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悪い夢から覚める場所はどこだ?

冷たい雨の日。
雨のせいか、少し元気がない。

さて、今日を振り返ってみよう。

朝から、線路内に人が立ち入ったらしく、電車が遅れていた。
ところで、本当に線路内に人が立ち入ったのだろうか?
何の為?

良く、この線路内に人が立ち入った、という表現は、痴漢が出たことに対する鉄道会社の隠語だという説を聞いたことがあるが、真偽はいかに。

もしくは、本当に線路内に立ち入ったとして、その人は何がしたかったのだろうか?
まず考えられるのは、飛び込み自殺か。
もし仮に、朝から電車に飛び込んで自らの命を絶とうとした人がいたとしたら、切ない。

次に考えられるのは、電車を撮影しようとでもしたのだろうか?
いわゆる撮り鉄、というやつだ。
まあ、危険を伴うし、都市部の交通を麻痺させるので、ご遠慮願いたいところだ。

雨が降ると、晴れの日より気圧が重く体にのしかかるので、気分が重くなるのだと、前にヨガの先生に聞いたことがある。

そして、雨の日は妙に眠くなる。
今日も朝の通勤電車の中で、Netflixのヘッドスペースの瞑想ガイドを聞いた。
今日のテーマは、たしか痛みとどう向き合うか、だった。
目を瞑り瞑想に入ると、心地よい眠気がやってきた。

職場も一日中雨だったので、暇だった。

最近、毎日のように職場に現れる認知症気味の老人がいる。

1日に5、6回現れては毎回同じことを尋ねてくる。

ぼく達は、毎回、その時初めて答えたかのような顔をして、「さあ、心当たりありませんね。」と言う。

老人は「なんだか悪い夢を見てるみたいだなあ」と言って帰っていく。

そして、数分後に再び現れて同じことを繰り返す。

ぼくはこの老人を約10年前から知っているので、とても切ない。
老人はとても優しい人だったので、取り乱したり、暴れたりせずに、おかしいなあと笑って去っていく。そういう柔らかさは変わらない。

毎日、そんな老人を見ていると、生きるとはなにか?と考える。

老いは悪いことなのか?

世の中は若かったり、新しいことに価値が置かれている。

もちろん、古びて疲れ切った人や物より、ピカピカして綺麗な人や物の方が魅力があるのは分かる。ぼくもそうだ。

でも、この世に生まれ落ちた人はみんな、生まれた時から、老いが始まる。
それが全ての人に対しての宿命であるのに、老いを惨めなもの、隠すべきもの、忌むべきものとしてしか扱えないのだろうか。

認知症の老人が呟く「悪い夢」が覚めるのは、あの世でのことか、新しい生の世界でのことか。

遅かれ、早かれ、ぼくもあなたも悪い夢を見ることになる。
その時、それでも、ぼくらが生きていく為に、藁を掴むようにすがることのできる楽しい思い出を、今のうちに用意しておこうではないか。

それではまた

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