鹿児島県南大隅町、民間団体が受け入れる本気の協力隊募集です!
地域の資源を活かし、地域の個人や団体と連携を図りながら、協力隊の得意分野で「都市と農村をつなぐ」。3年間の活動を通して、協力隊任期終了後の創業・就業を目指す。そんな地域おこし協力隊を募集します!
◆雄大な自然、日本の原風景が残る町
南大隅町は、鹿児島県の右側・大隅半島の最南端に位置する町です。海あり、山あり、川ありの大自然。対岸に沈む夕陽は、移住を考える皆さんの背中を後押ししてきました。基幹産業は農業。野菜、果樹、畜産、水稲など多種多様な農産物を育む大地の豊かさがあります。農業の町でありながら、雄川の滝、佐多岬といった雄大な自然がおりなす観光地も、町の見所となっています。
◆町の課題と地域の魅力
日本中の地方は、今、少子高齢化、人口減少等の影響による地域の衰退が大きな課題となっています。その中でも、九州本土最南端にある南大隅町は、その地理的条件の厳しさも相まって、まさに今、地域の持続性が失われゆく、地域の課題先進地でもあります。
しかしながら、地域の中に入り、地元の人たちと出会うと、実際はそんなことを微塵も感じさせない事に驚きます。この地にたくましく生きる人たちは、地元を想い、前向きに活動し、暮らしを楽しみ、おおらかで、パワフルで、ユーモアたっぷり。人とのつながりを大切にする、とっても魅力的な方々です。
その上さらに驚くのは、町外から移住してくる「よそ者」を、受け入れる土壌が根付いているということ。地方といえば閉鎖的なイメージが強いと思いますが、たまにはほっといてほしいと思うくらい、ほっとかれません(笑)。
南大隅町の人達は、好奇心旺盛で、お世話好きで、楽しいことが好きで、この地に住む仲間として、よそ者だろうが世代の違いは関係なく、本当にあたたかく接してくださいます。
「少しも迷惑だなんて思ってないよ。応援したい、お世話したいだけ(笑)」、「〇〇さんのためでもあるけど、自分のためでもある」
地域で活動していると、上のようによく声をかけられます。ここに住む方たちにとって、周囲への心配りや、助け合って暮らしていくのは当たり前なのだと感じます。人口減少を止めることは難しいです。しかし、人は少なくても、それぞれの個性を生かして、一人ひとりがやる気を持ち、この町の暮らしをともに楽しみ、地域の魅力を発信していく。そんな仲間が増えたら嬉しいなと心から思っています。
◆ミッションと活動内容
今回、私たちが募集する地域おこし協力隊のミッションは、【地域の資源を活かし、地域で活動する個人や団体と連携しながら、協力隊の得意分野で地域と人をつなぐ・都市農村交流】です。
たとえば、料理が得意であれば、地域の生産者と連携し、地域の食材を活かした農産加工品の開発を行う中で、産地見学ツアーや生産者との交流イベントを実施する。色々な方に試食してもらい、商品開発のアイデアの種を頂くワークショップの開催なども、それをきっかけに町へ足を運ぶ人の流れを生み出すかもしれません。
また、大工仕事が得意であれば、空き家・古民家等の活用を希望する地域の方とともに、改修作業体験の機会を設けることで、それをきっかけに広く人のつながりを生み出すことはもちろん、地域の発信力にもなります。加えてより多くの人を巻き込んでいくことで、対象物件の活用の可能性も広がっていくかもしれません。
ほかに、取材記事制作等を含めた情報発信を得意とする方には、どんどん地域に足を運び、地域を発信していただくことで、地域を知る・足を運ぶきっかけづくりをしていただけたら幸いです。地域には沢山の魅力的なモノやコトが溢れています。積極的に地域とつながり、地域の魅力を人の目に留まるよう発信して頂くこと、そのデザイン力も求められています。魅力的なモノ・コトをきっかけに、地域に足を運ぶ人の流れが生まれることは、何よりの魅力発信につながります。
さらに、地域の人が息抜きに訪れたくなる・観光客が足を運びたくなるカフェ空間や、佐多岬を目指す旅人や家族旅行で宿泊したくなる宿づくり、町の自然を生かした体験アクティビティといった余暇・観光的コンテンツも求められていますし、
地域教育という側面においては、保育園から高校生まで、子どもたちと地域の関わりを生み出していくことも地域のニーズとして存在します。
また、そうした短期的・単発的なつながりの先にある、中長期滞在プログラム等による観光以上移住未満の地域との関わりづくり、その先の移住定住を前提とした方々へのアプローチなど、地域で求められていることは多岐に渡ります。
都市から農村へと足を運ぶ人の流れ・つながりを生み出す地域づくりが求められている昨今。上記したように、その内容は多岐に渡ることはもちろん、今や、都市と農村の関わり方は、短期・単発的つながりから滞在・移住まで、実はグラデーションのように境目のないものです。
地域での出会いやつながりをきっかけに、地域に関心を抱いた方々が、その後の地域との関係を育んでいく、都市農村交流。そうした出会いのきっかけ、つながりづくりを、協力隊自身の得意分野を活かして、つくり上げて頂けたらと思います。
そしてその活動が、「協力隊卒業後の協力隊自身の生業へとつながっていくこと」を目指すものであり、あわせて、活動の進捗も含む日々の地域情報発信も積極的に、大切にして頂けたら幸いです。
また、活動においては、地域と協力隊のコミュニケーションを密にとり、【協力隊にできること×協力隊がしたいこと×地域に求められていること】がかけ合わさる活動を、共に考え、話し合い、活動計画を立て、それを軸に前進していけたらと思っています。
