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豚肉の生産はまさに「厳・戒・態・勢」!

初潜入!『なるほど!畜産現場』第3回からは「養豚」に焦点を当てます。

前回の記事ではコロナ禍においても、巣ごもり需要により豚肉の需要は例年から変化はないというお話をしました。さて、今回は実際に豚肉がどのように生産・出荷されているかを一通り案内していただきました。取材先は「ブライトピック」。

豚肉というと他のお肉と比べて焼き方に気をつけないといけなかったりと慎重になるイメージがありますよね。やはり、豚舎も同じく厳重な衛生管理がされていました。牛舎では無かったことなんですが、豚舎に入る前には必ずシャワー室に入って全身を洗わなければならないんです!豚舎に入るコースの手前にシャワー室があって、一方通行となっており、自前の衣服なども全部置いていってユニフォームをお借りしなければなりません。豚を扱う際にはとにかく衛生への配慮が求められます。これに関してはスタッフさんが大変そうでしたね。

厳戒態勢でいよいよ豚舎へ!豚舎は大きく分けて「繁殖」と「肥育」の目的に応じて分離されています。前者が文字通り子豚を産んで育てるまで、後者が産んだ子豚を出荷するまで健康管理を図り、高品質な肉に仕上げていくまでの過程です。

①繁殖舎:子豚を産んで育てるまで

繁殖舎の中でも「種付」→「妊娠」→「分娩」と豚舎が区別されていてフローが整理されています。というのも、それぞれの段階で必要な栄養素や餌の分量などが異なるためです。

種付から妊娠までの豚舎には母豚が何百頭も並んでいて度肝を抜かれました。それぞれ牛に引けを取らないほどの大きさなんですよ!動物園のピッグレースに出てくるような豚を想像していたので腰抜かしました。数の多さとサイズの大きさとで。

種付を行う際は母豚の中で発情しているものを選ばないといけないんですが、その方法が面白い。こちらの豚舎にはメスの豚が多く飼育されている中、数匹のオスの豚が一緒に暮らしているんです。当然、このオスから精液を採取するなり、交配するなりするんだろうと思っていたら大間違いでした。なんと!これらのオス豚は発情確認のためだけに飼われていて、母豚たちのゲージを各所回っていくんです。発情のサインがオスメスの間で行われたら、その母豚に対して冷凍保存されている別の豚の精液を人工授精するという流れなんです!驚き。

撮影クルーがその豚舎の中でカメラを回し、豚のインサートを撮ろうとすると、警戒した豚が一頭ズズっと後退りして鳴き始めました。すると、周りの数百頭の豚もそれに反応して連鎖的に同じ行動を繰り返し、スタッフ一同が焦っていました。

このような流れで種付を終えると妊娠舎へ移され、さらにいよいよ子どもが産まれるぞというときには分娩舎へ。分娩舎では一頭ごとにゲージが分けられていて、その中で産んだ子豚を潰さないように固定されています。豚は牛とは違い、一度の出産で15〜16頭を産むそうです。なるほど。それによって、牛よりも生産量がそもそも多いのが価格に影響しているのかもしれませんね。逆に、牛の希少性も理解できるような気がします。

そして、産まれた子豚のちっちゃいのなんの!クラッチバッグみたいなサイズ。『シャーロットのおくりもの』を思い出しました。最近、この番組で感覚的に畜産に慣れすぎているためか、「可愛い〜💓こんなにちっちゃいんですかあ!ここから大きくなって美味しい豚肉に育って欲しいですね!」とコメントしていたことをオンエアチェック後に気づきました。いやでも、「俺は正しいことを言ったつもりだし!」と、なんだかよく分からない気持ちになりました。この番組は一般的な動物番組でも、グルメ番組でも追えない「生産(第一次産業)から加工(第二次産業)、そして販売(第三次産業)まで」一挙に扱うオリジナリティがあります。従って、他の番組では聞けないようなお話もありますし、自分のコメントもオリジナルなものがあると信じています。誇りに思いながらこの仕事に従事しています。

②肥育舎:産まれた子豚を良い豚肉に

たくさん産まれた子豚ちゃんたちはしばらくの間はお母さんの母乳をいただき、やがて育成舎に移されます。そちらでは、50頭ほどの子豚が同じ空間で管理されていて、みんな臆病でカメラを向けると逃げてしまいます。非常に愛らしいが、1年も経つと前章の繁殖豚舎にいる豚ほど大きくなるんですから驚きですよね!

育成された豚はいよいよ肥育舎の方へ!僕らの移動はここでも厳戒態勢。移動用の長靴から各豚舎の内部専用の長靴に履き替えて、さらに、防疫服も豚舎ごとに捨ててはまた着てを繰り返しました。肥育舎に入りますと、やはりどんどんと大きくなっていますが臆病さは変わらなかった印象です。肥育舎に入るとやがて豚が僕の足に近づいてきて、ものすごい力で足をひっくり返そうとします。ロケ中にぶっ転ぶんじゃないかと思いました!なんで!?と思っていると、取材の休憩中にいただいたお茶のペットボトルが防疫服の中のポケットから落ちていて長靴に入ってたみたいなんですよね。それに興味を示していたようです。

肥育に大事なのは何を隠そう「餌」。豚が健康に大きく育って肉をつけるためには食べ残ししないような美味しく栄養価の高い餌が必要となります。ブライトピックでは、そんな餌作りにも多くの工夫が凝らされています!

③餌づくりのこだわりと手法

ブライトピック千葉では、現地の素材を活かした餌づくりがなされています。倉庫によって作る餌の種類も違うんです。まず、「鏑木倉庫」では大きな俵があり、何やらそばがらの枕のような感じ。中身を聞いてみると飼料米という餌のために育てられたお米なんだそうです!こちらのプライトピック千葉の近くではお米がよく取れるので、その立地に着目した地産地消型の餌づくりなんですね。

こちらの飼料米をベースにして最終的には液状飼料に仕上げられます。その際は廃棄された食品が大量に加えられます。工場に伺ってみると、たとえばカントリーマームであったり、菓子パンであったりが従業員の手によって袋を開けられそのままボックスに積み上げられます。そうした食品と飼料米を一緒に大きなミキサーの中に入れて必要に応じて栄養剤を足していきながら混ぜていきます。実は、結構美味しそうな匂いがするんですよ!

最後に

繁殖から出荷までの過程を見ていきましたが、この次の回ではそんな豚肉がどのように加工されて調理されているのかに密着!

千葉、ハムとベーコン作るってよ!次回もお楽しみに!

展示やイベントレポート、ブックレビューなどを通じて、アート・テクノロジーなど幅広いジャンルを扱った記事を書こうと思います。また、役者としても活動しているので劇場などでお声がけさせてください!