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かたちを変えても そばに置きたいもの

礼装の際に使用する「袋帯」

私には、ずっと気がかりな袋帯がある。その帯は、銀糸で織られた、袋帯のなかでも格の一番高い黒留袖用の帯だ。つまりは、人生の中でそうそう出番の来ない帯ということだ。

持ち主である母はもう他界しており、仮に自分が使用するとしても、何十年も先になるであろう息子の結婚式の時になるだろう。

さて、どうしたものか。

もう一つ私を困らせているのが、その帯の柄。一般的な正倉院文様や吉祥文様ならそのまま箪笥に眠らせて置くのも手だが、可愛らしい椿の文様なのだ。プラチナペールピンク(そんな色があるのかはわからないが、そんなイメージの色)でとても上品で好みの色ではあるが、「新郎母親」として着用するには少し可愛いらし過ぎやしないか、、、。(まあ私の結婚式の際には、母はこの帯を締めたのだけれども)

さて、どうしたものか。

この可愛い素敵な帯を、このまま眠らせておくのか。それとも、もっとなにか、有効な形で可愛がれないか、、、。ずっと頭の片隅でこの帯のことが気になっている。


つい先日、箪笥の整理をした。あの可愛い素敵な帯もそこにいる。

やっぱり可愛い。この帯でクラッチバッグ作ったら素敵だろうな、、、。そうすれば、何度も使えるし、ずっと日の目を見ず箪笥の中にいることもない。きっと、私の分と妹の分、お嫁さんの分も作れるはず。お嫁さんにとっては迷惑かな、、、?などと、考えを巡らす。

その一方で、遠い未来、きっとあるだろう自分の息子の結婚式に、ずっと眠っていたこの可愛い素敵な帯を締め、「ほら、あなたの孫が結婚しましたよ」といって母に見せてあげたい気もしている。


さてさて、どうしたものか。

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