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マッチングプラットフォームの先へ!CTOが描く「M&Aクラウド」の野望

こんにちは、M&AクラウドでCTOをしていますかずへいです。先日、発表したとおり、当社はこのたび約10億円の資金調達を完了しました。

「リクナビのM&A版」を目指し、M&A業界初の買い手掲載型マッチングプラットフォームとして2018年4月にローンチした「M&Aクラウド」。3年半経った今、買い手は約440社が掲載し、売り手も毎月200社以上が登録するサービスに成長しました。プラットフォーム上での成約も順調に生まれるようになり、マッチングプラットフォームとして一通りの機能と実績を持つサービスになってきたといえるでしょう。

もともと同種のサービスが存在しなかったことに加え、M&Aはマッチングから成約まで数カ月以上かかることもあり、ローンチ以降、私たちはマッチングプラットフォームのあるべき姿を手探りで追い求めてきました。最近は、サービス開発と運用の取り組みがようやく一周し、次のステージを目指すための足がかりができたと感じています。

今回の資金調達を機に、当社は大幅にエンジニアを増員する計画です。そして、UXを今よりも格段に向上させ、もっともっと使えるマッチングプラットフォームへと進化させていくとともに、将来は単なるマッチングプラットフォーム運営会社を超え、M&Aプロセス全般を支えるテックカンパニーになれるよう、布石を打っていきます。今回は、私個人の夢も多少交えつつ、M&AクラウドのCTOとして、現時点で思い描くビジョンをお伝えします。

マッチング精度を高める“赤い糸”を見つけたい

開発部門で現状、特に注力すべきと考えているのは、プラットフォームに登録いただいた売り手が、よりマッチした買い手にどんどん会える環境を整えていくことです。これには

①売り手が自社を求めている買い手を探し当てられるよう、おすすめ機能の精度を上げる

②売り手が自社をより効果的にアピールできるよう、企業情報入力のサポート機能を高める

という2つの方向性があります。

①に関しては、今年4月にリリースした「かんたんM&A力診断」が、自動で抽出したおすすめの買い手を提案する機能を備えています。今のところ主に業種を切り口に、売り手の属性と買い手の買収ニーズを突き合わせ、おすすめを行っていますが、今後はここに機械学習を導入することで、より幅広い可能性をデータに基づいて提示していきたいと考えています。

データ分析の世界でよく知られたエピソードに、「スーパーでオムツを買う人は、一緒に缶ビールを買いやすい傾向がある」というものがあります。赤ちゃんのいる人は外出しづらく、自宅で飲む機会が多いということでしょうが、オムツとビールとは一見意外な組み合わせです。M&Aの世界でも、これまでの「M&Aクラウド」上の成約事例を見ても、一見意外な組み合わせは少なからず生まれています。プラットフォームに蓄積されたデータを活用し、過去の成約案件を解析することで、まだ誰も気づいていない、隠れた“赤い糸”を見つけ出し、おすすめに反映していきたいと考えています。

売り手の情報入力を自動化していく

②に関しては、買い手にとって売り手の魅力が十分に伝わる情報を入力してもらえるよう促しつつ、売り手に入力作業を負担に感じさせないようにする――この2つの要素を両立させることが求められます。このため、買い手が本当に必要としている情報を当社で改めて精査するとともに、入力をできるだけ自動化できる仕掛けも盛り込み、入力画面の操作性を高めていきます。

自動化については、たとえば決算書をアップロードすれば、業績が自動で入力されるとか、Webメディアの場合なら、Googleアナリティクスと連携して、直近のPV数などを引っ張ってくる、といった機能を実装できれば、売り手の負担を大きく減らせるでしょう。これらはあくまでイメージですが、M&Aのテックカンパニーとしては、こうした機能の開発にも他社に先駆けて取り組んでいくべきと考えています。

「頑張った買い手が報われる」仕組みとは?

一方、売り手だけでなく、買い手に対しても、「M&Aクラウド」をより積極的に使っていただけるような仕掛けを入れていきます。

今年9月には、複数領域にわたってM&A先や出資先を募集している買い手のために、各社が複数の募集記事を作成できる機能をリリースしました。併せて、プラットフォーム上で特に精力的に活動している買い手を「ゴールドバイヤー」「シルバーバイヤー」「ブロンズバイヤー」として上位表示させるなど、さまざまな機能を追加しています。

このリニューアルの背景にあるのは、「頑張った買い手が報われるように」という思想です。冒頭でも述べたように、M&Aは成約に至るまでのプロセスが長く、努力がすぐに成果に結びつくわけではありません。一方、頑張っても何も反応が返ってこなければ、人の意欲は失われていきます。募集記事の作成・更新や日々のスカウトメール送信、売り手から届いた打診への対応など、熱心に活動すればするほど、その証がサービス上に表れるようにすることが、熱心な買い手を増やし、マッチング、ひいては成約を増やすことにつながるはずです。

人材採用のマッチングプラットフォームには、よくスカウトを送った件数や返信率などを分析できるツールがついていますが、「M&Aクラウド」にはそうした仕組みもまだありません。成約から逆算して、どんな指標が見える化されれば買い手のインセンティブとして効果的なのか、よく検証したうえでツール開発に取り組んでいきたいと思います。

