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【デュアルキャリア・カップル】仕事と人生の3つの転換期とハマりやすい罠とは!?

はじめに

INSEAD准教授が、26歳から63歳まで、日本を含む32ヵ国113組のカップル(同性カップル、事実婚、再婚含む)を調査。子育て、転勤、キャリアチェンジ、介護、退職、子どもの自立……。

人生100年時代、キャリア志向の二人に立ち塞がる3つの転換期と、その乗り越え方を説いた本。

子供ができると生活が変わる・親の介護・中年危機など、今まで、いずれ訪れるライフステージとして漠然と認識はしていた部分を長期的かつ包括的な視野でまとめている。また、アメリカの本でよくあるが、事例がかなり豊富。

デュアル・キャリアカップルの3つの転換期を中心にまとめていきたいと思う。

第一の転換期(20~30代):子供の誕生への適応

まず、カップルとして最初に一緒に経験する人生のビッグイベントに対してどう適応していくかを迫られる。そのビッグイベントは2つ。

  • 仕事上の大きなチャンス:地理的な移動を必要とするような昇進や解雇

  • 子供の誕生

20代でまだ子供が産まれていない段階では、完全にキャリアに打ちこめる段階であり、住宅ローンや親の介護などもまだライフイベントとして発生しておらず、制約がない。本書ではこのステージを「制約のない逸材」と呼んでいる。

ところが、パートナーの片方が、地理的な移動を必要とするような昇進や解雇などの仕事上の大きな変化に直面したり、また子供が誕生したりすると話がガラッと変わってくる。20代の時には盲目的に信じていた「自分たちは仕事も家庭も、望み通り全てを手に入れることができる」という価値観が現実的には厳しいことを直面させられる時期でもある。

ハマりやすい罠:経済的判断基準に頼りすぎる

さて、第一の転換期のカップルがよく陥る罠として、「経済的判断基準に頼りすぎる」ことが述べられている。

最大限の収入を得るために、住む場所を選び、優先させるキャリアを選び、どちらが主に子供の世話をするか選ぶ選択肢は、一見合理的に見えるが、じつはそうでもない。当事者であるカップルの価値観や望みを、経済的な必要性よりも軽視しているから。

収入最大化のみを判断基準とすると、どちらか一方がキャリアを一時中断するという結論になりがちで、そうするとパートナー間の収入は基本的に開くので、ますます経済合理性を元に判断せざるを得なくなり、一方が我慢を強いられるという状況が続く。そして長期的にはカップルの関係性が破綻しやすくなる。

本書では、平たくいうと、両方ともキャリアを中断することなく、一馬力ではなく二馬力で頑張れと説いている。

平均して 31 パーセントの母親が子供の世話をするためにキャリアを離れる。離職期間の中央値は2年である。家族のことに専念したいと心から望んで離職する女性もいるが、義務感から一定期間仕事を離れ、あとになってその選択と結果を後悔する女性も多い。

収入に対する保育費用の割合を計算したときに転換期が訪れることもある。「給料の大半を保育に持っていかれて、『なんのためにわざわざ働いてるの?』と思うようになった」これは離職する女性を研究しているとよく聞かれる言葉である。3年以上仕事を中断した女性は、復職しても 37 パーセントの収入減が待っている。子育ての真っ只中にいるときには、乳幼児期はひどく長いように感じられるが、40 余年のキャリア全体からすればその割合はほんのわずかだ。一方、離職することによる経済的な損失の合計は生涯で100万ドル以上にのぼると、さまざまな研究で算出されている。【デュアルキャリア・カップル】仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える

家事分担:リストの可視化とやらないことを決める

本書では家事分担に関しても言及している。

男性と女性のどちらも、自分が引き受けている家事の分担を過大評価している。女性は自分が大半をやっていると信じているし、男性は自分が50%引き受けていると思っている。

しかし、現実には、平均すると、男性が週に16時間、女性は週に26時間家事に割いているという調査結果もある。この場合だと、男性:女性=40:60。

この認識の食い違いが起こるのは、単にパートナーがどんな家事をやっているか知らないから。

というわけで

  • 家事分担リストを書き出して可視化する

  • リストを書き出したらすぐに分担を開始するのではなく、その前に「どれをやめられるか?」を考える。外注できたりテクノロジーで解決できそうなものは積極的に取り入れる。場合によってはコミュニティから期待されている(はずだという思い込み)からという理由だけで、行っていることもあったりする(学校のバザーのたびに必ず手作りのケーキを出品する必要があるかなど)

また、ここ 15 年ほどのあいだに、親が子供に注ぐ時間とエネルギーの量は劇的に増加しており、1990年代と比較すると父親母親ともに子供にかける時間が増えているとのこと。

社会から期待されているからというだけでなく、自分でもわが子の子供時代を見逃したくないと思っているからと説いている。

昔と比べて今は出生率も下がってきているので、1人の子供をもっと大事に育てようという意識が働いている and/or 子育てもより完璧にこなさなければという意識が働いて、昔ほど、少し語弊がある表現だが「適度にゆるく」育てるというのができなくなっているのかもしれない。

著書では、キャリアを双方諦めたり中断したりすることなく、子育てもキャリアも二馬力で頑張れと書いてあり、そのためにはお互いの対話(不安・価値観・限界など)をすることが重要と説いている。あらかじめ、明確で強固な限界を設定しておき、「すべてをこなそう」という罠にハマらないようにすることが重要である。完璧主義は罪悪感を生みやすく、それが原因で更なる悪循環をきたすので、「これ以上は、できないから、今日は子供のご飯は出前でいいや」くらいに割り切るのも必要である。

第二の転換期(40代):お互いの個性化・中年の危機

さて、第一の転換期を無事乗り越えたカップルも、その10年後くらいに第二の転換期(中年の危機)が訪れてくる。

これは、「社会の期待に合わせて発展させてきたペルソナを「ほんとうの自分」が引きはがそうとする最初の兆し」であり、「第二の思春期」とも呼ばれる。

この時には、子供も小学校高学年から中学生になってきており、思春期は訪れるものの、第一の転換期で小さい時の手がかかる状態からは脱している。

今まで周囲の期待や人生の期待されているレールに暗黙的に乗っかって、社内で順調に昇進を進めていた場合でも、ふと「今やっている仕事が自分がやりたかったことだっけ?」と疑問を持つようになる。

この時期は、日本だと40代で課長になって、同じ会社で勤め上げた場合の未来が見えてくるというのもあるだろう。管理職に上がれそうか上がれなさそうかも、なんとなく実感してきて『あと20年間同じ仕事を続ける人生で良いのか?』と思うようになり、かといって、独立するとなると、子供の教育に一番お金がかかる時期であり、なかなか踏み切れずに悶々とすることになる。

子供は親のストレスが減る選択肢を望んでいる

ある研究で、親の仕事を変えられるとしたらどんなふうに変えたいかと訊かれた子供たちは、大半が、親のストレスが減るようにしたい、と答えたという。

子供たちはどちらの親が何をやろうと、また、親が何時間働こうと、、、

続きは、こちらで記載しています。


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