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ビジョントレーニング=眼球運動ではない!

最近、ビジョントレーニングがピックアップされるようになってきています。


スポーツの能力向上に、発達障害と診断された子のリハビリに。本屋さんでも棚に何冊か本が置かれるようになりました。


数年前から目の動きと身体の動きの関連性の高さを感じていたので、目の動きが注目される事は非常にいい事だとは思っています。


しかし、ビジョントレーニング=紙面で行うものだと伝えていたりする団体や本がたまに見られます。


何もしないよりはマシかもしれませんが、ビジョントレーニング=目だけの運動と捉えると少し問題があるのかなと考えています。


この記事では、ビジョントレーニングの有効性と、実際に考えるべきポイントを僕の視点でまとめて見ました。



ビジョントレーニング=目の動きだけだとキツすぎる

まず覚えておいて欲しいのは、「目の動きが苦手な人は、目の動きを矯正されるととてもキツい」という事です。


本当にすごく大事な事なんです。特に子どもに行わせる時には注意が必要です。


僕自身、あまり眼球運動は得意な方ではありません。小学校の頃よりメガネを使用していた影響から、物をみるときの調整の動きがうまくできません。


そのため、スポーツしている時はボールをパスされると急に目の前にボールが出てくる感覚があり、キャッチし損なうなどの弊害が生じていました。


こんな感じで眼球運動が苦手な僕なのですが、実際に眼球運動を行うようなビジョントレーニングを行うと、難しくなればなるほど全身の筋緊張が高くなっている事を実感します。


寄り目なんかは最悪です。数回行っただけで息が止まるほど力が入ってしまいます。


眼球運動が苦手な人ほど目だけを動かすというのはかなりしんどいんです。


大人で、カラダを動かす事が趣味のような僕ですらこんな感じです。これが子どもになると、その全身への負担は凄まじいものになります。


目を動かすと体に力が入ってしまって苦しい。うまくできないから何度もやらされる…。こうなってくると最悪です。


実際、僕が関わっていた目の動きに問題のある子は、目だけを動かすようなビジョントレーニングには抵抗があり、実際にやろうとするとふざけたり、何らかの理由をつけてトレーニングをサボろうとします。それほどに眼球運動は負担が強いのです。



目の動きとカラダの動きは繋がっている

ビジョントレーニングを考える時、しっかりと知っておいて欲しいのは目の役割です。


目の役割としては
・眼球運動
・目の動きと身体の動きの関連性
・視覚情報とバランス反応の関連性

の大きく分けて3つに分類できると考えています。


眼球運動は先ほどまで記載したような目の動きです。しかし、目は目の動きだけが独立しているわけではなく、カラダの動きとリンクしているのです。


赤ちゃんは、視覚に入ったおもちゃ等の気になるものを触ろうとしたり取ろうとする事で、寝返りや手を伸ばすといったカラダの動きが引き起こされます。


カラダの動きと目の動きがリンクする事で、赤ちゃんは自分のカラダのことを認識できるようになります。さらに空間の認識なども向上していきます。



また、視覚情報とバランス能力のリンクも非常に大事です。


僕たち人間は歩いている時に、重心移動の関係で、頭は上下左右に動いています。


しかし、実際には頭が揺れているものの、僕らが歩いている時にはそんなに揺れを感じないんじゃないかと思います。


この揺れを抑制しているのも眼球運動なのです。揺れに反応して眼球運動が調整される事で、僕たちは揺れを感じずにものを見る事ができるのです。


このように、眼球運動は、目の動きだけの問題ではなく、カラダに入ってくる情報とも強いリンクがあるのです。


そのため、眼球運動だけのビジョントレーニングでは足りない部分が生じてしまうのです。実際にやるべきなのは、全身の動きと眼球運動をリンクさせるようなトレーニングが重要になるのです。


遊びながら目の動きを使わせる

僕は目の動きに介入する際は、できるだけ眼球運動だけのトレーニングは控えるようにしています。眼球運動はそれだけ難しいからです。


まずやるようにしているのはカラダの動きと目の動きをリンクさせる事です。


子どもだけでなく、多くの大人が目の動きとカラダの動きのつながりが悪くなってしまっています。


そうなってくると眼球運動のつながりの悪さはもちろんのこと、身体の動きの制限が生じてしまい、痛みや不調の原因になってしまうこともあります。


子どもとビジョントレーニングを行うときも、絶対に眼球運動だけの運動からは入りません。先に書いたように抵抗感の強い子どもが多いからです。


目の動きとカラダの動きをリンクさせるのには、やはりカラダを使った遊びがすごく大事だなと感じています。


例えば、積木を重ねていく課題を作って見たとします。
その時に、積み木の形状や落ちている場所をバラバラにすることで自然と目で見て探そうとするので、眼球運動が行われます。


また積み木を見つけて積み上げることで手と目の協調性も高める事ができます。


積み木を探す時には下を見る動きを。積み上げる時には上を見る動きをそれぞれ行うため、本人も楽しみながら眼球運動と身体のつながりを高める事ができます。


実際に、計算ミスや文章の読み飛ばしが多かった子にこのようなビジョントレーニングを行なって見たところ、読み飛ばしの頻度が激減した事があります。


それだけカラダを使いながらの眼球運動が非常に大切だという事です。


何よりも楽しく、苦手意識なく取り組んで欲しい

このように、眼球運動を行う際はカラダを使いながら取り組む事で、目の動きもよくなってきます。


眼球運動だけのトレーニングを行うのなら、本人の負担が少ない姿勢や、見やすいところから行なってあげるのがいいと思います。


僕自身が経験しているのでわかるのですが、ただ漠然と目を動かすだけの運動は疲労感も強いです。


子どもの頃に目の動きに苦手意識ができてしまうと、本を読むことや勉強に対しての苦手意識が強くなってしまう傾向があると感じています。


もしかしたら僕たちが大人が良かれと思って嫌がる子どもにビジョントレーニングを提供したことで苦手意識が生じてしまっていることもあるかもしれません。


なので、僕としては、苦手意識を感じずに楽しくビジョントレーニングをして欲しい。


できればトレーニングしていると意識せず、遊んでいたらよくなったというシチュエーションで取り組めると最高だと思っています。



色々と目の動きを入れながら遊んでみてくださいね。



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