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役者、ハムとベーコンをつくる

『なるほど!畜産現場』養豚シリーズの後編は加工販売の現場を追います!今回の取材先「高座豚手造りハム」にて、自らハムとベーコン作りを体験させていただきました!実際に自分の作ったハムやベーコンも店頭に置かれたようで、誰かに届いて美味しく調理されていることを願います。

見出し画像。僕がどこにいるか、見当たりますでしょうか?なんてね。

今回の記事ではそんなハムとベーコンの作り方やそもそもハムとソーセージ、ウインナーの違いなど、「あれ?そういえば、知らなかったな〜。」というような内容になります。

ハムとベーコンの製造で共通する部分・異なる部分

はじめに、ハムとベーコンのどちらにおいても利用される材料の枝肉を見させていただきました。下の画像がその枝肉。この豚肉の部位に応じて加工される手法が変わるんです。

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ベーコンになるのがあばらの近くにある「バラ肉」、ハムは赤身が多く取れるところが良いので「モモ肉」など、とんかつの場合は「ロース肉」といったように余すところなく豚肉を扱います。

面白いのはベーコンの本来の語源は「背中の肉(ロース)」らしいですね!backから転じてbaconになった説があるそうです。しかし、長年の調理の歴史によってバラ肉に移ったのでしょうか。

そのなかでハムとベーコンで共通する工程は、それぞれのお肉を塩漬けにしたのち燻製機にかけること。一方で、ハムはボイル・加熱といった工程へ進み、ベーコンは冷却に入るのが異なる点です。

ベーコン作りでやらかしそうになったこと

はじめは、ベーコン作りから。しかし、長さ40cmほどの直方体の生肉がボコボコとテーブルの上に置かれます。これらを燻製機にかけるため、かぎづめの着いた専用ハンガーでお肉を刺して吊るします。これがだいたい2kgなので、なかなかずっしりしているんです。しかも脂身などによってそもそもお肉が5cmほどと分厚く、このツメを刺しこむことが難しい!

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周りのプロたちがテキパキとベーコンとなるお肉を吊るすなか、1個目で手こずる自分。焦りました。俺の作業が販売に影響が出たらどうしよ、と内心ドキドキ。しかし、なんとかベーコンを専用のラックにかけて一安心。

と、思ったらラックが傾いてあわや全部のベーコンが倒れて台無しになりそうでした。ああ〜っ!!とラックを両手で必死に抑えると「大丈夫ですよ」と相手先の村石さんにおっしゃっていただきました。なんでも、このハンガーラックは燻製機まで持ち運びがしやすいように、もともと傾く仕様になっているんだとか。

あぶな、よかった〜。

ではでは、燻製機までラックを移動しようと思ったら重いのなんの!ラック自体の重さもある上にベーコン1枚2キロが10枚ほど。総重量は大体30キロほどでしょうか。あと、加工のためのお部屋の床が滑るんですよね!ラックを押しているのに人力ランニングマシンみたいになりました!なんとか、燻製機にかけて終了!

ハムの種類に応じたつくりかたの違い

続いてはハムを作っていきます。ベーコンも大変なのに、休めません。みなさん、本当にすごいです。この時点で朝の9時くらいでしょうか。

今回の取材では以下の種類のハム作りに挑戦!ハムは種類が多いんです!ちなみに、「ボンレスハム」という言葉は聞いたことありますよね?ボンレスハムはモモ肉を使ったハムのうち、骨がない(boneless)ものを指すそうです。

①モモ肉を使った「ボンレスハム」
②ロース肉を使った「ロースハム」
③肩のお肉を使った「ショルダーハム」
④ブラックペッパーをまぶして作る「パストラミハム」

オンエアされた内容以外にも挑戦させていただき、気づけば午後になってましたかね。それぞれ作る工程は共通していて、ハムスタッファーと呼ばれる機器の出口にハムとなる肉を詰めるネットやプラスチックなどのケースをセッティングし、入り口からお肉を通して詰めるんです。

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簡単そうに思うでしょ?めっちゃ、難しかったです!オンエア見たら、テロップで「千葉くん、大丈夫?」と心配されてましたね。いやいや、あれだけ大きいお肉をコンパクトにまとめて詰めるのは大変だな〜と思いました。

