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スタートアップ企業において1on1が発揮する本当の威力

今や7割の企業が導入・実施している1on1ミーティング。特に「ヒト・モノ・カネ」のうちほぼ「ヒト」しかないスタートアップ企業では、その最も大事な資産を最大限活かすべく、1on1を実施していることが多いと思います。

大企業のようにしっかりした研修や整った評価制度はなくても、1on1はやっている、というケースはよく見聞きします。

さて、本記事に訪れてくださったあなたは、「何を目的に」1on1を行なっていますか?

✔️メンバーとの信頼関係を築くため?
✔️メンバーのモチベーションやエンゲージメント向上のため?
✔️メンバーの成長を促し、チームの成果を最大化させるため?

どれも、目的として正しいと思います。

事実、エンゲージメントと業績(労働生産性や利益率)に相関性があることは研究※でも明らかとなっており、エンゲージメント向上のために1on1が有効なこともまた、ヤフーをはじめとする数々の事例から知られています。

※参考1:「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果(株式会社リンクアンドモチベーション)
※参考2:ワーク・エンゲイジメントと個人の労働生産性について(厚生労働省 令和元年版 労働経済の分析)

しかし、「日々の1on1によって、これらの目的はどの程度達成できているのか」がなかなかふわっとしていることに、むずがゆさを感じている方も少なくないのではないでしょうか。

もっと言えば、「1on1は大事ってよく言われてるけど、正直どれだけの効果が上がるものなのかいまいちピンと来ていない。本当にそんなに大事なの?」と思う方もいるのではないでしょうか。

この「1on1、本当にそんなに大事なの?」という問いへのアンサーを2つ、ここからは書いていきたいと思います。

1on1を施策としてやりきれているか

逆に、なぜ1on1の大事さを実感できていないのかを考えてみたとき、理由として浮上してくるのが「単にやりきれていない」ということです。

「一つの物事をやり切る前に安易に結論を出すべきではない」とはよく言われますが、1on1という施策も同様です。
例えば、「最近どう?」のような雑談か業務進捗相談のどちらかになってしまう、といった状態は、「やりきれていない」典型例です。

しかし、もし「やりきれていない」つまり、1on1という施策が持つポテンシャルを使いこなせていないのだとすれば、その原因は恐らく、あなたの努力不足などではありません。「良い1on1」というものを知る機会が、そもそもとても少ないことに起因します。

  • 1on1はクローズドな空間で行われるゆえに、誰かがやっている1on1を見たことがない。

  • 自分の1on1に対して誰かからアドバイスを受けたことも、当然ない。

  • そもそも、これまでの社会人人生において、誰かに1on1をやってもらったことすらない。

もしあなたがこれらの一部、もしくは全部に当てはまるのであれば、1on1という施策をやりきれないのは至極当然です。
けれども正しいやり方を体系的に学ぶ機会があれば、必ずできるようになるものです。できるようになれば、1on1が本来もつ効力も実感できるようになります。

1on1は対抗策

…とは言っても、目の前の課題は常に売るほどあるのがスタートアップ。1on1のスキル習得・仕組み構築の優先順位が如何程のものか、冷静に判断しなければなりませんよね。

それでも、1on1は大事です。
なぜなら30人の壁、50人の壁、100人の壁を越えていくその過程においてこそ、1on1はその見えない威力を発揮するからです。

※◯人の壁というワードを初めて聞いたという方は、ぜひググってみてください。

スタートアップは、急激に人が増えます(もちろん、そうなるよう日夜頑張っているわけです。わたしもその一人)。よし伸ばすぞ!!というその時にもし、これまで苦難を共にしてきた大事なメンバーがどんどん辞めていってしまったら…それは文字通り、死活問題です。
組織崩壊は絶対に、絶対に起こしてはならないのです。その来たる壁への対応策だけは、どんなに目の前の課題に忙殺されていようが準備しておかなければなりません。死活問題だからです。

壁への対応策として知られているのは、例えばMVVの浸透施策、評価制度の構築、安全衛生管理体制の整備などがありますが、それらを伝えるのは全て「人」です。上司とメンバー、同僚同士での伝え方がいかに良質であるかがすべての基盤となります。ここが盤石でないと、その上にどんな完璧な仕組み・制度を積み上げてもまるで意味を成しません。

壁に備えて中間管理職の研修に注力するのもありですが、その研修を受けるのはもちろん、管理職たちだけです。そしてどうしても実施がスポット的なので、効果の継続性に課題があります。

しかし1on1の効力は網の目状です。もしあなたが正しく1on1スキルを習得し、素晴らしい1on1を毎週、あるいは毎月メンバーたちに実施できたら、彼らはあなたからバトンを受け取るように良質な1on1をじわじわと体得し、彼らの下のレイヤーの人たちに良質な1on1を施していきます。自然な体得に任せるだけでなく、時にはヨコ・ナナメで1on1を実施したり、スキル研鑽の場を作れると効果はより倍増するでしょう。

1on1が型として根付いていることは、どの壁に対しても最も威力を発揮する対抗策です。組織崩壊を決して起こさせない、企業全体を支える堅固な骨組みです。だから、1on1は大事です。

1on1を本気でやり切る優先度は、いかがですか?



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