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アルゼンチンサッカーの育成「個を育てる」

アルゼンチンのサッカー選手にはどのような印象がありますか?

「強い」「速い」「ドリブラー」「ストライカー」「強靭な守備」

多くの方が持っている印象は

守備でも攻撃でも1人で状況を打開してしまう「高い個の力」を持った選手がたくさんいる。

ということではないでしょうか。

なぜあれほどの「個」を持った選手が数多く育つのでしょう?

今回はその秘密を暴いていけたらと思います!

僕は以前からお伝えさせて頂いているように17歳から2年間アルゼンチンでサッカーをしていました。

そこで今回は実体験からわかった

「アルゼンチンから個の高い選手が出てくる理由」

「個を育てるアルゼンチンの育成」

を具体的にお伝えします!

どのような育成方針を持ち、どのようなトレーニングメニューをこなしているのか。

そしてどのように選手が育っているのか。

下部組織のトレーニングメニュー

南米の選手はフィジカルコンディションに優れ、「強くて速い」という印象があると思います。

僕が所属していたチームは
月〜金まで毎日練習でリーグ戦は土曜日でした!
オフは日曜日のみです。
下部組織は、このスケジュールでした。

トップチームやサテライトのようなプロフェッショナルなスケジュールの場合、ユースの日程とは異なります。試合後はリカバリーをするので、試合の翌日に出場メンバーはジョギングやジムで自転車を漕いぐなどといった軽い有酸素運動を行います。
そして試合の2日後が基本的にオフです。

アルゼンチンの下部組織は長くトレーニングを行います。

練習は朝8:30から開始です。
試合前の金曜日以外11:30まで約3時間みっちりトレーニングします。

- ボールを使う技術練習
- 対人練習(1対1、2対2、3対3など)
- 戦術練習
- ポゼッション練習
- フィジカルトレーニング

といったいった様々な練習をこの3時間で行います。

僕のプレーしていたスペインでは、長くても1時間30分しか行わないので、3時間という練習の長さに一目瞭然だと思います。
現在所属しているドイツのチームのユースを見ても基本的に長くても1時間45分が目安です。
あくまでもチーム練習の話ですので、ジムで自主的に行うトレーニング時間は含んでいません。
ヨーロッパのチーム練習は短く集中的に行うトレーニングをより好みます。
疲労を溜め込み、怪我のリスクを上げない為でもあります。

アルゼンチンではより1対1の状況が多い、対人練習をしました。
ボールを使って行うトレーニングは毎回違いましたが、フィジカルメニューに関してはある程度のマニュアルが決まっていました。

そして1週間のトレーニングメニューの多くにフィジカルメニューが取り入れられています。

月曜日
- スプリント(アジリティ)
火曜日
-ジムで筋力トレーニング(負荷の大きいメニュー : 上半身と下半身の両方)
  内容 : 各部位 12回 × 3セット
-ダッシュ
-インターバル走
水曜日
-インターバル走 
木曜日
-ジムで筋力トレーニング (負荷が軽めのメニュー : 下半身は基本的にはしない)
  内容 : 各部位 8回 × 2〜3セット
- アジリティ
- ダッシュ

3対3や2対2といったボールを使った対人練習で心拍数を高めるメニューも行いますが、インターバル走をかなり行います。
各自の心拍数を最大値に持っていきながらトレーニングするのが目的です。
コンディションを高め続けるメニューがシーズン中でも相当含まれていました。

インターバル走 : 100m、200m、300m 、400m 

セット数はその度にフィジカルトレーナーがボールを使って行うトレーニングの強度に合わせて決めます。
インターバル走を行う日は合計で2km以上はやっていました。

ジムで筋力トレーニングを行う際は1時間程行います。
一気にパワーを出ための脚力を鍛えるジャンプ系のトレーニングもします。
火曜日が特に筋力負荷の掛かるトレーニングです。
その後は必ずダッシュやアジリティをします。
「強さ」と「速さ」を組み合わせる為です。

5〜8つのアジリティとダッシュを組み合わせたトレーニングを各メニュー5〜8セット行います。
負荷によって回数が毎回違いました。

あるアルゼンチンにあるチームのプレーシーズンの映像です。わかりやすい映像なので、興味のある方が是非ご覧頂けたらと思います。

この映像のようなトレーニングがアルゼンチンで主力となっているアジリティトレーニングです。

- ステップワーク
- ジャンプ
- ダッシュ

を組み合わせたトレーニングです。

他にもこの映像のように、ダッシュやアジリティのメニューの前に、下半身に負荷を掛けてからすぐに走るというメニューもありました。
※ある程度下半身の土台がないと怪我をしてしまうので気をつけましょう。

