見出し画像

Dead Head #58_155

「そうか?」
「借用書ありますよ。あの男、保険にも入っていなかった。借金返せなければ、マンション、物納する条項も」
「見せてくれ。その借用書」
「見せる理由はないですよ。失礼ですが、どこの誰ともわからない、あなたに」
「さっき、民事相談。警察に寄ってきた」
「それで?」
「それだけさ」思わせぶりに余韻を残す。
「いいでしょう。シュウ」
 あの若造が現れる。衝立の裏からファイルを出してくる。用意でもしていたように。
「シャチョー、どうぞ」
 シャチョーと呼ばれた男。ファイルを開き、借用書差し出す。