見出し画像

熊野古道伊勢路を歩くday3#2

鉄製の単管に竹を覆い被せて造った手すりを持って道から外れて降りていく。その先には小さな小川が流れていた。

薄暗い道へ降りていく


小川の水量は少なく、それでも綺麗な水が山から流れ込んでいた。
降りた先には川を避けるように木々が列をなしていたが、とても道があるように思えなかった。
気合を入れて降りた割にはあれ?と戸惑ったもののすぐに打ちのめされた。

本当の道は振り返った場所にある。
旧道と紀勢本線をくぐるトンネルが口を開けて待っていた。
トンネルといえば聞こえがいいが、高さ150cmくらいの内部は電気もなく、しかも山から流れる小川がトンネルへと流れているのだ。トンネルというより水路と呼んだ方が正解かも知れない。
トンネルの中には、幅30cm程の足場が置いてある。
ここを進むのか?
躊躇したというよりも何故かワクワクした僕がいたのは紛れもない事実だった。

階段を降りて振り返ると

トンネルの入り口付近は光が届いていたが、数歩歩くと真っ暗になる。遠くに(実際は近くなのだがそう感じる)出口の明かりが見えるだけで、怖くなる。
スマホのライトを頼りに安定感の悪い足場を踏み外さないようにゆっくりと歩いた。

トンネルを出ると一気に雰囲気が変わった。

小川を越える橋は木板


田久保川を沿うように作られた馬鹿曲がりは、時には川に渡した木板を渡り歩くようになっている。
なんだろう。この気持ち。年甲斐もなく冒険が始まったような昂る気持ち。おそらく、今の僕の顔はニヤケいるに違いなかった。

ワクワクが止まらない

田久保川のせせらぎを聞きながらすぐ横の道を進む。川の近くだからだろう。うっすらと地面は湿っていて枯葉が滑りやすくなっていた。道幅は一人歩けるくらいの狭いものだが、自然を感じるには充分だった。

苔で足が取られる事も


苔の生える小道を進む。一本道だから迷うことはないのだが、所々に案内板とノボリが立っている。
古道の雰囲気が。。。という人もいるかも知れないが、僕にはこれがすごく助かっていたと思う。

倒木をくぐり抜け

本来なら、もっと宮川付近まで周るようだが、国道を避けるためにとか地元の語り部の話を元に、近道が再現されていた。
その近道の先には、不動谷川を渡る橋も再現されていた。幅1.5m長さ11mの木橋の橋台は当時のままだというが、おそらくそれを記した看板が、色落ちしていて何もわからなく残念だった。

再現された橋

馬鹿曲がりの道を終えようと進むと、鉄製のフェンスで塞がれていた。
ここまできて出口が閉鎖されているのか?と焦ったが、よく見ると簡単な錠で閉じていただけだった。

害獣対策なんだろうが


錠を開け、外に出て納得した。
おそらく害獣対策としてのフェンスなのだろう。ただ僕には、フェンスが聖なる山と俗世界を分ける壁に見えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?