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〈読書〉自転しながら公転する (再読)
一度読んでから、改めて読みたくなる本があります。
『自転しながら公転する』も、1年以上前に図書館で借りて読んでから、ずっと気になっていました。
もう一度、じっくり読みたいと。
先日、文庫版が発売されたので、早速購入して、読むことにしました。
・自転しながら公転する 著者:山本文緒
改めて読んでみて、長編ですが、とてもリアルで興味深い内容でした。
恋人や家族や仕事に関する悩みを抱えながら、日々を過ごしていく主人公の都。
都は30代前半、アパレル勤務。
独身で両親と同居中です。
モヤモヤしている都の心の内が丁寧に描かれています。
そして、主人公のみならず、その他の登場人物も興味深いのです。
都が魅かれた貫一。
中学卒業後から働いていて、高校には行っていません。
恵まれない家庭環境で育った貫一ですが、人には優しい。
都は、貫一の学歴、仕事が安定しないこと、お金のつかい方などに不安を感じます。
都に誘いをかけてくるベトナム人留学生・ニャン。
賢くて、優しくて、裕福でもある。
ニャンの様な優秀な若者が海外から大勢来ていますね。
個人的には歓迎です。
優秀な人は、どんどん国境を越えて活躍してほしいです。
一方で、平凡な我が家の子どもたちが、年々グローバルになっていくこの時代を生き抜くのは大変だな、と考えさせられます。
都と時々女子会をする友人たち、絵里とそよか。
結婚を選択した絵里。
彼はいるが、結婚はないという状況のそよか。
三人が結婚を含め、どの様に生きていくかを議論する場面も興味深かったです。
考え方も三人それぞれです。
結婚するかしないかも、その他の人生の選択においても正解は一つではない、ということを改めて感じました。
また、都の職場の人たちの仕事に対する考え方も様々で、狭い人間関係の中でトラブルも起こります。
厄介ですが、仕事を続けるためには、都はその状況から逃げるわけにはいきません。
これは、本当に苦しい。
そして、子離れを決意して終活をする都の両親。
夫を支え、都を育てた都の母・桃枝。
子育てを終えても、更年期障害で体調を崩し、不調からなかなか抜け出せなません。
これは、リアルに私世代の話です。
子どもが成長したら、自由になれると明るい未来を信じて頑張ってきましたが、現実は厳しいですね。
加齢により健康面の不安もでてきます。
成人した娘の今後も気になりますし、年金に頼れないので経済的にも安泰とは言えないです。
人生の歩き方はそれぞれで、正解は一つではない。
自分の選択した人生に責任を持たなければならない。
毎日、同じように過ごしていても、少しずつ日々は過ぎていきます。
毎日、同じ場所にいるわけではなく、少しづつ別の場所へ進んでいるのです。
都たちと同様、私も自転しながら公転しているということですね。
我が家の娘たちも、もう少し成長すると、都のように仕事や恋愛に悩むでしょう。
私は、その時、娘たちをどの様に見守り、接していくのでしょうか。
また、桃枝たちのように、終活もしていかなくてはなりませんね。
自転しながら公転して、私は何処へ向かっていくのでしょう?
一年後、二年後…そして十年後、二十年後…
自分がどのようになっているかはわかりませんが、自分の人生を歩き続けていかなくてはなりませんね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
こちらは、以前に書いた『自転しながら公転する』の記事です↓↓↓
こちらも山本文緒さんの作品です↓↓↓
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