- 坂ダッシュ
- 重りを引いてダッシュ
といった脚力を鍛えるメニューもありました。

アルゼンチンの「個」を育てる育成

アルゼンチンでの育成組織を実際に経験し、思った評価基準は、とにかく1対1の「個」を求められます。

「ボールを失わない」

「ボールを奪い取る」

単純ですが、この2つでした。

そして「Característica」です。
スペイン語で「特徴」という意味であり、特化した武器を持っているかどうかです。

トレーニングメニューには「個」を更に伸ばすトレーニングが組み込まれていました。

プレー中は攻守共に「個」を求められました。

破壊的なアルゼンチンの守備

攻撃的な選手を数多く輩出しているサッカー大国ですので、最初は僕も攻撃に目が行きがちでした。

しかしアルゼンチンで衝撃を受けたのは、まず守備でした。

激しいぶつかり合いで相手を潰したり、ボールを相手から奪うことがサッカーの一部となっています。

現在アヤックスでプレーしているアルゼンチン代表タグリアフィコ選手です。

タグリアフィコ選手がアルゼンチンでプレーしていた時の映像です。サポーターの歓声を聞いて下さい!

アルゼンチンでは、ゴールの次に激しい守備からボールを奪い取るシーンが盛り上がります。
このように戦う選手をアルゼンチン人は好みます。

現地アルゼンチンで“真の戦士”と呼ばれ、誰からも愛されてる選手がいます。

それはマスチェラーノです。

高いリーダーシップとパーソナリティを兼ね備え、誰からも愛されています。

アルゼンチンでは試合中に戦える選手は国から男として認められ、愛されます。ボールを持った時だけが評価されるわけではないということです。

アルゼンチンでサッカーをしたことで思ったことは

アルゼンチンサッカーはまさに肉と肉がぶつかり合うスポーツでした。


半端ない球際はどう育つ?

Baby fútbol (バビーフットボール) というアルゼンチン生まれのサッカーは知っていますか?

簡単に説明するとバスケットボールと同じ大きさのフィールドで行うミニサッカーです。
人数は5人ですので、フットサルをイメージして貰えればと思います。
5歳〜10歳までの選手がプレーします。
そしてアルゼンチン人の多くが経験しています!

幸いなことにアルゼンチンのビッククラブに多くの優秀な選手を輩出しているバビーフットボールのチームを観に行った機会があります。

僕がアルゼンチンで実際に観に行った試合はコンクリートのフィールドでした。

そして衝撃を受けたことがあります。

激しさです!

僕が観たのは6歳の選手たちでした。
コンクリートのフィールドで僅か6歳の選手たちが激しくぶつかり合い、引っ張り合い、倒し合ってました。

そのような環境で幼い頃から「ボールを失わないテクニック」や「突破する力」を身に付けているのだなと感じました。

アルゼンチン人に聞いた「なぜアルゼンチンでは才能が育つのか?」

この記事を書くにあたり、アルゼンチン時代のアルゼンチン人の親友に

「なぜアルゼンチンでは才能が育つのか?」

単純な疑問を聞いてみました!

その答えは

「アルゼンチン人はストリートサッカーで成長するんだ。
地域毎に学校が終われば、地域の子供たちが20人以上集まれるストリートサッカーがある。
そこで小さい時からみんなで集まって毎日試合しているんだ。
僕たちは試合をして独自で学んできたんだ。
だからアルゼンチン人にはドリブラーが多い。
確かにヨーロッパは戦術が発展しているし、名門クラブに行けば、優秀なマエストロ(師匠)がいて戦術を幼少期から学べる。そして、アルゼンチンの戦術や練習メニューのほとんどはヨーロッパで生まれたものをコピーしている。
でもアルゼンチンのストリートにはストリートサッカーのマエストロ(師匠)がいるんだ。
そうやってサッカーの技術を学ぶんだ。
だからドリブラーもたくさん生まれ、それを止めるディフェンダーも育つんだ。」

まとめ

才能の高い選手たちがチームに引き抜かれ、チームでは「強く速い」フィジカルを作り出すトレーニングメニューが多く含まれています。

この育成環境がかなり大きいと思います!

今回はアルゼンチンサッカーの育成「個を育てる」でした。

またこれからもアルゼンチン育成のリアルな現状をお伝えします!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

これからもお楽しみください!

伊達 和輝

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Twitter : https://twitter.com/kazukidate0110


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