KazuK63

埼玉県内の医大病院新生児科に勤務する小児科医。医師になってもうすぐ40年。長らく都内の…

KazuK63

埼玉県内の医大病院新生児科に勤務する小児科医。医師になってもうすぐ40年。長らく都内の周産期医療センターで臨床医として勤務のかたわら、臨床(生命)倫理、患者(医療)安全などにも首を突っ込んできた。2016年から現職場に異動し、「教授」という名の番頭として働いている...

最近の記事

もう一度、子ども達の声があふれる世の中に...

 基本的と言うか、原則的と言うか、子どもが元気に育つ事を願わない親はいない、と思っている。  だけど、今、それが少しおかしな事になっている、なりかけているんじゃないか…それが気のせいであればいいんだけれど。  まもなく40年を迎える社会人生活を、小児科医としてはやや端っこにあたる新生児集中治療を専門にして生きてきた。仕事は、今も昔も産まれた直後から健康状態に問題のある子ども達を、元気にしてご家族の元に送り出す…事で大きな変わりはないけれど、その中身は大きく変わった。  4

    • トンビはタカを産める...のか?

       平凡な親から優秀な子どもが育った場合、「トンビがタカを産んだ」なんて言うけれど、これって少しトンビには失礼な言い方じゃないだろうか。  子ども達がどんな「才能」を持っているのか、親にとっては決してノンキに構えていられる話題ではない。少子化になっても一向に衰えない受験競争や、それに打ち勝つためにますます低年齢化する早期教育。  親として、子どもに才能があるならば、さらにそれを伸ばしたくなるし、「ない」ならないで、それはまた何とかしたい、いや、「ない」ならばこそ、早い段階から

      • 「産まれた順番」で損得はある?

         子ども達の性格について、「男の子らしい」とか「女の子らしい」なんて言うことをよく耳にする。性別を持ち出した時点ですでにジェンダーバイアスにとらわれている様に思うが、他にも例えば、「ひとりっ子」については、「わがままになりやすい」とか「甘やかしがち」だなどと、ネガティブな事を言われてしまう事がある。  これらと並んで、よく耳にするのが「産まれた順番」によって性格が決まると言う話で、「長男らしく大人しい」とか、「三番目は甘ったれだ」などなど。小児科外来でのお母さんたちとのたわ

        • 「子育て」と言う旅の終わりに向けて…

           子育てに「終わり」はあるのだろうか?  子ども達に対する親の願いは、「健やかに育ってほしい、そのために、できる限りの事をしてあげたい」と言う事に尽きると思うが、そもそも子どもが「健やかに育つ」とはどういう事なのか、もっと具体的に言えば、親として、子ども達が「どの様」に成長すれば、親にとっての「子育ての目標」を達成した事になるのだろうか。  1960年代に始まった高度経済成長以降、子ども達の健康状態は大きく向上し、かつて「7歳までは神のうち」などと言われて、沢山産まれて来

        もう一度、子ども達の声があふれる世の中に...

          子育てをもっと楽しく自由にできないか!?

           この30数年、小児科医として働きながら外来や乳児健診を通じて、たくさんのお父さんやお母さん、子ども達と出会ってきた。この間、私たちの社会はどんどん様変わりして、子どもや家庭を巡っても、共働き世帯が増えたり、SNSが日常生活に深く浸透してきたりと、大きな影響が生じている。  中でも、最近は育児に疲れているお母さんがまたまた増えている様に感じられるが、そこにはコロナ禍で生活に大きな影響が及んだことや、物価はどんどん上がるのに、それに対して賃金上昇は一向に追いつかず、それが子育

          子育てをもっと楽しく自由にできないか!?

          “自分”ができ上がるために必要な事

           子を持つ親の気持ちとして、我が子が幸せな一生を生きてほしいと願わない人はいないだろう。  親にとって、子どもはいくつになっても子どもだけれど、肝心の子どもからみれば、いつの頃からか、親の介入や干渉がたまらなくウザったく感じられる様になり、その結果、親子の間に深刻な対立が生じてしまう事もある。  それでも、 子どもの育ちに親の存在は不可欠だ。  ただし、親から子供への介入や干渉が過剰になると、ひいてはそれが子どもの自立、子どもが確固たる自分を確立する事を邪魔してしまう事に

          “自分”ができ上がるために必要な事

          性格はキャベツの様なカタチをしている?

           同じ親から産まれてきたきょうだいでも、一人として同じ性格の子どもはいない……なんて、考えてみると、なんだか不思議な気がする。  性格って、一体、いつ、どこで決まるのだろうか、なんて考えた事ありませんか?  真面目、不真面目、几帳面、いい加減、細かい、大雑把などなど、人の性格は千差万別。一人として同じ性格の人はいないからこそ、人は誰も唯一無二のユニークな存在だし、それがまた、時にはヤヤコシイ人間関係の元にもなって、この「性格」って言うのは、なかなか厄介な存在だ。 「ど

          性格はキャベツの様なカタチをしている?

          ひとりっ子ってデメリットなの?

