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【民俗ストーリー】月待堂でニヤサマ

(どうしよう・・めっちゃキンチョーする・・)


私は、今「月待堂」というお堂の中で、村に住む女性たちと宴会をしている。


この望月村の地域おこし協力隊として、先月着任したばかり。


男子禁制というこの月待堂で、月に1回程、二十二夜の夜に集まる会。女性だけでワイワイ楽しく過ごす会で、村では「ニヤサマ」と呼ばれているらしい。


「サエちゃん!!ホラ!もっと飲みぃ!」


お酒をつぎに来たのは、村でいろいろお世話になっているタエコさん。


「初めてだもんね!まぁ女だけだし、気楽に楽しもうよ!」


「は・・はい・・。ありがとうございます。あの・・このニヤサマ・・?は、昔からやっているんですか?」


「そうねぇ、ここで観音様にお経をあげるのは昔からやってたんじゃないかしら。あとは出産や子育ての話を経験者から聞いたり、相談したり」


「へぇ・・」


「まぁ、単純に旦那抜きでパーっと飲みたい!ってのもあるんだけどね!旦那の悪口を言いたいのは今も昔も変わらないんじゃない?」


と、タエコさんが言うと、まわりでどっと笑いが起きた。


****************


飲み会が中盤に差し掛かった時、タエコさんがスクっと立ち上がった。


「じゃあ、今夜もそろそろ行こうか」


その一言で次から次へと皆が立ち上がる。


(・・?????)


「さぁ、サエちゃんも」


訳もわからずまま、立ち上がり皆がお堂の外に出るのに着いていく。


そこには不思議な光景が広がっていた。


光り輝く月から一本の光が降り注いでおり、皆がその光に吸い込まれるように入っていく。


「今夜はね、月に一回、「月」に還る日でもあるの。さぁ、行きましょ」


タエコさんに優しく手を引かれ、私は光の中へ入っていった。




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