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選ばれるお店、選びやすいお店の特徴とは

久しぶりにnote書きます。
今回は飲食店について、「選ばれるお店、選びやすいお店の特徴とは」という大きいテーマから書いてみようと思います。
ちなみに私は合同会社カラフるを設立し、飲食店様や小売店様のブランディング(&リブランディング)やPRの支援をさせていただいております。

昨今、流通産業の発達により、新鮮で手頃な価格で様々な食材が手に入るようになりました。さらに、コロナ禍でのネットショッピングの活性化により、地方の美味しい野菜、お肉やお魚も翌日には届くようになりました。また冷凍技術の進歩により冷凍食品や加工食品の美味しさもアップしました。これにより、自宅での料理に使用する食材も充実し、自宅でも手軽に美味しい料理を楽しめるようになりました。
しかし、私自身は料理もしますが外食が好きなため、様々なお店に足を運び楽しんでいます。行ってみたお店の中でも「このお店は素晴らしい」と思うお店と、「もう行かないだろうな」と感じるお店があります。その差は一体どこにあるのか、選ばれるお店、選びやすいお店の特徴を考えてみました。本記事ではその要点をまとめてお伝えします。
(経験や知識からの主観的考察ですので、参考程度にご覧いただければと思います)

まず、飲食店を経営する際には、お店の「三つの柱」として、QはQuality(クオリティ)、SはService(サービス)、CはCleanliness(クレンリネス)が重要だと言われています。しかし、最近ではこれだけでは足りない時代になってきました。それは、良質なものが手に入りやすくなったことや、SNSなどで簡単に情報を発信できるようになったことが理由です。そこで、QSCに加えてお店の価値であるValueがとても重要になってきたのです。繁盛店には必ずこのValueが存在しています。選ばれるお店を作り上げるためには具体的にValueを作り込む時代になったのだと思います。
さらに、Valueは3つに分けることができます。

Value
 ↳ Speciality(スペシャリティ)→ 名物
 ↳ Atmosphere(アトモスフィア)→ 空間、活気
 ↳ Hospitality(ホスピタリティ)→ おもてなし(能動的)

Speciality(スペシャリティ)について

Specialityは、お店の名物や特長的な料理やドリンクを指します。
美味しいものが豊富な今日では、特別なものである必要があります。味だけでなく、量や見た目、そして体験など、特別感を演出する要素が求められます。これらのSpecialityがあれば、SNSや口コミを通じて広がりやすく、メディアでも注目を浴びやすいです。また、メニューブックの表現方法も、「新鮮な真鯛を使ったグリル」など単純な表現ではなく、「本日水揚げ!長崎五島列島産の天然クエを使ったグリル」や「レタスとモッツァレラチーズのサラダ」ではなく「群馬県嬬恋村の朝採りレタスと北海道○○牧場のモッツァレラチーズを使ったサラダ」といった詳細な情報を提供します。これにより、価値や安心感が高まり、特別感が生まれます。

最近の高級店では、逆に、メニューに食材名しか記載されていないところも増えています。「アワビ、トリュフ、泡」など、長い料理名がなくても美味しさを感じることができる傾向があります。これは、情報が過多である現代において、シンプルな表現が効果的であることを示唆しています。食材だけを記載することで、様々なイメージを呼び起こし、期待感を高めます。つまり、ValueをSpecialityに結びつける際には、名物をどう見せるか、お客さんにイメージや期待感を伝えるための巧妙なネーミングや体験の表現が重要となります。

Atmosphere(居心地の良さ)について

店舗の魅力を決定づけるAtmosphereは、雰囲気という訳になりますが、その深層に様々な要素が絡み合っているため、ここでは「居心地の良さ」と表現します。
まず、ハード面においては、内装や照明、音楽、香り、温度などが一つの調和したアンサンブルを作り上げています。これらの要素が組み合わさり、独自の雰囲気を形成することで、お店独自の魅力を引き立てています。
しかしこれだけではなく、ソフト面も同様に重要です。スタッフとお客様が共に築く「距離感」が、そのAtmosphereをさらに豊かにしています。この距離感があることで、お客様は単なる利用者ではなく、居心地の良い空間に参加していると感じることができます。スタッフとのコミュニケーションやサービスが、お店の雰囲気をさらに深化させ、特別な場所に変えています。

