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ツールを使えば1人で出来る

ピゴはびっくりするくらい力が無い。
低緊張で力が入りづらいというのもあるし、力の入れることを怖がっているフシもある。
そんなピゴ、腕も脚もヒョロヒョロである。

そして、生活の中で瞬間的に筋肉に力を入れる場面も少ない。
それは彼の興味が限定されているからで、特に食への興味が薄い・食べたいという欲求があまり無いことが大きく関係しているのではないかと思う。

例えば、「お菓子を食べたい」と思えば、袋を開けたり箱を開けたりしなければならない。
どうしてもこのお菓子を食べたいと思えば、どうにかして袋を開けようとするだろう。
破るのか、ハサミで切るのか、あるいは食いちぎるのか。
食べたいために、自然とどうにかこうにか工夫を凝らすはずだ。

他の例。
宅配便が届いたとき、その荷物の中身は何だろうと気になる。
通販で買ったモノならば、それが自分に関係するモノかもしれない。
そう思って「早くあけたい」と思うだろう。
どうにかして箱を開けたい。
箱の口を塞いでいるテープをビリビリ剥がし、中の包装紙をビリビリ破くかもしれない。


上記の2つの例だが、我が家でチョコがやっていることだ。
ポテチの袋を見様見真似で引っ張って開け、チョコの包みを捩って開け、ポッキーの袋を縦に切り、ピノの箱を点線に沿ってバリバリ開ける。
届いた荷物も力一杯にガムテープを引っ張ってどうにか開ける。
中身が自分の洋服ならば、ビニールを引っ張って破り、値札もハサミでパチパチと切り離す。
…そうやって、手先を使い、道具を使い、力を使い、頭を使って、生活動作を自然に習得していく。
「食べたい」「新しい物を手に取りたい」という欲求がその行動を引き起こしている。

ところが、ピゴはその欲求が薄い。
そもそも食べられるものが少ないし、袋が開かなければ食べること自体を諦めがちだ。
今あるモノで満足できるからなのか自分に関係あるなど微塵も思っていないのか、新しいモノにもそんなに飛びつかない。

そう言うわけで、彼が生活動作を身につける機会はどうしても少なくなってしまっているのだ。


そんな彼の数少ない欲するものが、お茶だ。
彼はお茶をよく飲む。
ウチではサントリー「やさしい麦茶」の2Lペットボトル常備されている。
お茶を飲むというただそれだけの行為も、以下のことが必要になる。

  1. 冷蔵庫からペットボトルを出す

  2. ペットボトルの蓋を開ける

  3. お茶をコップに注ぐ

  4. ペットボトルの蓋を閉める

  5. ペットボトルを冷蔵庫に仕舞う

1の冷蔵庫からペットボトルを出すのだって、2kgのものを持ち上げ、冷蔵庫のポケットに引っかからないように取り出さなければならない。
もちろん冷蔵庫は開けっぱなしにはできないから、どのタイミングで閉めるのかも示す必要がある。
このように定型児がおそらく見様見真似でなんとなくいつの間にか習得することを、ピゴにはこうやって行動を細分化して、ひとつひとつ教えなければならないのだ。
それでもお茶を飲むことは彼にとっては頻繁に起きる欲求なので、まあまあすぐに習得するすることが出来た。
と言っても、ピゴが3年生くらいまでは彼が「お茶飲みたい」と要求して大人がサーブするのをやってしまっていたわけだから、スタートはかなり遅かったのだけどね。

それでも、最後の最後までどうしてもピゴが自力で出来なかったのが、「未開封のペットボトルの蓋を開けること」である。
確かにコレは大人でも力が要る。
起き抜けなど力が入らないときは私も開けられないこともある。
力の無いピゴには高いハードルだ。
他のすべての手順はひとりで出来るようになっても、未開封のペットボトルを開けるときだけは、どうしても大人の助けが必要だった。

それを解決したのは練習でもトレーニングでもない。
道具だ。
100均で購入したコレである。

ダイソーで購入

ペットボトルオープナーだ。
裏はこうなっている。

よく見ると2サイズの直径に合わせた溝が付いている

ただこれだけの物なのだが、これが役に立った。
蓋にはめて、左手はボトルを押さえて、右手でキティーを鷲掴みにして反時計回りに回す。
2回ほど私がボトルが動かないように支える必要があったが、3回目には無事、1人で開けられるようになった!!!

1人で開けられた時のピゴの顔、パァッと明るく本当に嬉しそうであった。
たったコレだけのことでも、他人の手を煩わさず、自分で出来るということ
そういうことの積み重ねが自尊心を育むのだと思う。
大袈裟ではなく、真面目にそう思う。

そしてツールを使ってでも、蓋を開ける時の感覚を経験して覚えることで、彼はこの動作や力の入れ方を習熟していくだろう。
「こうすれば出来る」という体験は、次につながって行くのだ。


ちなみにこのペットボトルオープナーはキティーなので、チョコが自分のおもちゃ箱に入れてしまいがちだ。
まったく、家にある可愛いものは全て自分の物だと錯覚しがちなチョコである。
選択活動をたくさんしなければいけないね。

ツールというのは管理コストがどうしても発生する分、使わないで出来るならそれに越したことはないのだけど、たったコレだけで出来るようになるなら使わないテはないよね!

ツールを使ってどんどん暮らしを楽にしていこう。

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