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Aconcagua 5日目 キャンプニド ステイ

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【5日目ミッション/ Aconcagua day 5】**

この日は特にミッションはありません。高度順応で1日体を休めました。

2019年12月28日(土)
朝から絶不調だ。昨日は全くと言っていい程、眠る事が出来なかった。というのも、最初に起きたのは0時頃、小便がしたくて目覚める。呼吸が浅かったのか頭痛がする。外は寒くて面倒なのでテントの近くで小便をして戻る。出した分はしっかり水分補給し、寝袋に包まる。だが、頭が痛くて中々寝付けない。ようやく眠りについたかと思うとまた小便に行きたくなる。

これを朝6時まで5回ほど繰り返した。頭がおかしくなりそうだった。ただ、便意と食欲はバッチリ(一番大切)で、朝から元気に一発かました後、しっかり飯を食って身体を回復させる。水分が必要なため、豚汁を2杯飲んだ。血中酸素濃度を測ると、濃度75、脈拍87だった。昨日よりは数値が良くなっており、頭痛も夜よりは治まっていた。

さて、これからの行動は非常に悩ましい所。昨夜は寝れなかったとはいえ、身体は高度に順応しつつある事がわかる。もしも今日、次のキャンプ地、コレラに向かうとその先はアタックのみ。つまり最短で明日の朝、29日には頂上に立てることになる。レンジャー情報によると天気は曇りではあるが、無風らしく、アタック日和ではあるらしい。

しかし、そうなると登山開始6日目の登頂となる。7000mの山を登るにはあまりにも早すぎる。僕は植村直己じゃない。彼はAconcaguaを15時間で登ったが、そこに至るまでの経験とスキルがあった。僕はどうだろうか。今年1年は殆ど山に登っていない。経験もスキルも浅すぎる。今好調とはいえ、疲れが溜まっているので体調が急変するかもしれない。

時間はまだある。負の思考が先行している今は次のキャンプ地に向かうべきではない。体力を回復させ、身体を確実に順応させてから次に向かうのが良さそうだ。マサシさんにも今後の予定を聞いていみたが、彼も体調はあまり良くないようで、2人とも今日はニドにステイすることにした。

ニドではテントが隣のホシカさんと仲良くなった。

ホシカさんは38歳。某大手カメラメーカーの社員で、登山やトレイルランが趣味という。トレイルランではアルプス400km縦断をするなど、本気度が伺える。この山はすごい経験を持つ人達ばかりだ。でもそんなすごい人達も高度順応には苦労しており、趣味で軽登山しかやらない自分がこんな山にいていいのかと萎縮してしまうと同時に、自分のポテンシャルに少し自信が湧く。(山で奢りや根拠ない自信は禁物なのでここまでにしておこう。)

今日はステイと決めたのでニドでまったりできるのだが、やる事がなくて暇を持て余す。日記を書こうにもiPadはBCに置いてきてしまったし、映画も見れない。寝るのは呼吸が浅くなり危険なため禁止にしていた。テントの前でぼーっと座りながら深呼吸して、音楽を聴いて時間が経つのをひたすら待つ。30分毎にアラームをセットして、300mlほど水を飲む。

これを11時から18時までやっていた。18時くらいにリョウタさんとキムラさんがニドにやってきた。今日も荷揚げと高度順応に来たようで、ニドには泊まっていかず、カナダに帰るらしい。僕が小走りをして近づくとキムラさんがえらく驚いた様子で、歩くだけでも息を切らすのに小走りできるなんて凄いという。確かに、自分も昨日は小走りなんかできなかったが、今日1日ステイしたことによって身体が順応したようだ。

これなら次のキャンプ地に行けると確信した瞬間だった。一緒に水を汲みに行った後、リョウタさんとキムラさんと別れる。

テントに戻って飯を食おうとすると今度は九大生の日本人に出会う。彼はヤマモトさん(2日目にBCで会った人)から余った飯を譲り受けたようだ。その中には棒ラーメンがあった。アルファ米続きで自分の飯に飽き、どうしてもラーメンが食べたかった僕は九大生に頭を下げてラーメンを貰った。夕飯のラーメンは、標高が高いので水の沸点が低く、うまく茹でる事は出来なかったが最高に美味しかった。


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