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[日常生活] また、ここに立つことができたなぁ

「オレ、もうホッケーやりたくない」

6歳からはホッケーを始めた13歳の息子が去年、涙ながらに私と夫に訴えた。

「今シーズンは父さんと母さんのためにホッケーをした。オレは全然楽しくなかった」

そう言ってホッケーを辞めた息子が今年の夏
「また俺、ホッケーするわ」

そして10月から始まったホッケーシーズンに彼は参加。
でも週に3回の練習も、なんだかんだ理由をつけて休みがち。
チームメイトで同じ高校に通うM君はシーズンの初試合が近づくと、毎日のように「うちのチームはお前の力が必要なんだ」と息子に言いに来てくれた。
そして今日はその初試合。

試合を見る時の旦那と私の位置は決まっている。
観客席ではなくロビーから試合を見る、その位置。
約1年半ぶりにその場所に立った時

「ああ、またここに立つことができたなぁ」

と少し大げさだが泣きそうだった。
彼がホッケーを辞めた時
「もう試合を見ることもないんだろうな」と思ったから。

もう二度と同じ間違いは繰り返したくない。

つまり、
息子のホッケーに過剰に肩入れしない
ただ淡々と彼のサポートに徹し
自分の思う息子の姿を彼に投影しない。

そんなことを思いながら、ほとんど声も出さずに、久々に見る息子のユニフォーム姿を眩しい思いで見ていた。
この一年半の間に背も伸び、肩も広くなり、「一体このイケメンは誰?」と思ってしまったが、これは『母親あるある』だろう(笑)。

隣にいた、チームメイトのご両親が言う。
「自然で、深いエッジの滑りは相変わらずだね。すぐに息子さんだと分かるよ」
そこはフィギュアスケーターの母でもある私。
そりゃエッジが深いと言われたら満面の笑みで「ありがとう」となります。

対戦チームはM くんに言わせると
「やばいぐらい上手なプレイヤーが一人、そして州で一番のゴーリーがいるチーム」

1ピリオド目は0−0。
2ピリオドが始まってしばらくすると0−1へ。
それから5分後ぐらいに
周りが「よっしゃー!」の歓声に揺れたので

「え?ゴール?やったー!で、誰が入れたの」
「お宅の息子」
「え?」

ブランクありの息子が、シーズン初のゴールを決めたですと?

試合に感情を過剰に入れないようにと
ロッカーから自分のフィギュア靴を持ち出して、ねじれた紐を直していた最中、つまり下を向いていた時に彼はゴールしたわけですな。

「さすが。あのゴールはバシッと決まった。」
と興奮気味に言ってくれた隣のご主人の方は、私が日本語教師一年目だった時の生徒。

嬉しくてハイタッチを私の方から彼にしたわけだが、
その時彼がにっこりと笑って

「おかえり息子くん、そして、おかえりホッケーママ」

その時、ようやく
「あぁ、本当にこの場所に戻ってきたんだなぁ」と。

2−1で初試合は初勝利。
勝ったのも、彼がゴールしたのも嬉しかったけれど、
息子が生き生きと氷上で動いている姿を見ている時も
ゴールした時、そして試合終了のブザーが鳴った時の観客席のどよめきを聞いて喜んでいるであろう彼を思って、
本当に本当に嬉しかった。

こんな経験をさせてくれた息子に感謝。








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