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BIEN ~花粉(ヤツ)は原っぱからやってくる~

半月前までは「早く涼しくならないかなぁ」なんて思っていたが、今は「もうちょっと暖かくても良いんじゃないの?」と不満たらたらである。
季節の調整ヘタクソ~!!

秋が好きな人の話はよく聞く。暑さがゆるみ、風も爽やかで心地よい。果物に野菜、魚介とおいしいものがたんまり増える。木々が色づきはじめて、物寂しくなるのがむしろ良い、などなど。確かにそうだ。私も秋風の中自転車を走らせるのは好きだし、梨も柿も栗も好物だ。
一方で私にとって、秋は1年間の中で最も辛い季節でもある。それは花粉のせいだ。

急に涼しくなった10月初めのある朝。ヤツは今年もやってきた。
めちゃめちゃに目と鼻がかゆい。顔を洗っても歯を磨いても朝ごはんを食べてもかゆい。必死の思いで身支度をして、会社に向かった。
家から最寄りのバス停まで10分程度の通勤路。どこにでもある変哲もない住宅街だが、人々の装いや草木から季節感を感じられる好きな道だ。特にお気に入りの場所はバス停近くにぽつねんとある空き地で、誰も手入れをしないその場所は雑草が我が物顔で生い茂り、天然の花壇のようになっている。冬の間は枯草だったその場所も、春の初めにはタンポポが眠そうに花を開き、夏にはどこから来たのかアサガオ(夕方になっても咲き続けるので“アサ”ガオではないのかもしれない)がゆうゆうと蔓を伸ばす。そして秋になると、わさわさわさと花粉症の発生源となる草花がはびこるのだ
今年も会ったわね…と件の草花を一瞥し、バスに乗る。マスクを付けていても、私の鼻はズビズビと音を立てる。一時に比べればマシにはなったが、隣に座っている人からは「こいつ風邪じゃねェよな」と言わんばかりの目を向けられる。いいえ、花粉症です。
会社に行ってもしばらく目と鼻はやられっぱなしで、私のデスクには常にティッシュボックスが常備されている。春の花粉症と比べて秋の花粉症はマイナーだからなのか、同僚にはしばしば「芳ちゃん風邪じゃないよね?」と言われる。だから花粉症なんですってば。なお、花粉症の症状のピークは起床後~午前中いっぱいなので、午後からは多少マシになる。それまではマスクの中で変な表情をしつつ、バンバンに減りゆくティッシュを眺めるのだ。

鼻水、マジで止まってくれ

「花粉症対策にはこれ!」という読み物もしばしば見る。◎◎を毎朝しろ、▲▲はしてはいけない、□□を食べろ、などなど。正直ピンキリだが、生活リズムが崩れると症状が悪化する傾向はあるので、十分な睡眠、食事、適度な運動に基づく健康的な生活は必須なのだろう。
しかし一番効くのは市販の抗アレルギー薬である。飲んでしばらくすると嘘のように症状が止む。ナチュラルで丁寧な暮らしを求める高尚な方々は机を叩くかもしれないが、結局のところ西洋医学の力は偉大なのだ。少なくとも薬で目と鼻(ひどいときには顔全体)のかゆみと無限鼻水&くしゃみから解放されている私はそう思っている。


今年もきっと、秋はすぐ去ってしまうだろう。花粉症のことは憎いが、冒頭でも書いたとおり秋の好きなところはたくさんある。厳しい暑さをのりきったご褒美を、見つけて味わう秋にしたい。



秋の花粉症の要因となる草花って、数種類あんねん   芳田