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【認知症、心臓病、脳卒中の原因】知らないとヤバイ、高ホモシステイン血症

今回は認知症や心臓病、脳卒中をまとめて予防する方法です。

『高ホモシステイン血症』について
聞いたことはありますか?

今回紹介するのは、高ホモシステイン血症の予防方法です。

そんな耳馴染みのない病気なんだから、
さぞ珍しい病気なんでしょ?

そうお思いの方。
実は、そうではありません。誰にでも起こりうる病気なのです。

1993年にアメリカで行われた研究によると、65歳以上の高齢者のおよそ3割が高ホモシステイン血症だといわれています。(1)

この高ホモシステイン血症になると心臓病、脳卒中、認知症、うつ病、骨粗鬆症などのリスクが上がると言われているのです。(2)

今回の記事では、
①高ホモシステイン血症とはなにか。
②どんなデメリットがあるのか。
③どうやったら予防できるのか。

の3つを解説していきます。

2005年にヘブライ語リハビリステーションのHsu-Ko Kuoさんが発表したレビュー論文をもとに解説していきますので、最後までお付き合いください。


高ホモシステイン血症とは?

高ホモシステイン血症は、血液中のホモシステインの量が多くなってしまった状態のこと。

ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸が不足すると起こります。(3)

これが大まかな流れです。

ポイントは3つです。

葉酸を使って、DNA合成をする。
②DNA合成に必要なテトラヒドロ葉酸を作るためには、メチオニンが必要。
メチオニンが使われると、ホモシステインとなる。

DNAを作るためには、どうしてもホモシステインが発生してしまうのです。

そこで、ホモシステインを減らすために2つの方法があります。

ビタミンB12を使って、ホモシステインメチオニンに戻す。
ビタミンB6を使って、ホモシステインを分解する。

なのでビタミンB6やビタミンB12が足りなくなると、ホモシステイン血症になります。

また、葉酸がないとそもそもDNA合成ができません。

葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12は、セットで必要になります。


高ホモシステインのデメリット

体内に溜まったホモシステインは、身体にさまざまな悪さをします。

血管にダメージを与え、動脈硬化を引き起こす。
神経にダメージを与え、認知機能障害を引き起こす。
骨にダメージを与える。

では、高ホモシステイン血症が引き起こす具体的な病気をみていきましょう。


病気その1 血管系疾患

高ホモシステイン血症は動脈硬化を引き起こし、さまざまな疾患を引き起こします。

例えば、高ホモシステイン血症の人は虚血性心疾患になりやすく(4)、心筋梗塞のリスクも上がります。(5)

虚血性心疾患とは心臓の血管が詰まってしまい、心臓に栄養がいかなくなる病気です。

原因は動脈硬化です。

血管にダメージがあると血管が硬くなり、内側に膨らんでいきます。血管が狭くなり、血液の流れが悪くなるのです。

これが狭心症です。

そして、内側の膨らみにコレステロールが入り込むことで、ますます血管は狭くなります。ついには、完全に詰まってしまうのです。

これが心筋梗塞です。

この血管へのダメージは、もちろん心臓だけではありません。

脳の血管にもダメージをあたえます。

高ホモシステイン血症では。脳卒中のリスクも上がるのです。


病気その2 神経障害

ホモシステインには、神経にダメージを与えます。

その結果、アルツハイマー型認知症になりやすくなるのです。

アルツハイマー型認知症の65歳以上の有病率は6〜10%といわれており、決して他人事ではない疾患です。(6)

1998年に行われた研究では、ホモシステイン濃度が高い人達は低い人達と比べて、アルツハイマーの発症率が5倍も高いことがわかりました。(7)

他にも、多くの研究が高ホモシステイン血症をアルツハイマーの原因だとしています。

2019年に中国が行った研究です。(8)

この研究でも、ホモシステインが体内で増えるごとにアルツハイマー型認知症のリスクが増えていました。

ホモシステインの量が増えれば増えるほど、アルツハイマー型認知症のリスクが上がるため注意が必要です。

うつ病の発症にも関連しているという研究もあリます。(9)


病気その3 骨や身体機能

高ホモシステイン血症はにも関係しています。

オランダで行われた研究です(10)

ホモシステイン濃度が高いと、骨粗鬆症の発症率が上がり、骨折しやすくなることもわかりました。(10)

骨粗鬆症とは、骨の密度が低下する病気です。

要するに、スカスカになってしまいます。骨はもろくなり、ちょっとぶつけただけで骨折してしまうことも。

閉経後の女性に多い病気です。

また、身体機能の低下にも関与しているといわれます。(11)

血管疾患、認知症やうつ病、骨や身体機能までにも影響を与える可能性があるホモシステイン。

高ホモシステイン血症にならないためには、どうすれば良いのでしょうか。


高ホモシステイン血症を予防する!

