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学習・教育

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ヴィゴツキー「発達の最近接領域」再訪 ― 誰かに助けてもらいながら背伸びする経験をどう創るか ―

ヴィゴツキー「発達の最近接領域」再訪 ― 誰かに助けてもらいながら背伸びする経験をどう創るか ―

ソ連の天才的心理学者ヴィゴツキーが提唱した「発達の最近接領域(Zone of proximal development)」理論は、現在の教育改革を支える大切な概念の一つです。学習科学の基礎概念の一つである「足場かけ」の元ネタでもありますし、個人的には「主体的・対話的で深い学び」が「這い回る経験主義」に堕落しないための鍵概念でもあると思っています。教育学の講義では必ず触れられ、様々な教育の議論で引用

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謙虚と卑屈、謙虚と傲慢の差異 - 小学生・高校生との対話を経て至った仮説 -

謙虚と卑屈、謙虚と傲慢の差異 - 小学生・高校生との対話を経て至った仮説 -

1. 問い日本人を喋らせるのは、インド人を黙らせるのよりも難しいとジョークでよく言われる通り、「日本人は主張が弱い」としばしば考えられている。確かにあまりにもステレオタイプかもしれないが、この命題は一定は正しい。それゆえに、これからの国際社会で生きていくためには、日本人は自信を持って自分の考えを発信できるようにならなければならないと言われる。

一方で、日本人の謙虚さは美徳とされる。欧米でもソクラ

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松尾芭蕉の俳諧論を補助線に、学びの在り方を考える(勝負・遊び・求道・探究)

松尾芭蕉の俳諧論を補助線に、学びの在り方を考える(勝負・遊び・求道・探究)

教育が変わりつつある。いまや、教育という概念が座っていた玉座には、アクティブ・ラーニング、探究学習、問題解決型学習、プロジェクト学習、プレイフル・ラーニング等、新しい概念が同床異夢の状態で在る。

新しく玉座に座ろうとする概念に共通するキーワードがある。それは「楽しさ」である。いままで、学校で展開される教育が苦痛なほど楽しくなかったため、新しい教育はそれを否定して楽しさを自身の売りとする。

例え

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