見出し画像

リクルート→アメリカでの起業準備を経て、日本でもう一度グローバルを目指して人材育成SaaSを始めるまでの話

はじめまして、株式会社villio代表の紙谷和彦(@kzhk0331)です。

簡単な自己紹介

・大阪大学大学院修了後、新卒でリクルートホールディングス(現リクルート)に入社
・退職後アメリカでの事業立ち上げを経て2020年4月株式会社villioを創業
・趣味は相席食堂とサウナ

この度ANRIさんをリード投資家としてシードラウンドでの資金調達を行いました。

画像11

今回の資金調達を受けてエンジニア採用や副業などの募集を開始したので、今回はもっと多くの人たちにvillioの目指すビジョンやこれまでの経緯を知ってもらいたいと思いこのnoteを書きました。
採用ページ

今回は以下の3つのテーマについて書いていこうと思います。

①なぜ起業したのか
②創業してからのハードシングス
③これからvillioが実現したいこと

僕自身、創業直後に他の起業家の方の失敗談とかを見ながらすごく参考になったので、今回は自分のこれまでの失敗も含めて書こうと思います。

 何の事業をやっているのか

まだクローズドβ版なのでサービスの詳細を公開してないのですが、事業概要としては企業向けにピープルマネジメントを改善し、社員の自律的な成長を支援するタレントエクスペリエンスSaaS「Talent Ampを提供しています。
タレントエクスペリエンスシステムとはアメリカなどで台頭してきているジャンルで、従来のタレントマネジメントシステムのように経営・人事が従業員を評価・管理するためのものではなく、現場のメンバーが自律的にパフォーマンス向上や体験向上を目的として利用するシステムのことです。

スクリーンショット 2021-06-23 18.58.44

①なぜ起業したのか

 「教育」をやりたいと決意した原点であるLife is Tech!の海外法人立ち上げの経験

もともと教育に興味があり、大学時代に休学して中高生向けIT教育を提供するライフイズテックのシンガポール法人とオーストラリア法人の立ち上げを行っていました。きっかけはシンガポールで当時シンガポール法人の代表だったついちゃんと出会い、そこで事業内容を聞いて「まさに自分がやりたかった教育だ!」と感動し、ちょうどこれからシンガポール法人を立ち上げるタイミングだったので、学生のインターンなどもちろん募集してなかったですが、「来月から休学するのでインターンさせてください」とお願いして急遽インターンで採用してもらうことになりました。(これ以来、無い枠を自分で作るというスタンスは大事にしています。笑)

シンガポールでは家賃が高いので、オフィスに寝泊まりしていて、そこで後にvillioを共同創業するこにと出会いました。2人ともビジョンが近く、その頃からいつか一緒に事業ができたらいいね、という話をしていました。

画像3

Life is Tech!シンガポールの立ち上げチーム

 ライフイズテックでの経験を経て気付いたこと

その後ライフイズテック代表の水野さんと2人でオーストラリア法人の立ち上げなども経験させてもらいました。もちろんローカライズは必要でしたが国が変わっても事業ニーズが非常に高いことを感じました。当時は海外でもプログラミングは必修化されておらず、ITを学びたい子どもたちがITを楽しく学べる場所があまりありませんでした。そんな中でライフイズテックのサービスを通じてITを学んだ子どもたちがそのスキルを生かして周りの人や社会に価値創出をしていく姿を見て、改めて教育の重要性を再確認しました

そしてこの経験を経て2つのことに気付きました。1つ目は「自分はやっぱり子供・大人含めて教育を通じたwell-beingの領域をやりたい」、そして2つ目は「本当に価値のあるサービスを作ってグローバルで勝負したい」ということでした。

