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Dead Head #54_151

 夕刻。すなわち黄昏時。その店の近く。女が現れるのを待つ。ランドセルを手放した分、肩の重荷が取れたようだ。
 しばらくして、例の白ブラウスを捕まえる。
「ちょっといい?」桃色のカードを女に示す。
「それが?」横目使いに女は言う。
「知りたい。この持ち主のこと」右手で女の二の腕を掴む。
「なにすんのよ!なんなの、あんた?」女は手を振りきろうとする。
「情報が欲しい」手を離し女に向き直る。左手に挟んだ札一枚を添え。
「なに?」女は何もなかったように札を抜き取る。そそくさとバッグにねじ込む。
「携帯電話の持ち主のことだ。ゴミ箱に放り込んだ」
「それが?」
「どんな様子だった?頼んだ男」