           少子化が進み、きょうだいのいない「ひとりっ子」が増えている。  厚労省の調査によると、結婚後15〜19年たった家庭の最終的な子ども数は、1940年代には4人を越えていたが、2015年には1.96人と2人を割りこんでしまった。それに連れて、ひとりっ子の割合も、1977年には11%だったものが、2021年の調査では19.7%に増加している。  それでも、依然として半数以上の家庭には2人以上の子どもがいるが、昭和の年代にはそれ程多くなかった「ひとりっ子」の割合がほぼ2割になっ

          ひとりっ子ってデメリットなの?

          きょうだい、この、フクザツで悩ましい存在

          子ども達、とりわけ上の子たちにとって、弟・妹ほどフクザツな存在はない。 ある日の診察室での会話…  私:「赤ちゃん、かわいいかい?」  新米お兄さんの”ゆうくん”(まもなく4歳):「う〜ん、わかんない…でも、ゆうちゃん、もうお兄ちゃんだから、がまんする!」  今までは、自分が独占していたお母さんを取られてしまう。おまけに、これまで周りの大人達はみんな自分に注目してくれたのに、今は赤ちゃん中心で、我慢する事ばっかり。兄・姉にとって、ある日、弟・妹が突然現れた時の衝撃、驚きは

          きょうだい、この、フクザツで悩ましい存在

          子育てはダイエットと似ている!?

           大分昔の事になるが、新聞にある国際的な賞を受賞した方のお母さんのインタビューが載っていた。 「素晴らしい息子さんですね。小さな頃はどんなお子さんだったのですか?」 「子どの頃ですか? そうねぇ……育てたのか、育ったのか……」  この話が妙に記憶に残っているのは、これ程、親と子どもの立ち位置をうまく現した言葉はないと思ったからだ。  親から見れば、子どもは何歳になっても「子ども」だ。  無邪気で可愛かった乳幼児期の記憶を消す事はできないし、反抗されたり生意気な事を言わ

          子育てはダイエットと似ている!?

          「育てた」のか、「育った」のか……それが問題だ

          子どもが減っている。  少子化が止まらない理由はそんなに単純ではない。  先日、今年の出生数は、昨年よりもさらに減って70万人ギリギリ程度になりそうとの予測が発表された。ここまで出生数が減ってしまった今となっては、この先、かなりの社会システムの変革が起こらない限り、もはや異次元レベルで金をばら撒いたくらいではこの形勢を好転させる事は難しいだろう。  いまや減り続ける子ども達は、一人ひとりが社会に取って貴重な存在になっているのだ。しかし、その割には、いつまで経っても子ども達

          「育てた」のか、「育った」のか……それが問題だ

          子育てのステークホルダ

           一人の赤ちゃんのまわりには、6人の大人がいる。  少し前までは、赤ちゃんのお世話をするのは、もっぱら女性の役割で、乳児健診の場でも、「付き添い」以外の男性を見かける事は少なかった。  しかし、今では男性が育児、それも赤ちゃんの日常の細かな事(例えば、お腹に赤いぶつぶつがある、とか、うんちの回数が多いとか……)を気にして質問するなど、積極的に子育てに取り組もうとしている新米お父さんも珍しくない。また、赤ちゃん連れのお母さんにおばあちゃんが付き添っている姿は珍しくないが、そこ

          子育てのステークホルダ

          男性の育児参加と運動不足

           子育てに積極的に関わる男性が増えている。  そう言えば、私の勤める小児科の乳児健診でも、いつの頃からか、お父さん、お母さんそろってやってくる光景が当たり前になったと思っていたら、最近はパパが一人で赤ちゃんを連れて来る姿も珍しくない。  男性の育児参加推進は、厚労省も強力に後援していて、その甲斐あって、男性の育児休暇取得率はジリジリと上昇してきているようで、内閣府の調査では、2018年度に6.16%だった男性育休取得率は、2022年度には17%(ちなみに女性は80.2%)

          男性の育児参加と運動不足

          久々の投稿... ほとんど衝動的に.... 定期的に投稿することはなかなかできないけど... また、時々、記事をアップしてみますので、よろしくお願いします!

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          子どもって、ホントに減ってるの?

           最近、新聞やテレビでも少子化、少子化と耳にする事が多くなったと思いませんか?  今年の1月には政府も「異次元の少子化対策に取り組む」なんて事を言い出すくらいだから(でも、その割に、具体的に何をするのか、一向に見えて来ないけれど)、なんとなく「子ども、少なくなっているのだろうなぁ」とは思えても、その事を実感している方はそれ程多くないのではないか。  これまで、小児科医として主に小さく生まれてくる赤ちゃん達のために働いてきた。この仕事を選んだ頃、すでに「少子化」が問題になり

          子どもって、ホントに減ってるの?

          久しぶりのnote【221122】

           気がつけば、前回のポストから10日以上間があいてしまった…  日記もブログも、これまで長く続いたためしがないからなぁ…なんて言ってると、このままフェードアウトしちゃいそうなので…再挑戦、始めよう!  とはいえ…「noteに毎日投稿」とか意気込んじゃうと、たちまち息切れしそうなので…義務的にならない様に、ゆる〜く続ける方向で、って事かな…  11月は学会シーズンで、コロナ前は毎週の様にアチコチ飛び回っていたのだけれど、この所、多くの学会がオンライン開催になって、とんと関東圏

          久しぶりのnote【221122】