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ひとつノオト

2020年9月17日。

壱音の10回目の誕生日。

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Ichitoが生まれ、そして恩師を亡くした2010年。

この年、一緒にビジョンを追求してきた恩師が自死という形で亡くなった。

経営についてだけでなく、人として、親として、数えきれないほどの大切なことを教えてくれた人だった。

自分と向き合い、人と向き合うこと

について、血肉に染み込ませるように教わり、同時に未来を切り拓く日々。

厳しい資金繰りをやりくりしながら、ビジョンの実現への強い想いを持ち、

何のための事業か

をとことん大切にしながら。

[Nozomi Suzukiさんが原点を綴ってくださった記事]

2010年12月27日。

世の中の大半が仕事納めを迎えるその日。

最後の資金繰りの望みを手繰ってくると言って出張に出ていた恩師の帰りを、年末を越すためにどうしても支払いすべきものの段取りをつけ、最終決裁だけを残す形で待っていた朝。

その訃報は届いた。

資金繰りのため四六時中メールをチェックする自分以外の幹部に宛てて、朝になったら見られるように送られていた第一報。

支払いを受けに来ていた取引先の担当者に無理を押して帰っていただき、錯綜する情報を整理する中、昼ごろに自宅に自筆とタイプの形で別封筒で、2通の遺書が届いたことを知らされ。


怒涛の年末年始だった。

最後の最後まで最大限の心配りをしてくださり、Kazushige主導で全ての整理を進めていけるように整えてくださっていたこともあり、遺書にあった方針通り、お世話になっている法律事務所と二人三脚で猛スピードでその後の方針を決めるための段取りに取り組み。

例年は、当時の妻の実家に家族で行くのが恒例となっていた年末の数日。

その年はIchitoと妻の2人で帰ってもらうことにして、3日ほど一心不乱にその後の処理に必要な資料を過去20年分のあらゆる記録をひっくり返し整理し精査し資料にまとめ。

そして迎えた、2010年の大晦日。

全勢力を傾けて、突貫工事で完成させた全ての資料を弁護士さんに送り終えたちょうどその時。

妻とIchitoが妻の実家から帰宅して。

玄関を開けて、生後3ヶ月ちょっとのIchitoの顔を見た瞬間。


涙が溢れて、止まらなかった。


それからの半年ほど。

弁護士さんが進めてくださる整理の補助をさせていただきながら、お世話になった人、共感・応援してくれていた人、迷惑・心配をかけた人...それらの人達にきちんと挨拶し、説明し、誠意を尽くすことに心を砕き

もちろん、自分に可能なほんの僅かな範囲の中だけではあったけれども。

そんなわけで、人に会うか自宅でPCで弁護士さんの補助業務をしているかがほぼ全ての時間の使い方だったこともあり、

寝返りをうち ハイハイし 掴まり立ちして 立って歩いて

というIchitoの成長の軌跡を全て間近で見させてもらうことができたのもこの頃だった。

妻の大変さに比べれば何十分の一も手伝えてはいなかったけれども、一緒に布オムツを洗い、ミルクを作り、離乳食を作り、かけがえのない経験をたくさんさせてもらうことができた

それから10年。

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そのちょうど半分にあたる2015年の10月からは、Ichitoと2人で道を切り拓いてくるようになり。

素敵だと思うカルチャーを人の想いをつなぐことで世の中に根付かせる

そんな生き方を、ずっと横で支え続けてきてくれたIchito。

2015年にはAirbnbと出会い、父子ともども多様性に富んだ人に囲まれ、支えられ、かけがえのないものをたくさんの人からもらって

その時限りの出逢いばかりでなく、何年にもわたって続く素敵な縁もたくさんでき。

[オーストラリアのDale&Benjamin&Pollyと]

[インドのBornaliと]

[ドイツとスイスのThomas&Kisaと]

そんな経験を重ねる中で、こんな風に、逞しくそして繊細に成長しているIchito.

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そうしてIchitoとともに、旅するように暮らし歩んだ、この10年。

こんな未来が拓けたんだなと思える節目に差し掛かっている今年。

夢見てた未来は
それほど離れちゃいない
また一歩 次の一歩 足音を踏み鳴らせ

例えば雨雲が
目の前を覆ったって
また日差しを探して 歩き出そう

時には灯りのない
孤独な夜が来たって

この足音を聞いてる 誰かがきっといる

作詞:Kazutoshi Sakurai
作曲:Kazutoshi Sakurai

その節目の年の9月17日。

人と人のつながりを大切にするAirbnbホストに将来なりたい

そんな風に話してくれたIchitoに、プレゼントとともに手渡した。

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心からの感謝の気持ちを。

とってもあたたかい、たくさんの愛情に囲まれた中で。


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