「M&AのテックカンパニーといえばM&Aクラウド」と言われる明日へ

ここからは、私個人の思いも織り交ぜつつ、中長期的なビジョンをご紹介します。

私が2017年に入社した当時、当社には「M&Aの世界にテクノロジーを入れる」というコンセプトだけはあったものの、どんなプロダクトで勝負すべきかはまだ固まっていませんでした。長い試行錯誤の時期を経て、今の「M&Aクラウド」のローンチに至ったわけですが、その半年後に初めての成約が出たとき、私の中ではついに光が見えた感覚がありました。「これは本当にワークするプラットフォームなんだ。ということは、人材業界のようにM&A業界をIT化していくことも、きっと実現できるはずだ」という信念のようなものが生まれたのです。

今の私の夢は、いつか「M&AのテックカンパニーといえばM&Aクラウド」といわれるような状況をつくることです。先ほど説明したように、今はまだマッチングプラットフォームを進化させていくことに集中すべき段階ですが、その後にやりたいことはたくさんあります。マッチング後の案件管理や資料の受け渡しをサポートする仕組みもつくりたいですし、さらには成約後、M&Aした会社がどれだけ業績を挙げているかを管理できる仕組みもつくれないかと考えています――いずれその結果をマッチングフェーズにフィードバックしていくことで、「成功するM&Aの進め方」を見出すことも不可能ではないはずです。

人材業界でも、上記の仕組みすべてを1社でカバーしている会社はおそらくないでしょう。当社がもしこの夢を本当に実現できたら、「M&A未経験の買い手でも『M&Aクラウド』を使えば、成功するM&Aができる」世界をつくっていけます。そうなった暁には、かつてプラットフォームから最初の成約が生まれたときをも上回る、大きな感動を味わえるに違いありません。

エンジニア大募集!機械学習やデータ保全のスペシャリストも歓迎

以上、CTOとして抱いている今の課題感と、将来のビジョンを書いてきましたが、これらの実現に向けて欠かせないのは、何といっても人材です。現状、開発部門には私を含め7人のメンバーがいますが、まず絶対数が圧倒的に不足しているうえに、今後、複数のチームで運営していくことを考えると、チームリーダーをお任せできる人材も必要。チーム内のコミュニケーションコストがふくらむのを防ぐためにも、1チームの人数は7、8人程度に抑え、それぞれが「マッチングのUXを向上する」「買い手のコミットを高める」といったミッションを担う体制を整えていきます。

当社ではこれまでは基本、サーバーサイドからフロントエンド、インフラまで手掛けることのできるエンジニアの方を採用しスピーディーに開発することを大事にしていましたが、今後はより専門特化した人材も併せて採用する計画です。特に注目しているのは、先ほども触れた機械学習に強い人材。また、機械学習に必要なデータを取得・保全していくためには、データエンジニアも必要です。現状、「M&Aクラウド」では、たとえば売り手が打診に至るまでの行動データはあるものの、それを容易に分析できる基盤がありません。新たにデータエンジニアに仲間に加わってもらうことで、こうした領域もカバーすることを目指します。

「全員インフルエンサー」の野望

職場としての当社の特長は、開発部門内だけでなく、営業、編集、カスタマーサポート、M&Aアドバイザリーなど他部門のメンバーとも距離が近いこと。ユーザーに価値を提供するためのバリューチェーンにおいて、エンジニアリングはどんな役割を担っているのか、そして他部門の活動とどのように関わり合って成果を生み出しているのかが目に見える分、自分が今、取り組んでいる仕事の意義を肌で感じられる環境です。

M&Aについては、社内の優秀なM&Aアドバイザーから直接学ぶことができます。分からないことがあればいつでも教えてもらえますし、アドバイザー陣が講師を務める社内勉強会も頻繁に開催されています。また、アドバイザリーのメンバーたちも逆にIT活用を学んでみるみるスキルを上げており、そうした姿勢から私もいつも刺激を受けています。

エンジニアのメンバーたちは、「全員インフルエンサー」を合言葉に、まさに全員が社外に積極的に情報発信中。「Qiita」への記事投稿やイベント登壇を通じて、自己の学習を意欲的に行うとともに、M&Aクラウドの認知度アップに貢献しています。入社前からこうした活動をしてきたメンバーもいれば、そうでないメンバーもいますが、後者の人たちも、広く社外から反響が得られる面白さ、そして自分の成長をスピードアップできるメリットを実感し、今では自らどんどん発信するようになっています。

ちなみに、当社の技術情報を社外に公開していくことは、Web業界での影響力を徐々に高めることにもつながります。今、FacebookやMicrosoftが開発した言語が広く使われ、世界のエンジニアが当然のように不具合修正に協力しています。これと同じように、いつか当社が開発したソフトが業界のスタンダードとして活用される日が来てほしい――そんな野望も秘めつつ、今後も「全員インフルエンサー」に邁進していきます。

最後に、こんな私たちと一緒に「M&Aクラウド」の進化にチャレンジしてくださる方、ぜひ一度ご連絡ください! やりがいあふれる仕事と仲間たちが皆さんを待っています。


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