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東山魁夷さんの翠と山歩き
子供の頃から東山魁夷さんの絵が好きです。両親共に好きだったものですから、よく美術展に連れられて放心したように魅入っていた遠い記憶があります。
生まれ育った京都が描かれた「京洛四季」の作品群、鹿野山の「残照」、白馬のシリーズ、富士山を描かれた「黎明」、薄も鮮やかな「秋思」、「白い朝」、紅葉の「秋翳」などなど。好きな作品を挙げ始めればきりがありません。
そんな好きな作品群の中でも、霧に煙った翠の山並みを描かれた作品が一際好きです。「山嶺白雲」「山嶺湧雲」「青い谷」「山霊」、そして唐招提寺障壁画の「山雲」。
ですから、山を歩いていても、快晴絶景の稜線も好きですが、ガスに煙る翠の山並みに強く惹かれるのです。
先週末、八海山の屏風道を散策。
夜半まで降っていた雨が上がった朝、豊かで深い山並みはそんな世界が広がっていました。カメラのシャッターを押した後も、しばし放心したようにその空間への同化を望む清澄で幽寂の世界。
雨後の木々は艶やかに輝き、山紫水明の日本に生まれた幸運を思います。
ガスに煙る屏風谷にはいく筋もの滝。
八ツ峰の稜線も、ガスによってその荒々しさが際立つようでした。
記憶にある限りでは、東山魁夷さんが八海山を描かれたことは無いように思いますが、こんな八海山と同様の、絵画に描かれた美しい自然が日本にはまだ豊富にあります。
「京洛四季」のシリーズは、川端康成氏が失われゆく京都の美しさを絵画として遺すよう東山魁夷氏に仰ったことで生まれた作品群とか。その後の京都では、ご懸念のままに絵に描かれた美しさは失われ続けています。
美しき山々の自然も、日本人が誇り、後世に残すべき貴重な遺産ですね。
もちろん、稜線歩きでは青空の絶景が一番。そんな青空も楽しんだ八海山登山でした。
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