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おつかいは自己有用感に繋がるという話

ピゴと個別療育に行くとき、ときどき祖父に車を出してもらう。
先日もそのような機会があった。
その帰りのこと。

「今日はファミレスに行く?行くなら行ってもいいけど、ママは行けない。おじいちゃんと2人で行ってほしい。」
とピゴに尋ねると、ピゴは少し考えて
「行かない。」
と返答。
ママが一緒でないと嫌だというわけだ。
ママである私としては、親以外の大人と外で過ごす時間を少しでも持ってほしいと思っているのだが、あえなく却下されてしまった。

そこで、彼に聞こえるようにつぶやいてみた。
「もしファミレスに行くなら、その後、隣のスーパーで牛乳とか買ってきてほしいと思ってたんだけど…」
すると。
やっぱり行く!
ピゴの気持ちが変わった。
やった!

現金・ポイントカード・買ってほしいものを書いたメモをピゴに渡すと、彼は車の中でそれをニコニコしながら見ていた。
おじいちゃんもピゴのことはよーくわかっているので、
「おじいちゃん、そのスーパーのことよく知らないし、何を買うのか覚えられないから、ピゴくんが頼りだよ。」
と声をかけていた。

実際に渡したメモ

ピゴはまだ1人では買い物をすることができない。
買い物のしかたがわからないのではない。
人が多くいる場所では何か予期せぬことが起きるかもしれず、
特にレジで他人と対峙することが不安だからだ。
なので、無人レジならば出来ることもある。
しかし、この日に寄る予定のスーパーには残念ながら無人レジはない。
完全に1人は無理でも、横におじいちゃんがついていればフォローもしてもらえる。
親が一緒だと親が買うものだとピゴにとって買い物が他人事になってしまうが、今回はママの代理で、自分の家で食べるものをピゴが責任を持って買う立場のだ。
おじいちゃんはあくまでもフォローするだけ。
大人と一緒に買い物するということでも、その大人が親と祖父とではかなり違うと考えている。

実際の買い物の様子は、私は見たわけではないのでわからない。
でも買い物をしたという達成感はあるようで、帰ってきてとても誇らしげだった。
褒めてほしいと頭を私の胸の前に突き出してきたので、お礼を言いながら撫でた。
…11歳。親にいい子いい子と頭を撫でてほしいだなんて、あと何ヶ月だろうか。

このエピソードで感じたことは、「誰かの役に立っている」という自己有用感は役割意識を育て、それは社会適応を良くしていくことに繋がるということ。
他人にあまり関心がなさそうなピゴではあるが、彼にとって大事な人(この場合は家族)には喜んでほしいという気持ちが確かにあるのだ。
そのためなら、ちょっと気が乗らなかったことでもちょっと挑戦できることもある。
そのちょっとの挑戦が、彼の体験を広げ、社会との接点を多くしてくれるはずだ。
あらゆることに圧倒的に経験値が少ないピゴだけれど、諦めずに少しずつ少しずつ、世界を広げて社会との接点を多く作る。
そんな子育て。

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