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『傷口をお気に入りのブラウスで覆うことは治療になるのかな』

『傷口をお気に入りのブラウスで覆うことは治療になるのかな 』
装いが計り知れない可能性を秘めていることにたまに怯えてしまう。
変わらなくていいこともあって、でもそれは私の身体が必ずどこかで覚えているはずだから、簡単に忘れてしまった方がいいのかもしれない。
大切なものは写真に収めれば収めるほどに遠くなってしまう。記録することによって今の記憶として上書き保存される。だから過去に見た景色をそのまま作品とかで表現しないようにしている。
時計を巻き戻してほしいとは思わない。ただ、たまに会いに行くために繋いでいる。糸電話は切らないし、同じ手で制作していく。
うまれてからずっと同じ手。二ヶ月前に切った指はもう元に戻っている。

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