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アフターコロナの経営戦略 概要

アフターコロナの経営戦略を読んだ。これ正直に、大変良い本でした。 理解の浸透を目的として、ブログにアウトプットをいたします。
一歩行動する人間になるために。

本書概要

この本には、2020~2023年あたりを「ウィズコロナ時代」、その以降を「アフターコロナ時代」と2つのフェーズに定義づけてます。ウィズコロナで3つ、アフターコロナで1つの合計4つの戦略にまとまってます。

結論からいうと、あまりコロナに関係なく、いつでも言える話ばかりでした。なのでコロナで困ってる人に効くって事は、ないのじゃないかなと思います。

やるべきこと①「選択と集中」

経営資源が少なくなってきたときこそ、ジャック・ウェルチが提唱した選択と集中をやるべき。

しかし、日本企業の考えるそれは大きく間違ってる。PPMモデルでいう(花形商品・金のなる木・問題児・負け犬)に考えるならば、「将来的に成長する可能性のある分野(市場)」に選択と集中を行え。

日本企業は、「既存事業を守るために」集中させている。しかしそれが大体、負け犬・金のなる木のカテゴリーにあるため、結果が残せない。事業効率が悪いのはそういうところから始まる。

最たる失敗例がシャープの亀山工場。液晶テレビが好調だったため、経営資源を全ツッパして、三重県の亀山に工場を建てるという大規模投資を行った。一見すると理想的な選択と集中なわけだけど、ジャック・ウェルチのいうものではない。シャープは主力の液晶事業を守れるだけの余力を残したまま、将来の金の卵(問題児もしくは花形商品)を選ぶべきだったという。

これはコロナに限らずいつだっていえる。選択と集中。弊社がおかれた状況であれば、将来の成長産業に投資はできているだろうか。その点をしかりと議論して、見極めていかなければならない。その後には、会社がおかれた状況をSWOT分析し、強みを活かして脅威を殺すには、弱みを消して成長産業に参入するには、という戦略立案の議論を行う必要がある。

こうした「本来やるべき判断」をしっかりとやる。これがやるべきことの一丁目一番地。 

やるべきこと②「イノベーションより改善」

イノベーションという言葉に騙されるな!と示唆している。スティーブ・ジョブズが世界をiPhoneで変えたように、あの革命を英雄視し求めることが、ビジネス業界では多い。当然それは素晴らしいことだけど、あれほどの変革を起こせるのは、そうない。
イノベーションというのは、1000あるうちのプロジェクトのうち、970個は3ヶ月以内に沈没し、残りの30のうち1つか2つくらいが生き残る。それぐらいの確率。だからあまりイノベーションを求めすぎるなと書いてる。

パイロット社が文房具業界に革命を興したこの商品。しかし、これも商品化までに20年の研究投資期間があったわけだ。イノベーションは短期にもとめるものでなく、気を長くして1000あるうちのどれかが当たるように、見守り育てるものであるという証拠。

 

ウィズコロナではそんな気の長いものを求めるより、まずは改善を求めたい。いわゆるビジネス・プロセス・イノベーションに分類される「改善活動」は、大企業では47%、小規模企業では29%しか成功してない。大企業に大きく差をつけられてる。この結果から、僕たち中小企業は、大博打のイノベーションでホームランを狙うんでなく、着々と改善できる部分を探し、実行する事が大事なのがわかる。


セールスフォース・ドットコムが提唱する「The Model」というのがある。これもビジネスプロセス・イノベーションに該当する改善の一つである。これは仕事を4つに分ける。①MA、②インサイド、③外勤、④カスタマーサクセス。このように仕事のススメ方を変えていくのも大事なことだ。

 

こういう既存事業での変化を作るには、まずしっかり「観察」することが必要。そして作業の流れを体系化して、改善するところを見つける。そして着手してみて、また観察する。科学的な実験の流れを会社の中でも実行することがプロセス・イノベーションの大事なところである。

 

やるべきこと③「人才の育成・修行」

これもま、いつでも言える話なんだけど。コロナに関連するという点では1番理解できる。というのは、コロナによって国内市場が縮小する。これによって経験を積む機会が減っていくから。今までは失敗も成功も仕事の中で経験できたけど、今後はあまり機会がない。

