見出し画像

読書感想文「宙わたる教室」伊与原 新 (著)

 油断するな。落涙するぞ。
 信じられる科学の話しだ。科学は動かない。厳然としてそこにある。原理原則である。ブレない。身じろぎ一つせず屹立している。だからこそ信じられる。科学にハマるとはそういうことだ。真理を探究することは人を純粋にする。
 モチベーションや動機が放っておいても湧いてくるように、小さな成功の連続を体感できた、国の発展に世間が気分を委ねた時代ならともかく、今は個々人のハートに火を点ける作業が重要だ。そのためには個々に応じた学習・教育のオーダーメイドのメソッドの提供も重要だろう。そうしたパーソナルなケアがホントは大事なのだ。学習困難者、家庭環境、健康、経済問題など置かれた状況は人によって違うし、周囲の環境はある日突然変わることもある。だから需要は常にある。それに、一度、鎧のように自分を守るために閉ざした心は簡単には開かない。だが「頑張ったことをあきらめるのはつらい」ということを、共有するところから道を開いていくことはできないだろうか。マジで。
 新自由主義が長く続いたことに嫌厭感が広がり、格差や分断に飽き飽きしている状況になってきている。あまりにも、人や才能を切り捨てすぎた。だからこそ、先端科学を人々の手に。それために厚い中間層が必要だ。そんなことも思う。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?