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中学校時代の悪事
中学校時代は割と優等生な方だった。
勉強の成績は大体10位以内、野球部では4番でキャッチャー。
前期と後期のどちらかでは学級委員長をやっていた。
中学生と言えば思春期真っ盛りだから、ガラスが割れたり、消火器がまかれたりする時もある。
そんな悪いことからは距離を置いていたが、一つだけ一生懸命にやっていた悪事がある。
そう、冷凍みかん投げだ。
冬の給食で月イチ出されるみかんを、先生に見つからないようにこっそりと机の中に隠す。
休みの人の分は配膳当番が責任を持ってポケットに忍ばせる。
そうやって確保したみかんを、昼休みに校舎の窓から30mほど離れたプールへ向かって投げ込むのだ。
北陸の冬は寒い。
プールに張られたままの水の表面をうっすら雪が覆っていて、みかんが落ちた場所は一目で分かるような仕組みになっている。
野球部内でも一、二を争う肩の持ち主であった僕は、総合格闘技並みに色々な部から出場者が出揃うこの大会で、負けるわけには、まして、不参加というわけにはいかなかった。
バスケットボール部の猛者も寄せ付けず、誰よりも遠くへ投げ込んでいたのは僕だった。
今は生産者さんに申し訳ない気持ちでいっぱいだし、今その大会が開催されるとしても絶対に参加しない。
そんな思い出が詰まった校舎は、去年取り壊されてしまって、今は更地になっている。
過疎化の影響で他の市内の中学校と統合したため、何年も前から使われていなかった。
学校の前の駄菓子屋も、近くのクリーニング店もなくなっていく。
実家に帰った時は、生まれた話よりも亡くなった話を聞くことの方が多い。
建物も人もなくなっていくが、せめて思い出だけはと思ってこうして書き残している。
新しいことをたくさん経験して、忘れてしまっても大丈夫なように。
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