見出し画像

杉本博司氏 「本歌取り 東下り」を鑑賞して 松濤美術館

言わずと知れた著名な現代作家である杉本博司氏。
一時期、京セラ美術館にも置かれていたガラスの茶室は、光と陰翳が好きな私には良さが分かりませんでした。芸術の巧拙を介さない素人の好みに合わなかったと言うだけですけれど。しかし、江之浦測候所などは写真でしか見たことがないものの惹かれるものがあります。
考えてみれば、大好きな長谷川等伯さんも、円山応挙さんも、本当に好きな作品はそれぞれ松林図屏風と藤花図屏風などと限られるわけですので、逆に良い出会いがあるかもしれぬと三連休最終日に松濤美術館を訪れました。

閑静な住宅街にある小さな美術館

正直、やはり私のような素人には良さが分からない作品が多かったのですが、惹かれた作品もいくつか。食わず嫌いとならずに訪れて良かった。写真撮影は可能でしたので、タイトル写真を含め、好みの作品の写真を貼っておきます。

テーマとなった本歌取り。過去の和歌の名からインスピレーションを得つつ、それを取り込んで新たな作品を生み出す技法のようです。
和歌もあまり解さぬ私ですが、本歌取りよりも、茶の世界で多用される「見立て」の方が好きかもしれない。ただ、前者は創作であっても、後者は演出に近いと思われるので、創造者であるアーティストには採用されないのでしょうか。素人の見当違いな妄想ですね。

そうそう、2階のエレベーターホールのモニターで姫路城で上演されたらしい能の映像が流されているのですが、特に梶原景季の箙(えびら)に魅入ってしまいました。箙に限らず、私は平家物語を題材にした能の演目はやはり好きです。平家物語以外でも羽衣など装束に惹かれる演目もありますけれど。
しばらく能楽堂も訪れていません。好きな演目を探して、久しぶりに訪れてみよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?