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絵画の森を逍遥 「FROM - それぞれの日本画 - 」  郷さくら美術館

先週末は山の中の森を堪能。
そして今週末は絵画の森の中をそぞろ歩きしてきました。

場所は中目黒の郷さくら美術館。こちらは現代日本画を専門とする美術館。以前もこちらのnoteでもご紹介したことがあります。

今回は好みの作品、特に森や木々の日本画が展示されているとの情報を事前に得ていました。梅雨に入って山に入りづらくなる頃に伺おうと思っていましたが、我慢できずに中目黒の混雑がひどくなる前の午前中に訪問。

さほど混雑はしていませんので、いつものように一通り全ての作品を鑑賞した後、気に入った作品を再訪して堪能するスタイル。こちらは写真撮影も可能でしたので、素人の拙い文章を並べるよりも、いくつか写真を並べておきます。私が惹かれた作品の魅力を僅かでもお伝えできればと。

永沢 耕平 氏作 森の夜

森の夜
森の夜 部分

こちらが今回一番惹かれて、作品の前にしばし佇んで眺めたり、近づいてしみじみと魅入ったり、一度他の作品に移ってまた戻ってきたりと怪しい動きをしていた作品。
山を登る時、ルートが長い時や、眺望の場所でご来光をお目当てにする時などは、日が上るかなり前からヘッドライトの灯りを頼りに歩き始めることが多いです。ヘッドライトの光は強力なので、点灯している時は周りの森の雰囲気は逆に見えなかったりするのですが、満月の夜などはヘッドライトを消して歩いたりします。そうすると途端に周囲の森の表情が豊かになり、その中に抱かれているような心地になることがあります。この作品は比較的標高の低い山の樹相でしょうか。優しい森の空気感が心地よい作品でした。

木下 めいこ 氏作 春爛漫〜白〜

春爛漫〜白〜
春爛漫〜白〜 部分

杉板でしょうか?木目を活かして描かれた作品のその質感と空気感に惹かれました。この絵の中に蝶々はいない方が好みではありましたけれど。
桜の種類は枝垂れ桜でしょうか?
できれば同じモチーフの山桜の作品もあれば鑑賞してみたい。

野地 美樹子 氏作 Sijima silent

Sijima silent 部分

タイトル写真の作品です。野地氏は上述の水がテーマの展覧会の際、迫力のある鳴門の作品を描かれた作家さんですね。
お前は雪の作品だったら取りあえず吸い寄せられるだろう?と言われればそれまでですが。。雪の森の静謐がそのタイトル通り描かれた、分かりやすく心惹かれる作品です。山の奥ではなく、人里に近い雪の森かな?

木下 めいこ 氏作 空創

空創
空創 部分

上の桜の作品と同じ作家さんの作品です。
白木蓮の作品ですね。説明には、空の青と木蓮の花の白、その色の反転について触れられていました。
白木蓮は、蕾が綻び始めて咲き始めの姿には心惹かれます。ただ、桜のように美しく散華するのではなく、白木蓮は大きく開き始めて木に止まったまま茶色く変色してしまう。その移ろいがあまりに早く、その散り様が寝汚く感じてしまうこともあります。絵画であれば、そのような姿を見ることなく、美しい盛りの頃の心象風景を留めておけますね。

押元 一敏 氏作 妙義

妙義
妙義 部分

こちらは、単に久しぶりに妙義の山に行きたいなと思わせてくださった作品。
西上州の山々は、上信越自動車道から望める範囲だけでも、その厳しくも独特の景観に惹かれます。実際に登ると、場所によってはロープの確保が必要で、私などの初級のハイカーを寄せ付けない上級者向けの山域ではあります。この作品は実際の妙義の姿を写実的に写し取られたものだと思います。場所の特定はできませんが、妙義を特徴づける山容です。
下の写真は以前に登った時の妙義の景観。

以前登った妙義山の一部


他にも多数の作品、1階から3階までに展示されています。(内、2階は桜の作品ばかり集めたフロア)

やはり日本画は魅力的です。
6月23日まで開催されていますので、梅雨入りした後の沈みがちな気持ちを涼やかにほぐす目的ででも訪れてみられてはいかがでしょうか。



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