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そんな時代もあったね

風が吹き

ふわり

古い記憶の扉がひらく

隙間から見える

君の顔
 
そんな時代もあったね

静かに微笑む

もう痛くない

この胸で

君は大きく広がって

女神になった
 

もう10年以上前の話です。

わたしに、無自覚だった闇を教えてくれた人がいました。

その関係性の苦しみが教えてくれたことは、今も忘れないけれど。

もう、胸が痛くない。

ひょんなことから、その人のことを思い出して胸に抱いていたら、そんな自分の変化に氣がつきました。

「ほう。」

そのまま観察していると、静かに微笑むその人の顔から光が広がって光り輝く大きな女神の姿になりました。

同時に、胸の中もその白い輝きでいっぱいになりました。

「ああ、やっと触れることができた。」

その人の本質が姿を現したんですね。

そうして、思い出しました。

この氣づきが起こる前に眺めていた風景の中に、女神のイメージを見ていたことを。

滑らかな曲線を描く2本の樹の交わりが、女性の美しい脚のラインに見え、さらに見上げていくとまさに女神。

自然の造形の中に女神の姿を見ていたのです。

予兆だったんですね。
 
 

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