この「Atmosphere」の深層には、お店の個性や理念が凝縮されています。内装や照明などのハード面の要素は、お店のアイデンティティを物理的に表現する手段であり、スタッフとお客さまが共有する「距離感」は、お店の文化や価値観を感じ取る手助けとなっています。
結局のところ、成功するAtmosphereは、ハードとソフトの要素が見事に調和して初めて成り立つものです。これによって、お店はただの場所から、人々が心からくつろぎ、楽しむための特別な空間へと昇華されるのです。
最近では、このAtmosphereを大切にし、コンセプトに合った「居心地の良さ」を追求するお店が増えています。

Hospitality(ホスピタリティ)について

HospitalityとQSCのServiceの違いについてお話します。
個人的な見解ですが、Serviceは受動的な行動であり、Hospitalityは能動的な行動であると考えています。
Serviceは通常、マニュアルに規定されたステップや手順に基づいて行われる受動的な接客行動です。例えば、いらっしゃいませの挨拶、客席への案内、お水の提供、オーダーの受け付けなどがこれに当たります。これらは重要なサービス要素ですが、Hospitalityはそれ以上のものです。
Hospitalityは、サービスマンの能力や感性が加わり、お客様に対する特別な心遣いや思いやりが表れます。例えば、薬を飲みたいお客様がお水をオーダーした場合、単にお水を提供するだけでなく、ぬるま湯を用意するなどの気配りが含まれます。また、クーラーの風が直接あたる席に座っているお客様に、他の席への移動を促すなど、お客様の期待を超えたサプライズや配慮がHospitalityの特徴です。
Serviceは基本的な接客行動を指し、そのステップはマニュアルに沿って学びやすい一方で、Hospitalityは個々のサービス担当者の独自の能力や心遣いが反映され、お客様との独自のつながりを生む要素となります。従って、Serviceがあくまで基本であるのに対し、Hospitalityは個性や感性を活かした、お客様に寄り添った積極的なサービスと位置付けられます。
このHospitalityだけをValueにしているお店はあまりなく、SplecialityやAtomosphereとの掛け合わせたお店が多いです。特に高単価のお店では接待や会食などで利用されることも多いため、Hospitalityを求められることも多く重要視されています。

お店を出るときに「美味しかった〜」という言葉

Valueについて述べましたが、「選ばれるお店や選びやすいお店は、Valueが分かりやすいか、または複合的なValueを持ち、ちょうど良い(バランスが良い)と感じさせるお店」です。
お客様が「美味しかった〜」と言うとき、それは料理の美味しさだけでなく、Valueに対する「感謝」の表現だと感じます。味覚の喜びは口の中だけでなく、「Value」「一緒に食事をしている人との共感」といった様々な要素によって構成されています。従って、お店の魅力はQSCに加えて、独自のValueを持つことが大切です。そしてこのValueは、コンセプトやブランディングを言語化することで具体的になり、それに基づいて効果的な施策を実行に移すことができます。お店は単なる料理の提供者ではなく、お客様との経験や感動を通じて、「美味しい」をより豊かなものにしていくことが求められています。

「美味しかった〜」を言ってもらえるように。
最後に、QSCはもちろん大事な要素でありますが、お店が持つ独自のValueを大切にし、お客様に素敵な体験と美味しさを提供していくことが今後の飲食店には重要です。
経験や知識からの主観的な考察ではありますが、これを参考にしていただき、美味しい料理と共に素敵な時間を提供するお店づくりを楽しんでいただければ幸いです。

もっと話を聞いてみたい、相談してみたいという方がいらっしゃったらぜひ一度カジュアルにお話できればと思いますので、ご連絡お待ちしております!
ホームページの問い合わせからぜひお気軽に!

個性にFOCUS 〜カラフる


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