あわせて、協力隊の全国課題ともなっている「地域の押し付け」や「隊員の孤独」、「卒業後の進路不安」等に寄り添い、卒業後の定住につながりうる協力隊の受入体制を築いていきたいと思います。
◆3年間の過ごし方
具体的な日々の過ごし方として、年単位で見ると、「地域を知る」協力隊1年目、「活動内容を具体化しトライしていく」2年目、「卒業後の生業づくりを目指す」3年目を大きな流れとして想定しています。
【地域を知る1年目】
協力隊着任1年目は、地域活動8割、協力隊個人活動2割を想定しています。協力隊の受け入れ団体となるNPO法人風と土の学び舎の活動を中心に、メンバーとともに活動しながら、地域とのつながりづくりを進めていきます。一団体とはいえ、20代~70代まで約40名に及ぶ地域住民が所属し、町内各地をフィールドに、団体としても個人としても多岐にわたる活動を行う団体です。
そしてNPO法人風と土の学び舎メンバーにとどまらず、そこからさらに地域のつながりを広げていくこと、ともに活動する仲間を作っていくことを大切にしていきたいと考えています。
ぜひ、積極的に地域住民との関わりを持ち、〈協力隊にできること×協力隊がしたいこと×地域に求められていること〉の思案を重ね、2年目の活動へのヒントを掴んでいただきたいと思います。
【活動内容を具体化しトライしていく2年目】
協力隊2年目は、地域活動5割、協力隊個人活動5割を想定しています。ミッションである「地域の資源を活かし、地域住民と連携しながら、協力隊の得意分野で、外から来る人の流れをつくる」ことにあわせて「協力隊卒業後の自身の生業へとつながること」を意識しながら、地域を舞台にプロジェクトを企画し、挑戦を重ねて頂きたいと思います。
その挑戦は、小さなものでも、大きなものでも構いません。協力隊期間中に、地域をフィールドに企画・調整、実行し、成功も反省も沢山経験していただきたいと思います。主体となる協力隊の想いを第一にバックアップしていきますので、一緒に沢山の経験を積み重ねていけたら幸いです。
【卒業後の生業づくりを目指す3年目】
協力隊最終年度は、地域活動2割、協力隊個人活動8割を想定しています。卒業後の生業づくりがメインではありますが、今後も暮らしていく中で大切な地域とのコミュニケーションも忘れずに過ごしていただきたいと思います。生業づくりは、様々なものが考えられますが、何を選択するにおいても、協力隊の主体性がもちろん重要になってきます。仕事をつくっていくことは簡単なことではありませんが、NPO法人風と土の学び舎メンバーは、主に農家をはじめとする自営業者が多数を占めています。みんなこの地で、自分で生業をつくってきた先輩たちでもあります。ともに卒業後の生業について考え、協力隊に寄り添っていきたいと考えています。
また、活動においては、NPO法人風と土の学び舎メンバーであり、協力隊OGでもある有木が運営する古民家宿「いなかを楽しむ宿 栗のや、」ならびに、離れ「うしのや、」を拠点とします。常日頃、地域の方が足を運ぶ空間であるため、地域とのつながりを持ちながら活動を進めて頂けたらと思います。
◆余暇の過ごし方
やりたい事であるとはいえ、そのことばかり考え続けるのは大変です。デパートやファーストフードはありませんが、ここにしかない手つかずの自然がすぐそばにあります。夏は海!サップ、カヤック、川遊び、かき氷、そうめん流し、バーベキュー、キャンプ… 超身近にアウトドアが盛り沢山です。秋や冬は、山登り、トレッキングがおすすめ、照葉樹の原生林の迫力は見応えありです。他にも、夜の満点の星空、普通に見える天の川、大浜に沈む夕日、たくさんのホタルなど、驚くほどすぐ側に、自分をリセットできる場所がここには沢山あります。
また、南大隅町には地域の魅力に惹かれて来ている若い移住者同士のつながりもあります。休日は、バーベキューをしながら、同じ地域に住む仲間同士、時にはそれぞれの立場で抱える悩みを共有し、励まし合い学び合いながら過ごすのもいいのではないでしょうか。
◆NPO法人風と土の学び舎について
協力隊の受け入れは、農業実習や民泊受け入れを行う都市農村交流団体・NPO法人風と土の学び舎が担います。その歴史は1981年、「本当の日本は田舎にこそある」と、当時40代の農業青年らによって、学校とアパートの往復のみであった都市部の外国人留学生のホームステイ〈からいも交流〉を受け入れをはじめたことに遡ります。その後、1994年より、活動に興味を持った東京農業大学の学生らが、実習先として町に訪れるようになり、その受け入れは今日まで続いています。
受け入れにおいては、「未来を担っていく若者に、農村における学び場の提供を」との思いで、学生も地域も「ともに学び合う心」を大切に、学生を「お客さまでも他人でもなく、家族としてありのまま受け入れる」心で活動しています。
そうした長年におよぶ受け入れを経て培われてきたのは、地域において、よそ者を迎え、受け入れる土壌です。NPOメンバーのうち5名が農業実習・民泊受け入れを機に南大隅町に移住しています。新たなメンバーも加わった現在においては、産直マルシェへの出店や、地域体験プログラムの企画運営、古民家を活用した宿づくり、地域を発信するフリーペーパー制作など、各プロジェクトリーダーを筆頭に幅広く活動を展開しています。
◆最後に
地域の課題は山積みです。ですが、それは伸びしろでもあります。そして、小さな田舎町においては、住民一人ひとりが地域の役者であり、大きな存在です。この南大隅町で、地域を想う協力隊が、自身の個性を発揮しながらのびのびと活動し、地域と共により楽しい南大隅町をつくっていけたら、この上ない喜びです。まずは、NPO法人風と土の学び舎まで、お気軽にお問い合わせください!
