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泣きたい時に読む小説「流れ星、そして君は」vol.1

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プロローグ


「美緒、おはよう!」

朝のホームルームが始まる前、クラスに入ってきた七海が、私の席までやって来て声をかけてくれた。

いつもの明るい声だ。

「おはよう、七海」

私も元気よく返事をする。

七海は私の親友だ。小学校の頃からずっと一緒だった。

「あ、そうだ。この前のドラマ見た?泣けるー!」

「あ、私見てないわ。でも見たいな」

「じゃあ、今度うちで一緒に見ようよ!」

「うん、見る見る。楽しみにしてる!」

いつもこんな感じで、楽しそうに七海の話を聞いている。

ドラマや芸能人の話をよくしてくる。

「美緒、あとで一緒にランチ行こー」

「うんうん、お昼なったらね」

そんなこんなで楽しい高校生活だ。

友達思いの七海と、ずっと仲良く過ごしている。


朝のホームルームが終わり、みんなで起立、礼をすると、先生がなにやら発表を始めた。

「本日午後から、2年生を対象とした進路ガイダンスを実施します」

「場所は体育館。必ず出席するように」

「はーー、面倒くさい。美緒、わたし行きたくない」

七海が不平を漏らす。

確かにそんなに楽しみな予定ではないけど、仕方ない。

「うん、出たくないけど。一緒に参加しようね」

「えー、わかったよー!」

その後、数限の授業を受け、いよいよランチタイム。

七海といつもの購買部へ向かった。


「私、やっぱこれにする!」

チキンのチーズオムレツが美味しそう。とろーりチーズとチキンオムレツが包まれたパンだ。

「じゃあ、うちは、これ!」

七海はハンバーグサンドを選んだ。

お昼休みはあっという間だ。

楽しくおしゃべりしながら、いつもよりは早めに教室へ戻る。

そう、今日は午後から進路ガイダンスがあるからだ。

ちょうど時間に間に合う頃に教室に着いた。

「よーし、頑張ろー!」

七海が意気込んでいる。

いや、別にがんばるようなことではないんだけど。

「うん、終わり次第、さっさと帰ろうね」

「OK!」

体育館には2年生が集まっていた。

私と七海はちょうどいい感じの位置を確保。

そしてスライドを使い、先生からの説明が始まった。

大学受験の日程や流れについて。

推薦や一般入試の違いなど。

「うーん、これ聞いててもよく分からん」

七海がうなだれた。

確かに頭では理解できるが、イメージするのは難しい。

「うん、でも大丈夫。これからゆっくり理解していけばいいんじゃない?」

「そうだねー。美緒がそう言うならそうなんだー」

1時間半ほどの説明会が無事終了。

みな疲れた表情だ。

私と七海も早速教室に戻った。



「うー、つかれたー!」

七海がうなる。

「私も」

そうこうしていると、先生からの連絡が入る。

この後6限目が自習に変更になったとのこと。

「よーし、じゃあこのまま帰っていいね。ラッキー!」

七海が嬉しそうに言う。

「うん、いいよね。じゃ、一緒に帰ろう」

二人で楽しそうに話しながら、校門から出ようとしたその時だった。

「にゃー」

小さな鳴き声が聞こえた気がする。

振り返ると、校舎の片隅で黒い猫が座っていた。

「あ、可愛い!」

七海が駆け寄っていく。

確かにかわいい猫だ。

でも、私はその猫のことを知っていた。

「いい子いい子ー」

七海が猫をなでなでする。

すると猫は喜んで、七海の足もとを動き回る。

「美緒、この子、名前ないのかな?」

「うーん、ないみたいね。野良猫なのかしら」

その黒猫が、ちょうど私の方を見て鳴いた。

「にゃー」



泣きたい時に読む小説「流れ星、そして君は」vol.2
第1章 10年前の約束 へと続く…

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