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 大切な日

 静かな深い夜、もうすぐ日付けは変わる。
 そう、その日になるんだ。
 僕は、その日は休みだし、今夜は
 ゆっくり飲もうと決めていた。

 いつもなら、日付け曜日が変わるくらいは
 飲んでいない。
 でも、今夜は特別なんだ。
 それは、ひとりで大切な日を祝うこと

 そして、零時が過ぎた…..

 大切なひとの、大切な日だからこの時間さ
 そして、日付けも曜日も変わった今
 僕は、改めて小さな声で呟いていた。
    「おめでとう」
 僕は、この時間の為用意していたハイボールを
 ひとり、氷の入ったグラスに注いで、
 もう一度、おめでとうと呟き、飲んでいた。

 僕が、勝手に祝いたかっただけだし、一緒に
 祝うことは出来ない事情もある。
 変な事情じゃない、僕の心の中では大切だから
 多分、家族や大切な人と過ごしているだろう。

 僕はひとり飲みながら、頭の中を空っぽにして
 いろいろと思い出してつめこんだ。
 そう、いろいろと僕なりに、いろいろとね。

 何故か、目頭があつくなる瞬間もあった。
 年齢のせいかもしれないな、多分そうだな。
 いや違うかも、わからないが、胸元が震える。

 誰も見てないからよいのだが、ひとりで
 目頭あつくして、飲んでる中年はヤバイ(笑)
 僕の視点だけどね(笑)

 だけど、祝いたかったんだ。
 素直に、祝いたかったんだ。
 
 そう、それだけでいいんだ。それだけで、
 ただ僕は、いや、俺は祝いたかったんだ。

 もちろん、ひとりで祝うこと等知られない
 でも、俺はそれでいい、それで…..

 届くはずもない、祝い酒
 僕は、大切な日に心から祝いたかった。

 ひとりで飲んだんだ…..大切な日…おめでとう。


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