しかも社会的課題をどう解決していくかというところまで、仕事で要求されてくるので、今後は社員一人ひとりがビジネスパーソン(事業主)としての能力が必要になるだろう。会社から言われたことをこなせるだけだと、価値を低く付けられる。

国内で仕事がないから、無理矢理にでも、海外で事業経験を積ませることが大事になる。海外で仕事できる大企業はより強くなり、優秀な人材はそこに集まるようになって、中小企業は真綿で首を絞められるように弱くなっていく。

多分放っておくとそうなる。そうならないように、人材をしっかり育てよう。売上拡大・利益拡大という目的だけでなく、人材育成という目的で仕事を捉える。これが大事になるよね。という話です。

やるべきこと④「SDMS」

ウィズコロナのフェーズが終わった後、アフターコロナ時代において、必要になる4つの仕事として、それぞれの頭文字をとってSDMSとしている。15年の長期的視点から、3年以内の短期的取り組みまで分類されてる。

まずは「Sub Scription」

サブスクってのは、Netflixとかアマプラ、みたいにIT系会社の特権かと思いきや、そうでもない。毎月のスイミングスクールや、英会話教室などの習い事は昔から月謝制。つまり会員数を増加させて経営を安定化させていくってモデル。これはITの特権でなく、結構どこの商品でも可能。オイシックス(懐かしい!)なんかも、月額会費制で、毎月レシピと野菜が届いたよね。こういう具合に、サブスク系の発想でやれることっていくらかあるかと。

②次に「DX」

日本のDXはオートメーション(RPA)、作業効率アップで止まってて、あまり進化してない。DXってのは、企業文化や組織マインドを変えるところまでいくものだけど、日本ではDXの初期しか見えてない。これが最も損失がでかい。本当にDX化に踏み切るまで舵を切れたら(変化を飲み込めたら)、会社は大きく化けるというのだ。

③そして「Metamorphosis」

メタモルフォーゼって読む。これは変化(ヘンゲ)するって意味。日本だとトヨタが織り機屋から車屋になった。ミクシィがゲーム会社になった。イビデンが電気工事屋から照明部品屋になった。任天堂が総合エンタメ企業になった。クロネコヤマトは国鉄の下請けから宅配便屋になった。富士フィルムはフィルム屋から医療事業になった。

こういうヘンゲをメタモルフォーゼをいう。業態がそのままで良いわけない。社会の状況が変わっていくので、それに応じて変化が必要。これも先程の選択と集中と重複するのだけど、やはり成長産業を見極めて、DXのちからも使って、上手にメタモルフォーゼしないとダメよと。

④超長期に「SDGs」

これね。持続可能な社会を作る17の開発目標。17sGoals。やはり企業って社会的責任が大きい。超長期的にみて、誰かに迷惑を掛けてる仕事が選択されることはないと思う。

二酸化炭素の削減目標もしかり。ビニール袋の有料化にしかり。プラスチックストローの削減しかり。色々な部分で地球へのダメージ、諸外国の犠牲をベースとした事業モデルってのは駆逐されてくだろうと見る。駆逐される側にならず、地球を守る事業。世界を良くする事業には、超長期的にみて追い風があるだろう。

 例えば採用。優秀な人物が会社を選ぶ時。売上が少なくとも、SDGsに取り組んでいる会社を選ぶだろう。例えば消費者。さほどの違いがなかったとしたら、罪悪感の少ない商品を選ぶだろう。こんな具合にさほど顕著な効果ではないけど。それでも徐々に徐々に効果がでる。

まとめ「両利きの経営」

中身をズラッと書いたけど、本書をかんたんにまとめると、「既存事業を高める(知識の深耕)」「新しい分野へ挑戦する(知識の探索)」この2つを同時に行ってくれ。ということになる。

うちの会社でも、今年のスローガンに「深化と変化」という言葉を掲げた。方向性は矛盾しているものの、それをうまく両立させていこうな。という思いである。

アフターコロナの経営戦略。あまりコロナとは関係ない感じのビジネス書でしたが、学ぶところが大変多く、良書でした。

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