その「なりたい姿」を達成する目的=「なんのために?」も明確であり、「いつまでに?」達成したいのかも、自分たちで予期する事が出来ます。ここまででみなさんお気づきですね? そう、これらはSMARTと呼ばれる5つの項目が含まれています。「Specific=具体的」で「Measurerable=測定可能」で「Achivable=達成可能」で「Related=仕事との関連性」があり「Timebound=時間軸」がある。見事なSMARTプランです。普段SMARTプランを作成するのに苦労されている方もいらっしゃるのではないでしょうか? 苦労していたのは計画を「P」から始めているからだったのです。「べき論」からは「具体性」も「実現性」も想像することすら困難であり、取り組みの成果をどう「測定するのか」すら思い描けません。「あるべき姿」を実現する以外ないのですから。でも、「なりたい姿」を思い描く「CAPDo」からならSMARTプランを作り出すことが可能なのです。

SMARTプランはPDCAの見える化ツール

SMARTプランが出来上がってしまえば、後は実践するのみです。SMARTプランには、達成すべきタスクや時間軸が設定されています。立てた計画通りに活動が進んでいるのかを常に確認していれば、想定外の遅れが生じた場合にも速やかに修正をする事が可能となります。つまり、SMARTプランは「決められた計画=P」を「決められた通りに実行=D」し、その「進捗を確認=C」しつつ、必要があれば「修正・対応=A」する。というPDCAを実践・見える化する為のツールでもあるのです。

CAPDoからはじめてPDCAを回す

このように「現状」と「理想」との「ギャップ」を知って「なりたい姿」になる為の計画を立て実行し(ここまでで「CAPDo」ですね)、その取り組みの結果を測定し(次の「C」)その結果を分析評価し(次の「A」)見つかった新たな課題に取り組む動機が生まれれば、次の計画「P」を立てる事が出来ます。こうして「PDCA」がぐるりと回り、次の「PDCA」が生まれる、と言う継続的改善のサイクルが回っていきます。「CAPDCA……」と一度回ってしまえばPDCAサイクルは回り続けることが出来るのです。そこには「べき論」に振り回されることなく、自分たちの「現状」に「何を足していくのか」に焦点を当てた、地に足のついた「実現可能な」改善の機会が存在しています。

おまけ・IATFが余計仕事になってしまうのも「P」からはじめているから

ちなみに、みなさんが大嫌いなISO9001やIATF16949などの品質マネジメントシステムが「余計仕事」になってしまっているのは、今お話してきた様にPDCAの「P」からはじめてしまっているからなのです。ISOもIATFも要求事項は「PDCA」で構成されていますが、規格が求めているのは「PDCA」ではなく「CAPDo」なのです。「?」と思った方、規格本を最初から読んでみてください。要求事項の一番最初の4章は「組織の状況の理解」からはじまっています。そう、「現状把握」からはじまるのです。「現状が分かった上で計画を立てて下さい、そうしないと失敗しますよ」と規格は言っているのです。そして、もうひとつ品質マネジメントの大事な活動に「内部監査」があります。これもみなさん大嫌いだと思いますが、これこそ組織の「現状把握」の最たるものです。よく考えられていますね。

決められたことを「やらなければいけない」からはじめると、余計仕事になってしまいますが、「現状把握」からはじめると「足りないものを追加していく」活動になるので、必要な仕事に変わります。「P」からはじめるか「C」からはじめるかで随分と活動も結果も変わってきますね。こうして視点を少し変えてみると、大嫌いだったISOやIATFも好きになれるかもしれません。

まとめ

いかがでしたか? PDCAを回そうとするばかりに、自ら高いハードルを作り出し、出来もしないことを「気合いと根性」で取り組もうとしていたことに気づかれましたか? PDCAを回すためには、自分たちの足元を良く見て「現状」を知り、「理想」と「現実」のギャップを明確にする「CAPDo」からはじめなくてはなりません。でもそうは言っても、これまでのやり方を急に変えるのは自分たちではなかなか難しいものです。この取り組みの変化をお手伝いするのが「CITA式問題解決トレーニングプログラム」です。今回のコラムをお読みになり「CAPDo」に興味を持って頂いた方は、是非『問題解決の教科書 CITA式問題解決ワークブック』も読んでみてください。本書で紹介している手法がみなさんのプロセスをPDCAからCAPDoへ変化させるきっかけになるかもしれません!また、KAIOSではIATF16949の運用支援も行っておりますので、興味を持たれた方は是非お声がけください!

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「足の小指を救うためには」です。
次回もお楽しみに! 


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