ネットを利用して詰めるハムはそのままラックにかけるだけで大丈夫でしたが、ケーシングといってプラスチックの袋に入れる場合は、お肉を入れると袋の中に気泡が溜まるんです。そのため、袋に針で穴を開けて気泡を取り除いて燻製機にかけたときにムラなく燻煙されるようにします。

また、パストラミハムはブラックペッパーがまぶしてあるものです。もちろん生肉の状態なので、ここからブラックペッパーをまぶしていきます。その前に、別のスパイスを満遍なく塗布することでブラックペッパーがハムのお肉にくっつくようにします。やっぱり胡椒なので、実況しながらくしゃみばっかしてました。

さあ、朝の時間を使って行ったハムとベーコン作り。このようなたくさんの工程があってはじめて店頭に並ぶんですね。改めて加工に携わる方々にも脱帽です。近年においては、機械による豚肉加工作業のオートメーションもされているようですが、こちらの取材先は文字通り「手造り」。加工から販売まで一挙にお店で行う魅力がありました。また、みなさんもハムからソーセージと手造りワークショップに参加できるようですので、ぜひ、下記リンクをチェックしてみてください(今の時期はお休み)!

ハムとソーセージとウインナーの違いは?

お待たせしました。ソーセージについて、まだでしたね!それぞれ何が違うのか、今回の取材ではっきりと腑に落ちました。

まず、ハムとソーセージの違い。これらは加工の製造過程が根本から異なります。ハムは上述の通り。ソーセージは最初に「挽肉」にするところからスタート。その後、羊や牛といった動物の腸に挽肉を詰めていくんです!カリッという食感は動物の内臓だったんですね。その後、燻製機にかけるという点は共通します。

では、ソーセージとウインナーでは何が違うのでしょうか。

実は、「ソーセージというグループにウインナーが含まれる」のです!そして、ソーセージの太さに応じてウインナー、フランクフルトなどと呼ばれ方が変わります。整理しましょう!

ウインナーの腸あるいは直径20mm未満
フランクフルトの腸あるいは直径20~36mm
ボロニアの腸あるいは直径36mm以上

つまり、扱う動物の腸に応じて太さが変わるため、呼び方を上のように変えているんですね。そして、すべてをひっくるめて「ソーセージ」なんです。今回で学べてよかったです。ボロニアソーセージが薄切りされたやつをハムだと、ずっと勘違いしてました。

豚肉創作料理店「やまと」にて見聞きした話

取材先を移動しまして、続いてはみなとみらいにある豚肉創作料理店「やまと」へ!めちゃくちゃ美味しい上に、豚肉料理への価値観が変わりますよ!!

こちらのお店では「やまと豚」というブランド豚肉を利用しています。生産から販売まで一貫して行っているフリーデンという会社の直営店なんです。一貫システムの強みの1つがコミュニケーション。生産現場と加工から直営店までがつながっていることで、消費者の声がお店に届けば、すぐに生産方法の改善などに繋げられる試行錯誤のプロセスの強化が図れるんですね!

たくさんの料理を堪能させていただきましたが、特筆すべきなのは「スペアリブ」と「不老不死(豚しゃぶ)鍋」の2つです。マジでうまい!

スペアリブってお肉硬いイメージだったんですが、こちらのやまとのスペアリブはまずナイフがするすると通るんです。噛んでも同じでジュワ〜と口に広がります。このスペアリブとソーセージとが合わさった1皿は、まさに豚肉料理のベストアルバム!こういう、コメント収録後に思いつくのが悔しい!

続いて、しゃぶしゃぶなんですが。おすすめはサッと通すこと。やまとの方針では加熱しすぎないことをポイントとしているんですって!僕らは安全も考えて熱を通すことを考えますが、やはり加熱しすぎている部分もあるようですね。流石に自分自身では低温の調理は難しいかもしれないので、こちらのお店ならではとも言えます!

今回の取材も、このようにてんこ盛りの内容となっております!ぜひ、この冬、豚肉料理で身体をあっためましょう!


展示やイベントレポート、ブックレビューなどを通じて、アート・テクノロジーなど幅広いジャンルを扱った記事を書こうと思います。また、役者としても活動しているので劇場などでお声がけさせてください!