読書感想文「ゴミ清掃員の日常」滝沢 秀一 (著), 滝沢 友紀 (著)

 「ゴミは人々の生活の縮図」。普段,考えを巡らすことの外に置いておきながらも,日常生活上,切り離せないゴミ。哲学者だろうが,大企業経営者だろうか,デイトレーダーだろうが,アイドルだろうが,ゴミを出さないことには生活が成り立たない。そんな当たり前なことを,漫画を通じて我々に知らせてくれる一冊だ。
 現代のテクノロジーで文明生活・消費生活を送る限り,僕らはゴミを出さずには生活できない。逆を言えば,(結果として)ゴミを生産するために生きている。そうしたゴミの最前線にいるゴミ清掃員の目線から生き方,コミュニティ,家族が,見えてくるのは何故か。目の前のモノをゴミと価値判断したということが,そのモノを通じて可視化されて,直接,伝わるからではないか。ゴミは初めからゴミではない。それをゴミであると出す側と受け手が共通認識されることでゴミとなる。
 人間だけがつくるゴミ。読後,ゴミへの眼差しが変わるかもしれない。


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