息子に会社を辞めてほしくない親の気持ちについて
(写真は2年前にネパール旅行に言った際に撮った写真なので、座ってる方は僕の両親ではないです笑)
「誰だって最初はつらい」
新卒入社した大手ゼネコンを辞めたいと思い始めたのは、1年目の秋頃だった。理由は多々あるが、仕事が自分の肌に合わなかったことと過重労働が原因だった。その年の年末年始休暇で実家に帰り、両親にそのことを話した。
「誰だって最初は辛いよ。もう少し頑張ってみな」
父も母も口を揃えてそう言った。まるで劇の練習で繰り返し覚えた台詞みたいに。僕はそのとき24歳で自立していて親の意見はそこまで求めていなかったけれど、初めての社会人生活はわからないことだらけだったし、親に話を聞いてもらいたかったのかもしれない。
しかし、2年経っても3年経っても会社を辞めたいという気持ちが揺らぐことはなかった。仕事的には成長を感じていたし、上司に褒められることも増えていたが、「これじゃない」という気持ちは膨らんでいった。
それでもなお両親は僕がそろそろ仕事を辞めようと思っていることを告げると、「辛いのは当たり前」「せっかく大企業に入ったのに勿体ない」「10年経ったら楽しくなるよ」と言い続けた。
会社を辞めさせたくない父
3年目の冬。僕はもう限界に来ていて、来年辞めようと決めていた。親に何を言われようが気にしないつもりだったけれど、やっぱり親に自分の気持ちを受け入れてほしいという思いがあった。まだまだ自分は子どもだったのだ。
自分「来年、会社を辞めることに決めたよ」
父「は?なんで?」
自分「仕事内容に興味が持てないし体力的にもきついから。3年間頑張ってみたけど、やっぱり辞めたい。もっとやりがいのある仕事をしたい。」
父「やりがいなんて無くて普通だよ。」
自分「・・・」
父「お前結婚したらいいんだよ。結婚して子どもができたら、そんなクヨクヨ悩むこともなくなるんだから。」
僕はもうこれ以上会話をするのが嫌になっていた。僕は黙って外に出て普段吸わないタバコを吸った。
僕は父親に意見やアドバイスをもらいたかったのではなく、ただ自分の気持ちを聞いてほしかっただけだったのだ。父親に話したことを後悔した。というか、なんで辞めたらダメなのか?今の会社を辞めて他の仕事をする、それだけのことなのに。どうして新卒で選んだ会社をずっと働き続けないといけないんだろうか?おまけに、仕事のために結婚するとかこの人は何を言っているのだろう。
どうやら父親は僕がこの仕事に対してどう感じているか、は問題ではなく「会社を辞める」ということに猛烈な拒否感(恐怖?)を抱いているようだった。
僕なりの見解
結局僕はその会社を辞めた。まだ父親には言っていない。
父親に報告する前に、なぜ彼が僕が会社を辞めることに対してあそこまでの拒否反応を示すのか、それを知りたくてずっと考えてきた。ジェネレーションギャップと言われればそうかもしれないけれど、もっと深い理由がある気がしていた。そんな時、学生時代に読んだ広井良典さんの「コミュニティを問い直す」という本を思い出して僕ははっとした。
コミュニティ(=会社)に対しての考え方が、僕(27歳)と父親(60歳)で全く異なっているのではないだろうか、と。
父親にとっての会社はいわば村や家族のようなもので深い繋がりのある社会。そういえば、両親の結婚式には大勢の上司が来ていたらしいし、社内ゴルフも毎週していたと言っていた。僕も小さい時、父親の会社の知り合いとキャンプや釣りによく行っていたのを覚えている。
対して、僕にとっての会社は全く異なる。お世話になった上司や仲の良い同僚もたくさんいたが、深い繋がりは一切感じない。休日に会社のイベントなんて絶対行きたくない。
以上から、父親と自分には会社というコミュニティに対しての考え方が全く異なり、それ故に「会社を辞める」という選択に対しての重みも変わってくるのではないか。大袈裟にいえば、父親にとって会社は宗教のようになっていて、「ここで頑張り続けていれば幸せになれる」と信じて今まで辛くても辞めずに続けてきたのかもしれない。そして、息子にせっかく入った会社を簡単に辞めると言われたことは父親が今まで信じ続けていたモノを否定された気分になったのかもしれない。
これが僕なりの見解です。他にも色々考えられる理由はあるだろうけれど、皆さんはどうお考えですか?
(それよりも早く会社辞めたことを親に報告しなきゃ・・・汗)
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