高ホモシステイン血症を予防するには、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸を摂取する必要があります。

それでは、各栄養素の推奨摂取量、含有量の多い食品をみていきましょう。


ビタミンB6

ビタミンB6の推奨量は、男性で1.4mg、女性で1.1mgです。(12)

文部科学省の食品成分データベースをみると、このようになっています。(13)

日頃から玄米を摂ったり、赤身の魚を摂らないと不足してしまいます。

毎日の白米に少しの玄米を混ぜるなど、工夫してみましょう。


ビタミンB12

ビタミンB12の推奨摂取量は、男女ともに2.4μgです。(12)

魚介類に多く、特に貝類はずば抜けてます。

植物性食品には、ほとんど含まれていません。(13)

毎日、ちょっとでも良いので魚介類を摂るようにすれば解決です。


葉酸

葉酸の必要摂取量は、男女ともに240μgです。(12)

食品成分データベースによるとこのようになってます。(13)

野菜や豆類、海藻類に多く入っています。せん茶でも摂れます。

また、水に溶けやすい栄養素なので茹でないで摂取しましょう。

油でさっと炒めるか、生がオススメです。


まとめ

以上になります。

いかがだったでしょうか。

ホモシステインは、知らず知らずに増えていることが多いです。

そして気づいた時にはすでに血管や神経、骨にダメージを与えた後、なんてこともあり得ます。

高ホモシステイン血症について知った本日から、対策を始めるのが一番です。ぜひ、日頃の食生活に注意して見てください。

今回の続きの記事はこちら。

今回は、あえて食事での摂取方法について解説しました。なぜサプリメントでないのか、こちらの記事で解説しています。

それでは、また次回の記事もよろしくお願いします!


参考文献

(1) Selhub J, Jacques PF, Wilson PW, Rush D, Rosenberg IH. Vitamin status and intake as primary determinants of homocysteinemia in an elderly population. JAMA. 1993 Dec 8;270(22):2693-8. doi: 10.1001/jama.1993.03510220049033. PMID: 8133587.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8133587/

(2) Kuo HK, Sorond FA, Chen JH, Hashmi A, Milberg WP, Lipsitz LA. The role of homocysteine in multisystem age-related problems: a systematic review. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2005 Sep;60(9):1190-201. doi: 10.1093/gerona/60.9.1190. PMID: 16183962.

https://academic.oup.com/biomedgerontology/article/60/9/1190/560525

(3)よくわかる栄養学の基本としくみ

中屋 豊 著 秀和システム 発行

(4) Aronow WS, Ahn C. Association between plasma homocysteine and coronary artery disease in older persons. Am J Cardiol. 1997 Nov 1;80(9):1216-8. doi: 10.1016/s0002-9149(97)00643-7. PMID: 9359555.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9359555/

(5) Stehouwer CD, Weijenberg MP, van den Berg M, Jakobs C, Feskens EJ, Kromhout D. Serum homocysteine and risk of coronary heart disease and cerebrovascular disease in elderly men: a 10-year follow-up. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 1998 Dec;18(12):1895-901. doi: 10.1161/01.atv.18.12.1895. PMID: 9848881.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9848881/

(6) Leifer BP. Early diagnosis of Alzheimer's disease: clinical and economic benefits. J Am Geriatr Soc. 2003 May;51(5 Suppl Dementia):S281-8. doi: 10.1046/j.1532-5415.5153.x. PMID: 12801384.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12801384/

(7) Clarke R, Smith AD, Jobst KA, Refsum H, Sutton L, Ueland PM. Folate, vitamin B12, and serum total homocysteine levels in confirmed Alzheimer disease. Arch Neurol. 1998 Nov;55(11):1449-55. doi: 10.1001/archneur.55.11.1449. PMID: 9823829.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9823829/

(8) Kuo HK, Sorond FA, Chen JH, Hashmi A, Milberg WP, Lipsitz LA. The role of homocysteine in multisystem age-related problems: a systematic review. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2005 Sep;60(9):1190-201. doi: 10.1093/gerona/60.9.1190. PMID: 16183962.

https://academic.oup.com/biomedgerontology/article/60/9/1190/560525

(9) Bjelland I, Tell GS, Vollset SE, Refsum H, Ueland PM. Folate, vitamin B12, homocysteine, and the MTHFR 677C->T polymorphism in anxiety and depression: the Hordaland Homocysteine Study. Arch Gen Psychiatry. 2003 Jun;60(6):618-26. doi: 10.1001/archpsyc.60.6.618. PMID: 12796225.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12796225/

(10) van Meurs JB, Dhonukshe-Rutten RA, Pluijm SM, van der Klift M, de Jonge R, Lindemans J, de Groot LC, Hofman A, Witteman JC, van Leeuwen JP, Breteler MM, Lips P, Pols HA, Uitterlinden AG. Homocysteine levels and the risk of osteoporotic fracture. N Engl J Med. 2004 May 13;350(20):2033-41. doi: 10.1056/NEJMoa032546. PMID: 15141041.

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa032546?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200www.ncbi.nlm.nih.gov

(11) Kado DM, Bucur A, Selhub J, Rowe JW, Seeman T. Homocysteine levels and decline in physical function: MacArthur Studies of Successful Aging. Am J Med. 2002 Nov;113(7):537-42. doi: 10.1016/s0002-9343(02)01269-x. PMID: 12459398.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12459398/

(12)日本人の食事摂取基準 2020年版

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

(13)食品成分データベース 文部科学省

https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html

(14)Brasky TM, White E, Chen CL. Long-Term, Supplemental, One-Carbon Metabolism-Related Vitamin B Use in Relation to Lung Cancer Risk in the Vitamins and Lifestyle (VITAL) Cohort. J Clin Oncol. 2017 Oct 20;35(30):3440-3448. doi: 10.1200/JCO.2017.72.7735. Epub 2017 Aug 22. PMID: 28829668; PMCID: PMC5648175.


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