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レア

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#小説

#2

それでも一日中、布団の上げ下げ、お膳立て、掃除、洗濯はまだ機械に任せる訳にはいかない時代である。
 シーツや掛け布団、枕カバー、浴衣は糊付けしきちんと畳みアイロンをかける。予約を確認して帳簿をつける。
 おかげで、和服の折り方と膳の作り方だけは今でも覚えている。
お茶屋、八百屋、魚屋に肉屋の御用聞きが、
「今日はいかがですか?」と入れ替わり立ち替わりに来る。その他諸々の雑用がある。我が儘な客

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明治生まれのモガ

私の周りの人たちの話をしよう。
 私の家は、その昔はそれなりに栄えた港町で、旅館を営んでいた。
 旅館と言っても、商人宿で二十人も入れば満室になる程度の小さい宿屋である。

祖母の代から始まって、百年近くのなる。今日は、その婆さんの話から始めようと思う。
 私は祖母を「おばば」と呼んでいた。お祖母はいつも藍色の地の小紋を普段着に、綺麗な背すじの通った姿で、さっさっさと步く。娘達や孫たちに、
 

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