 なぜリクルートを辞めて起業したのか

帰国してリクルートホールディングスに新卒入社をしました。リクルートは個人のwill(意志)を本当に尊重してくれる会社で、希望通りHR領域の新規事業に配属してもらい非常に刺激的な経験をさせていただきました。
その間も教育に興味がありながらも、どの年齢層に教育を提供したいかが定まっていませんでした。ただある時期から友人の転職相談に乗ることが増え、聞いてみると今の職場で成長できず悶々としている同世代が多くいました。またリクルートでも自分の周りで上司が育成に関心がなかったり、関係性が良くないことが原因で離職し、メンバーが半分以下になった部署もありました。
成長意欲も高い優秀なメンバーが成長できずキャリアに悩んでいる。一方で企業や上司もうまくマネジメントできないことに悩んでいる。特に人材育成においては、成長した人や成功した人の行動パターンは共有されにくく、勘と経験に頼っている部分が大きいです。さらに外部環境の変化として人材の流動性が高まり、キャリアも多様化していく中で、こういった課題はより深刻化していると感じていて、この課題を解決できればもっと多くの人が才能を発揮し、キャリアの可能性を広げることができるのではないかと思いリクルートを退職しメンタリング領域で起業することにしました。

 アメリカで起業するために渡米

まず真っ先にこにをチームに誘い、2人で共同創業することにしました。当時からメンタリング・コーチング市場がこれから伸びていると感じていたので色々調べていくと、アメリカのコーチング領域の市場規模は約1.6兆円と日本の推定値300~500億円に比べて非常に大きな差があることがわかりました。

スクリーンショット 2021-06-20 0.53.19

アメリカのコーチングスタートアップ「Better Up」は
累計約140億円を調達しユニコーンに

最初からグローバルに行きたいという気持ちが強かったので、アメリカで事業をスタートできないかと思い、こにに「アメリカで事業スタートしない?」と提案すると快諾してくれました。笑
そこから3ヶ月だけ滞在できるESTAをフル活用して5人の仲間(うち3人は東京)とサンフランシスコで事業検証をはじめました。
サンフランシスコでは現地の起業家・投資家に知り合いを紹介していただき、現地の状況のヒアリングや事業相談をしたり、顧客課題の解像度が低かったのでスタンフォード大学に行き、いきなりキャンパスにいる人に話しかけて1日50人ヒアリングを行ったりもしました。

画像9

スタンフォード大学は社会人もいるのでいきなり声をかけてヒアリング

また現地では本当に多くの方にサポートいただき、現地の投資家へのピッチなどもさせていただきました。特にHOMMA Inc.代表の本間毅さん、Junify CSOの安武弘晃さん、Life is Tech! US CEOの宮川聡さんなどは帰国した後もサポート頂き、非常に感謝しています。

また、サンフランシスコにいたときは家賃、食費すべてが高すぎるのでAirbnb本社のエントランス部分がただで使えるのでそこで作業してたりもしました。笑

画像4

wifiも使えるAirbnb本社のロビー


 テクノロジーを使って人のキャリアの可能性を最大化する「知のマップ」を作りたい

villioは「意思ある人をエンパワーメントすることで世の中に新しい価値を創出する」というビジョンを掲げています。そのビジョン達成に向けて僕らがまず取り組みたいのは勘と経験に頼っている人材育成・キャリア形成をHackし、個人の才能を最大限引き出すことでキャリアの可能性を最大化することです。
アメリカでチームを手伝ってくれていて、現在はペンシルバニアのCS博士課程にいるちゅーげんやSHEでブランドマーケティングを担当している上平田蓉子ちゃんとLAのWeWorkでこのビジョンについて話したのを今でも昨日のように覚えています。その時人の経験や強みからその人の次のキャリアパスを提示したり、そのゴールに対して達成するまでの道筋を可視化できるようなものを作れたら良いねと話していて、それを「知のマップ」と呼んでいました。

スクリーンショット 2021-06-19 16.32.19

知のマップのイメージ(スキル版)。獲得したスキルは色が付き、
自分のキャリアゴール達成までの道筋が可視化される

ライフイズテックにいた時もITを学んだ子が全員がエンジニアになるわけではなく、むしろそこで得た経験から次の自分の「好き」を見つけたり、新たなキャリアの可能性が広がっていくのを見ていたので、知のマップによってそういう価値を子供から大人まで提供したいと考えています。特に組織の中では業務や研修などたくさんの成長機会もあり、個人のキャリアゴールと紐付けて個人の成長を最大化できるチャンスがあると考えています。
この話が盛り上がりすぎて、ちゅーげんとは遅くまで仕事をした後その話をしていると夜中3時になっていたり、次の日の朝weworkでシリアルを食べながら2時間話していたなんてこともありました。笑


