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仕事のために家庭を犠牲したくない。家庭のために仕事をあきらめたくない
7/25に『仕事も家庭もうまくいく! 共働きのすごい対話術』という本ができた。
企画から1年、とても思い入れの深い本になった。
記憶が鮮明なうちに、その企画の経緯や、こめた想いについて書いてみようと思う。
2021年2月1日、転職して最初の本が発売された3日後。
妻から、プレゼントを渡された。
その小箱を開けると、そこには1枚のエコー写真が。
自分は父になるのだと知らされた。
「そろそろ」とは話していたので、とくに戸惑いはなかった。
感情を出すのが苦手なので、「ちゃんと喜べてるかな?」と、それが気になっていたのをよく覚えている。
それから数日、「転職したばかりだし、こりゃ頑張らなきゃな」と考えていたところ、「でも、自分は仕事が好きだからいいけど、妻のキャリアはどうなるんだ?」と疑問に思った。
妻は今の仕事が大好きだ。
でも、産休や育休によって、キャリアはリセットされてしまうかもしれない。
職場復帰後も、子育てとの両立で思うように働けなくなるかもしれない。
お金のことを考えると、もっと給料の良い仕事に転職しなくてはならないかもしれない。
結婚して、子供が生まれて、それは嬉しいことなのに、理想の仕事や働き方と引き換えになってしまうなんて。
仕事も家庭も、人生において自己実現をするために欠かせないことであり、二択になっちゃいけないよな。
そんな思いを抱いた。
そして、結婚しようとも子供が生まれようとも、ふたりで協力して「ふたりらしい生き方」を叶えていける本をつくりたいと考えた。
そこで、いろいろと本を読んだりしたわけですが、意外としっくりくる本がなかった。
多かったのが「パートナーを動かす心理テク」的な本。
「男性はプライドが高い生き物なので、褒めて動かしましょう」
「女性は優しくしてほしい生き物なので、家事をねぎらってあげましょう」
そんな「取扱説明書」的な本は、エンタメとしては面白いかもしれない。
でも自分なら、「気になることがあったら率直に言ってほしいし、妻が家事で大変そうだったら手伝ってあげたい」と感じた。
そんなときにたどり着いたのが、あつたゆかさんだ。
じつはあつたさんのことは、パートナーとの「のろけ話」を語り合う「のろけバー」を始められたときから知っていて、「面白い活動をしている人だな」と感じていた。
あと、じつは妻の旧姓と同じということもあって、印象に残っていた。
「パートナーとは、家庭の共同経営者になりましょう」
「ふたりは幸せになるために一緒になったのであって、家事を分担するために一緒になったわけじゃない」
「結婚式では生涯の愛を誓うけど、それは契約によってではなく、お互いに関係維持の努力を絶やさないことを誓うのだと思う」
「円満なパートナーシップのために必要なのは、理想の相手を見極めるスキルよりも、家庭の運営スキルだ」
あつたさんのnoteには、こんな言葉が並んでいた。
そうだ、結婚生活とは、その場しのぎのテクニックでやり過ごしていくものではなくて、たとえつらくとも、ふたりで手を取り合って、時間をかけて、理想に向かって進んでいくためのものなんだ。
まるっと共感した私は、すぐにあつたさんに執筆をオファーした。
「理想のパートナーシップ」を提案する本ではなく、「ふたりの理想のパートナーシップを見つけていく方法」を提案する本にできたらと思います。「結婚は地獄だ」といった呪縛を払い、現在パートナーがいる人はもちろん、パートナーを持つことに一歩踏み出せない人に勇気を与える本にもなると考えております。
私が送ったこんなメッセージに、あつたさんは賛同してくれて、企画を進めることになった。
企画の経緯だけでいっぱいいっぱいになったので、製作中の話はひとつだけ。
制作中に驚いたこと。
それは、あつたさんが本当に「対話」がうまいということ。
この本では、初めてslackを導入して製作をしてみた。
私とあつたさん、そしてライターさんで共有して、書籍の章ごとや「デザイン」「タイトル」など細かくチャンネルを分け、随時、連絡を取り合った。
ある程度進めていって感じたのが、あつたさんが独り言のような投稿をたくさんすること。
「3つの対話スタイルのところ、全部文章がズラーっと並んでて読みづらいので、冒頭はチェック形式とかになってると見せ方的にわかりやすいかも」
「思考の実況中継は情報共有の話で対話スキルではないので、なんだか急な感じがある…あと私の例が特殊すぎて、こいつ暇だな感が強いw」
こんな感じで、原稿やゲラ確認中にポンポンと投稿がくる。
とくに返答を求められているわけではないので、チェックだけしておく。
でもこれのおかげで、後に来る赤字や修正の意図が、すべてわかるのだ。
その背景が共有されているから、「?」となることがなく、とてもスムーズだった。
じつはこれ、本のなかでも紹介している「slackを使った思考のシェア」という方法だ。
忙しくて時間がとれない夫婦・カップルなら、slackに個人的に考えたことや出来事を投稿しておくと、お互いに情報共有ができて、対話のときに共通の前提のうえで話し合えるというもの。
これを書籍の製作でも実践していたと、終盤の打ち合わせで聞いて、驚いた。
ほかにも、デザイン案やタイトル案も、なにを相談したときも、まずはじめに「ありがとうございます!」と、こちらの労をねぎらってくれる。
たとえ気になるところがあっても、それ以外の部分には感謝する。
これも、本のなかで紹介している、建設的な対話のコツのひとつだ。
あつたさんは普段からそれらをすべて実践しているため、製作においては、お互いの意見や考えを率直にぶつけあったけど、まったくストレスはなかった。
「著者自身が、自分で言っていることを実践できているか」はけっこう重要なポイントだ。
本当に、あつたさんにお願いしてよかったと感じた。
本書の企画が立ち上がったのが、昨年の6月。
それから1年。
私には娘が生まれ、あつたさんは金沢に移住して独立もして、ライターさんもフリーランスになった。
みんなそれぞれ人生が大きく動いたけれど、そのなかでもこうして書籍を完成できたことは、まさに「仕事と家庭の両立」の仕方を、本書の製作から学べたからかもしれない。
ゼクシイいわく、今は「結婚しなくても幸せになれる時代」だ。
たしかに、仕事によって自己実現はできるし、一生かけても消費しきれないほどの娯楽もある。
むしろ結婚が、そういった幸せの追求の妨げになるような認識さえある。
結婚することが、必ずしも良いだなんて思わない。
そりゃ大変なことだって、たくさんある。
自分だって、結婚することになったのはたまたまだった。
でも、そのたまたまがきたときに、結婚をデメリットと考えることのない、他の幸せと天秤にかけて判断することのない、そんな社会に変わっていくといいなという思いも込めて、この本をつくったのかもしれない。
『仕事も家庭もうまくいく! 共働きのすごい対話術』、好評発売中です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4295407151/
仕事のために家庭を犠牲したくない。
家庭のために仕事をあきらめたくない
そう願う人に、届きますように。
おわり
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