◆ともに活動する人々
【NPO法人風と土の学び舎・都市農村交流プロジェクトリーダー/いなかを楽しむ宿 栗のや、/協力隊OG 有木円美】
元々、農村の食や体験、地域の方との交流が好きで移住先を探していたところ、NPO法人風と土の学び舎のみなさんに出会いました。「協力隊の募集があるよ!」と言われても、人生を変える一大事、何のプロでもない私に何ができるのか、3年後も住みたいと思えているだろうか…?なかなか決心できずにいたところ、「まあとりあえず体験してみたら」と2週間かけて9軒の農家をまわる南大隅暮らし体験民泊ツアーをコーディネートしてくださいました。40代から70代まで個性豊かな農家さんたちと、昼は日常に密着し、夜は美味しいご飯と芋焼酎片手に、地域のこと、これからのことを語り合う。ただの観光では味わえない時間、「小さな地域だからこそ、可能性がある」という農家さんの言葉、そして私がしたいと思っていたことを、「やってみようよ」と言っていただけたこと。3年後、ここに住み続けられるのか、食べていけるのか…、わからないけど、ここにいるみなさんとともに活動してみたい、えいやっ!と飛び込んだのを今でも覚えています。
「地域のみんなとともに、都市と農村をつなぐ」、それは成長し変化しつづけるチームづくりのようであり、力を合わせ課題に挑んでいくことのワクワクは、何にも代えられないやりがいとなり、つながりの深さになり、広がりになっていきます。都市だから、田舎だから、ではなく、顔の見える関係性の中でプロジェクトを進めていくなかに、人として、生きていく上で学ぶことが沢山あります。3年間の中では、山あり谷あり色んな日々があると思いますが、喜怒哀楽、沢山の感情を共有しながら、目標をともにし、一緒に前進&成長していけたら嬉しいです。
【NPO法人風と土の学び舎・舎長 梅木涼子】
私は、福岡出身で25年ほど前、縁もゆかりも無いままに南大隅町に来ました。私もこれまでを振り返ると、自分に何ができるのか、真っ暗闇になって不安になることもたくさんでした。これが正解!というものがない中で、常にもがき苦しんできたのかなぁと思います。でも、思うようにいかなくてもいいと思うのです。あーでもない、こーでもないと、挑戦の世界に飛び込んでその過程で、たくさんの人と関わる中で生まれるエネルギーや、生きる喜び、生かされる喜びを味わえるのは、地域づくりに関わる者の醍醐味。中でも、人の魅力が半端ない南大隅町での活動で味わえるものって、これまた半端ありません!小さな日本のはじっこの町、南大隅町の魅力の一つだと感じます。
NPOの名前の元になった風と土。風は外から新しい風を吹かせてくれる風人間、土は地域にどっしりと根をおろして生活している土人間。両者どちらの存在も大切で、両方の感覚をいったりきたりしながら知恵を出し合っていけばより良い風土が育まれていくと信じています。地域に暮らし、共に支え合う仲間として、この南大隅の地で一緒に思いっきり挑戦してみませんか。お待ちしています!!
【南大隅町役場 企画課長 相羽康徳】
「NPO法人風と土の学び舎」は、舎長梅木さんと有木さんを中心に様々な町の方々が、田舎を楽しみ、いきいきと南大隅町で暮らし、地域づくりに情熱を燃やす方々の集まりです。地域おこし協力隊の方には、「夢と希望をもって着任していただけるような形で募集をしたい。」と、お二人から熱い想いをお聞きして民間団体が受け入れる本気の協力隊募集に賛同しました。
地域おこし協力隊を経験された有木さんだからこそできるサポートや心温かい「NPO」メンバーがきっと不安な気持ちを取り除き充実した活動が展開できるものと思っています。年間を通して気温も暖かい、地域の方々の気持ちも温かい南大隅町で存分に人生を楽しんでみてください。