 リモート×時差×多すぎたメンバーによる難しさ

一方でアメリカの事業立ち上げは多くの困難がありました。教育・キャリアの領域は国ごとに大きく課題が異なり、現地の顧客の解像度を理解しきれていなかったこと、また副業ながらビジネス職を中心に5人くらいに手伝ってもらっていたため役割が重複してしまったこと。よくスタートアップでは「Hacker(エンジニア)」「Hustler(ビジネス)」「Hipster(デザイナー)」といった役割の異なる最小単位の構成で始めるのが良いと言われてますが、まさにその通りだと思います。特に自分の場合は初期においては顧客の解像度を上げるためにもビジネスサイドはほとんど自分でやるのが良いと学びました。

画像2

「現代のスタートアップチーム構成における6つの役割とは」

また、メンバーのうち3人は日本にいるという状況だったため、リモートかつ時差もあったためコミュニケーションが難しく、人数を増やした結果サービスを市場に出すスピードも遅くなってしまい事業検証がなかなか進みませんでした。
3ヶ月が経過し、ESTAが切れるタイミングで改めてどこで事業をスタートするか話し合い、結果的に悔しかったですが日本に帰国して事業をスタートすることにしました。
帰国の際にアメリカでお世話になった方には挨拶をしていたんですが、現地の投資家の一人に「日本からスタートするからにはグローバルに行くと強い意志を持っていないとグローバルに出られない」と言われたのを今でも覚えています。そのため、日本で始めた今でもグローバルに出るということを意識しながらサービスを作っています。

②創業してからのハードシングス

 帰国してvillio創業

帰国してコロナ真っ只中の2020年4月に株式会社villioを創業しました。
事業領域は変えておらずアメリカでの市場調査もあり、今後日本でもこの領域は伸びるだろうという確信はありました。最初はtoC向けに内省とメンターによるメンタリングを提供し、成長意欲の高い個人が経験学習サイクルを回すことで目標達成をしたり、キャリアプランニングを行うサービスを提供しました。検証を回していった結果、ユーザーに価値は感じてもらえたものの、黎明期の日本市場の中で個人で社外にそういった機会を求める人は非常に少数の意識の高い人達だけでした。特にこの領域は実際に体験するまで価値を感じてもらいにくい部分もあるため、一回目に使ってもらうハードルが非常に高いことが難所でした。

画像5

創業メンバーでオフィスとして使っていたシェアハウス

ただ自分たちのソリューションが人材育成やキャリア形成にとって価値のあるものだということをユーザーの行動を見て感じていたので、事業モデルをBtoBtoE(Employee)の企業向けに提供するという形に変更し、これからトライアル企業を獲得しサービスを作り込んでいくぞ!と意気込んでいました。

 突然の共同創業者との別れ

そんな中、事業モデルをtoBにピボットしたタイミングで共同創業者からチームを抜けると言われました。確かに事業はすぐ立ち上がるものではないし、その期間は資金的にもつらい状況が続くのでそういった面でストレスがかかっていることは理解していました。ただ、企業向けにピボットして「この方向性で行こう!」というタイミングだったので、伝えられた時はかなりショックを受けましたし、僕はもともとストレスを感じにくい性格なのでだいたいのことはすぐ切り替えられるのですが、このときばかりは3時間くらい一人で散歩しました。(ちなみに周りから心配されるんですが、全くケンカ別れではなくその後もシェアオフィスに一緒に住んでたくらい仲は今でもいいです。)
ただ、この時にCEOとして多くのことを反省したし、事業の成果が出なければ誰も幸せにできないということを改めて痛感しました。

共同創業者が抜けていろんな事が頭をよぎりました。よく「スタートアップが終わるのは創業者の心が折れた時」と言いますが、まさにそうだと思います。そして僕にとっては仲間が離れるときが一番辛かったです。
ただこの時に自分にとって大きな気付きがありました。「共同創業者がいなくなってもまだ続けるの?」と色んな人に聞かれたんですが、その中で自分の中には「今のビジョンを達成したい」という明確な想いがあり、今後一人になっても絶対にやってみせる、という意思があることを再認識することができ、自分の中では完全にこの領域でやっていくという意思が固まりました。

 事業の方向性が固まり、資金調達

1人になってプレッシャーは増えましたが、良かったことは意思決定のスピードはかなり上がりました。特に検証フェーズに関してはしっかり議論して納得する結論も大切ですが、早くユーザーに出してフィードバックを得ることが近道だったと思います。
Y Combinatorの投資家ポール・グラハムも以下のように話しています。

ユーザにアイデアをぶつけることが、そのアイデアを本当に理解できる唯一の方法だ。

検証を進めていくうちに今の事業である「Talent Amp」のトライアルをしてくれる企業様が見つかり、事業の方向性も徐々に固まっていきました。また、そのタイミングで定期的に事業相談をさせていただいたANRIのパートナーである河野さんにリード投資家として出資をいただくことになりました。シードラウンドにおいては特に「誰から」投資を受けるかが重要だと考えていたので河野さんに出資頂けたことは本当に嬉しかったです。その後、ReBoost代表取締役 河合聡一郎さん、Chatwork代表取締役CEOの山本正喜さんを始めとした個人投資家の方からも資金調達を行いシードラウンドをクローズしました。改めて今回本当に尊敬する投資家の方々に参画いただくことができ、非常に有り難く思っています。

画像8

今回参画頂いた投資家の方々 ※氏名公表の投資家のみ

③これからvillioが実現したいこと

 テクノロジーを使って全ての人に最適な「教育」をグローバルで提供したい

先述の通り、villioはテクノロジーの力を使ってすべての人の才能を最大限発揮させ、人生の可能性を最大化させたいと思っています。
人生100年時代と言われる中で、大人になってからの「教育」は非常に重要にもかかわらず、メンタリングやコーチングスキルは上司に依存し、どのメンターに当たるかで成長角度やキャリアまで変わってしまいます。「人」の育成の領域は不確定の変数が多く、定量化しにくいため難易度が非常に高いチャレンジングな領域です。事業相談をしていて多くの人からこの領域はROIが見えにくいため、難しいといったコメントをもらいました。ただ難易度が高い課題だからこそスタートアップが取り組む意義があると思うし、僕はライフイズテックの水野さんが以前対談で話していた、「オクスフォード大学を100億円で作っても3年で絶対に利益は出ない。でも700年続いてそこから輩出した人やその人たちが与えたインパクトは100億円じゃきかない」という言葉がすごく好きで、教育や人材育成って今のROIの指標では測りきれない価値があると思います。Talent Ampを通じて個々人の成長を支援し、その人達がまた新しい価値創出をしていく。この形でvillioの「意思ある人をエンパワーメントすることで世の中に新しい価値を創出する」というビジョンを実現したいと思います。
そして一度は日本に帰ってきましたが、またグローバルで使われるようなサービスを作りたいです。

 一緒にテクノロジーで人材育成の領域を変革しましょう!

現在クローズドβ版をリリースするタイミングで、トライアル企業数も増えているですが、まだまだやりたいことはあるのにプロダクトにするためのエンジニアが足りていません!新規事業立ち上げフェーズで早いサイクルで一緒に仮説を立てプロダクトに落とし込む創業メンバーとしてのHacker(エンジニア)を絶賛募集中です!
まさにPMFに向けて色んな経験ができるフェーズで超絶楽しいです!(その分カオスです笑)
もちろん枠は少ないですが、ビジネスサイドの方も募集しております!

画像7

オフィスはANRIさんのgood morning buildingに入居させて頂いています

ここまで読んでいただき、「villioのビジョンが面白そう」「紙谷と一回話してサービスの詳細を聞いてみたい」など何でも構いませんのでビジネスサイドからエンジニアの方まで興味持っていただけた方は副業や業務委託の相談でも構いませんのでお気軽にご連絡ください。zoomやランチなどでカジュアルにお話しましょう!
採用情報の詳細に関しては以下の採用ページをご覧ください。

▼採用ページ
https://villio.jp/

▼紙谷 和彦連絡先(DM送っていただいてもOKです!)
Facebook
Twitter


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?